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厚生年金基金アーカイブ 4.確定拠出年金シリーズ

2015年04月30日 | 厚生年金基金

①401(k)の百聞は一見に如かず

 

 厚生年金基金が行き詰まった平成11年(1999)、打開策を求めて民間の「米国401(k)プラン視察ツアー」が行われた、そのアメリカ訪問記です。ニューヨーク、ボストン、サンフランシスコを一週間で廻り、10ヶ所の企業視察、事業視察、そして大学生協視察(?)に参加しました。

アメリカの401(k)プランは〈Individual〉をキイタームに、インセンティブ付与がダイナモとなり、個人ベースのテクノロジーとエデュケーション(教育・啓蒙の戦略)が相まって高速回転エンジンと化していました。その結果、アメリカ経済が活性化されるという循環も成立していました。

お読みいただければ、日本にはないアメリカ経済の活力を学ばれるでしょう。

 

[目次]

一 401(k)一見

二 訪問先個社マター

三 取り敢えずの401(k)論

 

一 401(k)一見

①視察団

  平成11年6月6日から13日にかけて、民間研究所の企画・主催で「米国401(k)プラン視察ツアー」が行われ、私はニューヨーク、ボストン、サンフランシスコを廻り、10ヶ所の企業視察、事業視察、そして大学生協視察(?)に参加してきました。

 

  視察団一行のメンバーは、厚生年金基金の理事長・常務理事・事務長等5名のDB(Defined Benefit)組と、他に大手企業の企画・人事畑の30歳台若手5名のDC(Defined Contribution)組、それに主催者・通訳の三名、加えて13名の小集団でした。

  ホテルが筆者と同室になった方は大手基金の常務理事で同じ昭和16年生まれ。就任されて3ケ月目、片や筆者の方は1/4世紀。片や財務畑のゼネラリスト、片や基金のベテラン?  もしくはスペシャリスト?  片や公費、片や自費。とは言え、理事長の理解を得て年休使用で事務所だけは休ませていただきました。基金連合会の10年来続いていた恒例の海外調査でさえ、応募者がなく中止になっている状況でありますから、これもまた象徴的であるにすぎません。

  筆者にとってはこの度は二度目の海外調査となりました。最初は平成2年の上記基金連合会の調査旅行で、UK、オランダ、ベルギー、スイス、ドイツ、フランス、ギリシャの15日間の公費資産運用調査でありました。このヨーロッパの資産運用調査では金融機関や年金基金の資産運用の伝統というか歴史の違いを認識させられた旅行でした。その後、UKで訪問した金融機関はそろって日本進出を果たし、グローバルな金融再編劇のすえに社名の消えてしまった金融機関もあります。幸いそのときの報告書の担当先は、今もエキセントリックな活動を展開している「ドイツ銀行」でありました。

 

②三大都市の印象

  この度の401(k)調査のアメリカ旅行で、廻ってきた三大都市の各々2日間の印象は、「三つのE」でまとめることが出来ます。すなわち、ニューヨークは〈エネルギッシュ〉、ボストンは〈エレガント〉、サンフランシスコは〈エフィシェント〉(効率の良い)でありました。

 〈エネルギッシュ〉というのは、ウォール街目指してヒルトン・ホテルからタクシーを飛ばしたところ、N.Y.の事務所の一斉の引け時にぶつかり、半島のため溢れ出た車が一線に集まり渋滞で身動き出来ず、Uターンして次のスケジュールのためにお上りさんの〈ウォール街詣で〉がはたせなかったことによります。

 〈エレガント〉というのは、双発の超小型プロペラ機で、日が雲海の遥か彼方に沈んだばかりの午後8時半の薄暮の中、視野一面に街の明かりが木々の合間にさんざめき散在するボストン市街から新宿程度の高層ビルの一角目指して、高度をグイグイ下げてプロペラ機特有の身体に直に感じられる飛行体験をしつつ、川をまたいだと思ったら横揺れ・落下・浮遊・失速しつつ飛行場に滑り込んでいました。そこは、まさにフットライトの降り注ぐ〈ステージ〉そのもの。小さな感動が走りました。何のステージ?  人、様々でしょうが、筆者にとっては何やら〈死後の目〉のポジション成立か。この度の旅行全体を自分が〈飛天〉になって飛び回ったような気がする。少々、禿げてきました、太り気味の、落下しそうな〈飛天〉ではありますが。

