安曇野ひつじ屋 裏のブログ

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奥さん花が終わったら枝切ったほうがよろしで。

2018年10月23日 | ネコの写真

奥さん、花が終わったら、枝切ったほうがよろしで。
ほんまでっか。肥料は何がよろしやろ。
うちはもうずっと菜種粕(なたねかす)。
鶏糞(けいふん)やと臭いですやろ。
ウチ猫がおりますねん。
せやから鶏糞なんか別に臭いことあらしません。
猫可愛らしな。
ウチも猫飼いたい思てますねんけど孫がアレルギーで。
奥さんアレルギーはお灸がええらしで。
話はすぐに脱線し、いつまでも終わらない。














岸政彦『断片的なものの社会学』より

一段ずつ慎重にのぼりおりした階段もしだいに二段ずつになり

2018年10月14日 | ネコの写真

やがて、一段ずつ慎重にのぼりおりした階段もしだいに二段ずつになり、
トイレもいつか押入れのミカン箱から縁側のしたの土に変わり、
食事も鮪のフレークから鯵へ、鯵から煮干しへ。
それから日曜日がきて、また日曜日へ。
月曜日から火曜日へ。赤口から先勝へ。
先勝から友引へ。酉から戌へ。戌から亥へ。

時間のまあるい内庭を、秒針が穴から穴へ走りさるねずみたちのような駆け足で一廻りし、
短針があわてたあひるたちのようにせかせかと一廻りし、
そのあとを長針が鎖につながれた所在なげなおおきなコリーのようにゆっくりと一廻りして、
つまり一分が一ヶ月のように、あるいは一ヶ月が一分のように、
まるでおもいがけない早さで過ぎてゆく、
ぼくたちの日めくりのくらしのなかで、こうして、まったくある日突然に、
チイはもうすっかり年頃の器量猫になっていたのでした。




















長田弘『ねこに未来はない』より