 最後に〈エフィシェント〉というのは、市電のターンに機械を使わず、2人の赤髭の大男の人力で方向転換することに代表されているように、街全体が人間的なレベルで企画されていることを指しています。あえて言えば、人生の過ごし方の点で街全体が効率市場を形成しているようでした。きらびやかな人生の華とでも言うべき。そう言えば、街の中心のユニオン・スクエア(ビルの谷間の一角の小公園、我々のホテルは対面のセントフランシス)には、偶々画家たちの絵がたくさん展覧されていました。その公園には、エーゲ海のように湿気のまったくない陽光が燦々と降り注ぎ、人に容赦のない風そのものとも言うべき湿気のまったくない風が吹いていました。見回っているうちにオーク樹を描いた大きなエッチングが目に止まりしばし佇みました。傍らに同じ絵の絵葉書カードを見つけたので、ドル紙幣をポケットから引っ張り出したところ、「Oho,No No! 」と言われ、片腕を引っ張られ公園のエリアを出て歩道まで案内されてしまいました。そこで商い成立。そこで始めて了解成立。公園内で商いはご法度になっているのでした。

 

 

 

 

 

(以下略)

 

登録情報

フォーマット: Kindle版

ファイルサイズ: 2160 KB

紙の本の長さ: 43 ページ

出版社: 年金カウンセラー 高野 義博; 4版 (2013/12/28)

販売: Amazon Services International, Inc.

言語: 日本語

ASIN: B00FL9CO2M

PC・スマホ・タブレット対応

 

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②確定拠出年金はじめのはじまり


 

 確定拠出年金の入門書です。Q&Aで楽しみながら気軽にお読みいただけます。これからの年金、老後の生活について欠かせない資料となっております。

つまり、これは年金実務経験30年の著者が贈る若い人向けの応援歌です。

 

[目次]

1.はじめのはじまり

2.浪費家・貯蓄家・投資家

3.年代別資産配分

4.目標設定

5.投資商品の選択と運用

6.資産配分チェック

7.勝手格付けゲーム

 

確定拠出年金はじめのはじまり 

  1.はじめのはじまり

Q3 ひとつお聞きしたいのですが、最近始まった確定拠出年金について? <日本版401k>とか言うのですか……。

A ええっ、大上段に来ましたね。出来れば、ハッシと受け止め、ガバッと打ち据えたいのですが……それは別の本に当たってください。実務書はたくさん出版されています。それに理論や知識や技術はインターネットの検索でも調べられます。ここでは、導入というか、入り口辺りをお話するだけですが、宜しいですか?

つまり、確定拠出年金のはじめのはじまりです。

Q3 ストーリーがお聞きできればいいです。

A そお、ストーリーですね。確定拠出年金の筋書き、物語りですか……。

Q3 自分の立ち位置がわからず、うろうろしているものですから。

A そおですか。…じゃあ、始めてみましょうか、とはいえ、……。

う~ん、そお、これをまず見てください。この「米国401(k)調査記録」(平成11年1999・拙著)のここにこういう記事があります。 

「日本経済の10年に及ぶ超低金利のもと、確定給付型の厚生年金基金の積立不足、国際会計基準の導入等に伴う企業負担の増大を背景に規制緩和・公的年金等の改善の議論が沸き起こっていました。平成9年3月の自民党行革本部を端初に、平成10年3月規制緩和推進計画が閣議決定され、以後、自民党労働部会・勤労者拠出型年金等小委員会、年金審議会、自民党年金制度調査会・私的年金等小委員会、税制調査会等の審議を経て平成11年1月の関係4省(大蔵、厚生、通産および労働)による「確定拠出型年金制度準備会議」の設置を受け、この6月には具体的な制度設計が示されることになっていました。偶々、ボストンに移動するためのジョン・F・ケネディ空港に向かうバスの中で、6月9日付けの読売新聞国際版の自民党年金制度調査会・私的年金等小委員会(8日開催)において示された政府・自民党案「確定拠出型年金制度案」の記事のコピ-が配られました。この間、民間でも平成10年9月の経団連「確定拠出型企業年金制度の導入を求める」というレポ-トが出て、確定給付型、公的年金を含めて多方面に議論が巻き起こり、マスコミにも取り上げられセミナ-も多数開催され、関係書籍も多数出版されていました。情報過多のような状況でしたが、マイナス思考の考え方が圧倒的に多く、日本にいては視野が限定されていて今一つ分からない部分があり、<現場に行こう>ということになったとのことでありました。」

 Q3 盛んに研究されていたのですねぇ。

A ええ。…さて、それは別にして、このような法律成立前の動きがあった後、次のような経過を経て、確定拠出年金法が成立しました。

Q3 やはり、企業サイドの意向が強かったのですね。

A バブル崩壊で切羽詰っていましたからねぇ。確定拠出年金は、政府が、平成13年(2001)確定拠出年金法、平成14年(2002)確定給付企業年金法を制定し、新しく確定拠出年金(DC Defined Contribution)を導入したものです。これには、企業型と個人型がありますけど、時代のニーズに応えたものでしょう。この頃から働き方が多様化していましたので。

Q3 時代のニーズ、要請ですか?

A ええ、バブル崩壊後の日本経済の落ち込みはご承知でしょ。会社では生き残りのために旧秩序の見直しがされていますよね、護送船団方式とか成果主義とか代行返上とか、お聞きになったことありますよね。 

Q3 ええ、世の中混沌としていますものねぇ!

A 乱れているってことは、末は明るいのですよね。

Q3 そうですね。明るくするには、どうしたらいいんでしょう?

A まずは旧秩序の検証でしょう。それと時代の変化を読み取ることでしょうか。

Q3 検証……ですか。

A 戦後日本人は貧しかったので、政府や官僚や会社がしてくれることを唯々諾々と受けていたきらいがありますでしょ。

Q3 と言われてもねぇ、他になすすべもなかったんでしょう。それに雇われないなんて難しかったんでしょ。

A そうではあったのですが、一歩下がって、日本の年金の生い立ちを考えると受け身であったことにはちがいありませんでしょ。

Q3 そうですね、……。

A 日本の年金は、上(政府)から下(国民)へ提供されていたので、年金はもらうものでしたものねぇ。企業年金だって会社から、もらうものでしたもの。つまり、年金は二の次というか受け身だったんですよ!

Q3 そうですねぇ、……会社の先輩たちを見ていると。

A 新しい確定拠出年金の枠組みは、そこが違うんです。

Q3 そこって、

A つまり、もらうだけでよかったのが、かちとるに切り替わったということです。自分で老後資金を勝ち取る仕組みなんですよ。政府や会社は仕組みを用意するだけで、中身は自分で作るわけです。

Q3 そお、……。それって何かいいことありますか?

A メリットですね。ええ、今までにない最大のメリットは<個人勘定>だということでしょう。

Q3 なんですか、それは? どんぶり勘定と言うのは聞いたことありますけど。

A そうですね、日本の年金はこれまで全て政府の一括管理、つまりどんぶり勘定だったんです。例えば、「厚生年金勘定」はあっても、その中の自分の年金は幾らというのが不透明な仕組みだったのです。それもこれも、背景に国の会計が単式簿記の小遣い帳方式をベースにしているため、不透明になってしまうのです。

Q3 国の会計が単式簿記なんですか!

A ええ、国だけではなく、県や市町村もです。

Q3 そういえば、前に新聞で藤沢市が複式簿記にしたとかいうのを見たことがありました。他にも、実験的に取り組んでいるところがあるようですね。

A そうでした。ところで、<アフリカ諸国・北朝鮮・日本>で、なにを想像しますか。

Q3 えっ、なんだろう、核保有じゃないし、飢餓国……でもないし、なんだろう。

A ……実は、これは国の会計制度が単式簿記の国々です。未開国なんですよ、日本のインフラは。国民として恥ずかしい限りです。

Q3 ほほっ、ビックリしたなぁ。それが現実なんですか!

A そこへ風穴を開けるのが確定拠出年金の個人勘定です。これを端緒のひとつに日本の公会計もおいおい複式簿記になっていくのでしょう。国際会計基準も入ってくるし。でも、一言付け加えれば、私の経験では、健康保険組合は単式簿記でしたが、厚生年金基金は制度発足(昭和41年)以来複式簿記でした。それも、時価会計採用(平成8年)は企業会計より先行しました。

Q3 そうなんだ、知らなかったなあ! 皆、知っているのかな?

A 知る人ぞ知る、でしょうね。今の都知事とかね。でも、大企業のトップたちでさえ知らないのが実態のようですし、ほとんどの人が知らないでしょう。知っているふりをする人は多いようですが。それは別にして、この単式簿記の弊害を承知して、どんな政策提言よりも、国の根幹をなす複式簿記の導入を最優先課題とすべきでしょう。つまり、政府予算の使い切りという単年度予算の仕組みを変えなけりゃならないんです。あえて言えば、現在の日本の諸問題、<失われた20年>の根本原因は単式簿記だと考えることが出来ます。今の日本の諸悪の根源になっています。損を認識しなくていいので、というよりできないので延命可能な単式簿記、<借金は収入>のカラクリ、これを複式簿記にしなければ、何らかの特別な事案でも発生しない限り<失われた30年>となってしまいます。

Q3 そうなんですか!……僕もそう思います、あれはひどいですよね、年度末の道路工事! それに加えて、きたならしい駅前の電信柱と電線! ……で、確定拠出年金の個人勘定というのは僕にとってどういいんですか?

A 今、会社で働いていて厚生年金加入ですね。企業年金はありますか?

Q3 いいえ、ありません。

 

(以下略)

 

登録情報

フォーマット: Kindle版

ファイルサイズ: 1081 KB

紙の本の長さ: 33 ページ

出版社: 年金カウンセラー 高野 義博; 3版 (2013/12/8)

販売: Amazon Services International, Inc.

言語: 日本語

ASIN: B00GMY4XC4

PC・スマホ・タブレット対応

 

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③プロ野球選手よ! 年金はもらうもの?

 

 プロ野球選手よ!

 少年野球、中学野球、高校野球、そしてプロ野球とふるい落としの階段を駆け上がり、最盛期の20代を華やかに活躍してきて、気が付くと30代、人生下り坂最高! と叫べない現実にぶち当たり、当惑にからめとられるプロ野球選手の人生無手勝流。

 野球機構のいままでの年金は2011年に清算され、選手は放り出されることになりました。今の時代、無年金のまったくの裸で生きるのはハイリスクに過ぎます。

 高額年俸にもコーチや解説者にも無縁であれば、引退後の長い人生がのしかかってきますし、食う心配のほかに老後生活の不安も極端に増大します。

 働き方が多様になったとはいえ、誰もがフリーランスで成功というわけにはいかないでしょう。雇用や経営が不安定なのが今の時代。パート・契約社員・嘱託・派遣労働者等の老後はどうなるのでしょう。こうした時代にマッチした年金が「確定拠出年金」です。

 まずは、年金実務30年経験の年金カウンセラーがおすすめする以下の対談形式のご案内をお読みいただいて、プロ野球選手よ! 頼りにならない機構等から独立して、長い人生のスキルのひとつとして「確定拠出年金」を使って人生のハイリスクに挑戦してみよう。

 

  はじめに

日本の年金の推移を「年金はもらうもの?」なのかと糺します。たった今は、「もらうもの」というのが世間一般の通り相場のようです。現在のメディア、つまり本、新聞、TV、インターネット等でも、とか、とか、とか、つまり「年金はもらうもの」と言ったり書いたりしていますので、そう思われるのもいたしかたありません。

時代をさかのぼれば、大正・昭和1ケタ生まれの人は、「年金はいただくもの」という観念が一般的でした。それは、軍人恩給だったり役人の共済だったりしたのですから、国家から<賜る金子(きんす)>という意味合いが強かったのです。

それが、昭和2ケタ以降生まれの人になると、厚生年金や国民年金等が始まり、「年金はもらうもの」というふうに変わってきました。国民は保険料負担をしているのに「年金はもらうもの」という言い方が長いこと続き、今も引き継がれているのです。

ここには、恩給時代の遺風ばかりではなく、経済が三種の神器(終身雇用・年功序列・企業別組合)によって右肩上がりを続けていた<平和ボケ>が災いしました。年金は国家や企業に任せておけば足りましたので、もらうだけだったのです。逆に言えば、一人一人は国家や企業に絡め取られていました。ですから、夕方、サラリーマンはマージャン牌を転がし、立ち飲みで一杯引っかけ、愚痴っているだけでよかったのです。ところがここにきて、確定拠出年金が始まり、いままでの「もらうもの意識」ではいかんともしがたい事態になってきました。終章では、その具体的解決策をお示しします。

Q&A形式ですので、楽しく読めます。年金問題を俯瞰的に把握し、年金に対する覚醒をもたらします。

 

[目次]

プロ野球選手よ!                                                                              

はじめに                                                    

目次                                                    

序章 暖簾分け                                                

第1章 「もらうもの」になったわけ                                          

 1.官僚の観念論

 2.経済の「三種の神器」

 3.公的年金の賦課方式・世代間扶養

 4.厚生年金基金

 5.税制適格退職年金(適年)

 6.退職金

 7.要するに

第2章 「もらうもの」のゆらぎ                                           

 1.統制計画経済から自由主義経済へ移行

 2.官僚の立ちすくみ

 3.職場環境の激変

 4.終身雇用制年金から成果主義年金へ

 5.企業年金の変容

 6.受給権保護と受託者責任

 7.要するに

第3章 「かちとる」てだて                                             

 1.自分年金ツリー

 2.無年金の恐れ

 3.ねんきん定期便のチェックと保存

 4.年金履歴書

 5.就業形態別年金

 6.目を光らす!

 7.要するに

終章 確定拠出年金はじめのはじまり                                       

 1.はじめのはじまり

 2.浪費家・貯蓄家・投資家

 3.年代別資産配分

 4.目標設定

 5.投資商品の選択と運用

 6.資産配分チェック

 7.勝手格付けゲーム

おわりに                                                    

 

  あらまし

 Q1は誰? もしかして、あの人かな? 

 

常套句―これが世の中をたぶらかしているのを少々生きてくるとどなたでも経験します。しかし、一般的にはこれに疑念を持たずに日々の生活は展開します。そうして覚醒することもなく生活はその常套句にまぶされます。

例えば、平成二十四年現在、「年金をもらう」という言い方が昭和時代から引き続きいまだに一般的です。この言い方、フレーズ、常套句が「失われた二〇年」の難局の前に立ちふさがり、ブレイク・スルーが起動しておりません。

では、この「年金をもらう」というのはどのようにして常套句にまでなりおおせたのでしょう。

 

日本は戦後経済復興を果たす中で、官僚の采配・按配によって経済復興に携わった高齢者の老後を賄う年金を作りました。国民に老後の安心をもたらす年金を経済復興の順風にのり提供したのです。その年金の組成は、全面的に官の仕事として仕掛けられたものでした。国民には、「どうぞお受け取りください」というわけです。受け取る国民の方としては、官から「年金をもらう」というコースしかなく、他には選択肢はなかったのです。

 

それがどうでしょう。時代が「失われた二〇年」の難局を迎えてみると、従来の官僚の采配・按配という年金スキームがまったく機能しないことが明らかになってきました。それに、気がついてみると、年功序列も終身雇用も右肩上がり経済もないグローバル経済になっていました。もはや、年金は官が提供できない事態を迎えてしまいました。つまり、「年金をもらう」ことが実質できなくなったのです。つまり、これまでの常套句はナンセンスとなりました。

 

さあ、ここからが本番です。新しい常套句を生み出さなければならない事態となりました。幸い年金の新しいスキームが平成十三年(2001)にはじまりました。確定拠出年金法です。この普及に伴い、国民意識も変わっていくでしょう。「年金をつくる」という新たな常套句が様々な失敗の上に作られていくでしょう。終章で、「確定拠出年金はじめのはじまり」をご案内して、一つのノウハウをお示しいたします。

 

平成二十四年十一月

年金カウンセラー 高野 義博

 

第一章 「もらうもの」になったわけ

 1.官僚の観念論

Q2 どうして年金は「もらうもの」なんでしょう。皆、そう言うし、疑問に思っていないみたいだし……。

A じゃ、君はどう思っているのかな。

Q2 う~ん、どっちかと言うと、自分で請求するかなぁ。むしろ、払い戻しを受けるかな、保険料高いですしね。

A そうですか。それが、四〇代の平均的な感覚なのかねぇ。

Q2 う~ん、どうでしょうね。いろんな考え方と感じ方がありますから。

A じゃあ、日本の年金が「もらうもの」になった背景を一緒に考えてみましょうかねぇ。

Q2 ええ、……。

A はじめに年金の生い立ちを振り返りましょう。とは言っても、簡略に戦後から始めましょう。まず、日本の戦後経済復興は、GHQによって戦前の領土拡張政策を全否定され、変わって経済民主化政策(公職追放、財閥解体、独占禁止法、農地改革、労働組合育成等)によって始まりました。

Q2 学校の教室みたいですねぇ。

A そぉう。しばらく、ごめん! 追放を受けた前代の指導者層に変わってそこに登場したのが、満州建国の失敗から戻ってきた官僚たちでした。

Q2 満州浪人? が、徘徊していた時期があるんですってね。祖父に聞いたんですけど。

A その官僚たちの満州での経験に基づく考え方は、マルクス主義をモデルにして、ドイツ風観念論で統治するという縦割り行政の国家統制計画経済であったことは周知の事実です。

Q2 統制経済というのは聞いたことあるけど。

A その統治の仕掛けの数ある中のひとつは、国の会計制度・公会計(税金の使い道を明らかにするため昭和二十二年に法律化された財政法並びに会計法による会計)を、単式簿記(経済的取引を現金出納帳等を用いて記載することで、期中の収支と現時点の残高を簡単に把握できる会計方式。資金の収支重視で、財産・債務は二次的になる。)で行うというものでした。官僚の使い勝手が良い仕組みで、だぶつきや先送りが許容されました。例えば、〈借入れ〉が〈収入〉扱いされる類のものでした。そのような国家統制計画経済(計画を統制する国家運営)の仕掛けによって、復興に取り掛かりました。

Q2 戦後混乱期の緊急措置だったんですかねぇ。緊急が永続化したみたいですけど……。

A その判定は、歴史の審判に任せましょう。国家統制計画経済は経済界の三種の神器と右肩上がり経済と相まって、急速に日本経済を復興させました。一〇年後の昭和三十一年(1956)には「もはや戦後ではない」と言われ、日本型資本主義が成功しました。

Q2 そうでしたか。

A ところで、年金ですが、国家統制計画経済の下、年金は、社会保険方式の美辞麗句を掲げ、右肩上がり経済を前提にした計画で、国家が取りさばいて国民に付与するものとされました。

Q2 国家と言うことは、官僚が取りさばいたんですね。

A ええ。つまり、国民にすれば、年金は国家から「もらうもの」でした。

 

 (以下略)

 

 

登録情報

フォーマット: Kindle版

ファイルサイズ: 4379 KB

紙の本の長さ: 112 ページ

出版社: 高野 義博; 3版 (2014/1/16)

販売: Amazon Services International, Inc.

言語: 日本語

ASIN: B00ES4I0LA

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