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確定拠出年金をはじめる方への 先人のドハハな教え!-1

2014年08月01日 | 資産運用

 

素材抜粋                                                                                 2000/12/5

 

不完備制度の完備化

 

刈谷武昭著『金融工学とは何か』-リスクから考える

岩波新書 2000年

 

 

 

高度に蓄積された資本がみずからの効率的利用(リスクとコストを小さく、収益を大きくする無駄のない利用)を求めてその投資先を国際規模に拡大したいという欲求に情報技術革命が反応し、世界の資本市場の統合化あるいはグローバル化を急速に進めている。

その中で金融は、この資本の効率的利用の欲求にもとづいて、情報技術の大きな利用者・需要者として情報技術革命を促進していく役割を果たしている。さらに、金融は、情報技術と融合をして、互いに反応しながら、お金の流れや資本の利用あるいは経済自体を効率化していくと同時に、金融自体のあり方あるいは制度、システムも大きく変革していく。一言でいうなら「制度から機能へ」と。

 

日本の金融システムに関わる問題点は、当局が金融は重要な産業に資金を配分するという「産業金融」の歴史的経験から、「金融は制度である」と錯覚したことによる点が極めて大きい。

 

……伝統的金融の視点では、金融の見方(概念的枠組み)としては銀行、証券、保険といった業態を中心としたインスティチューショナル(業態的、制度)アプローチによる見方を最近までしていた。これが個人金融資産で1300兆円を超える「金融資産ストック時代」の、進化した金融の見方としてはなじまなくなってきたことは指摘したとおりであるが、それに変わる見方(概念的枠組み)が金融の機能によるファンクショナル(機能的)アプローチである。

 

機能的金融は、金融商品を媒介にして世界の中でのリスクの最適配分をするだけでなく、その最適性が十分でないときには商品の発生や制度の変更を促す。これを「不完備制度の完備化」プロセスとみる。さらにベンチャー企業の資本市場の創設などもこのプロセスの例であると見る。

 

広義の金融技術は、資本市場の機能・金融の機能を促進させる手段であり、経済社会の中でのリスクシェアリングの機会の拡大や取引コストの低下、情報コストやエージェンシー(代理人)コストの減少による効率性の改善を促す。そして金融技術は資本サービス業としての金融業にとっての付加価値を生産する手段である。

 

さらにまた各国の金融システムのあり方も、この資本市場の機能の効率化のためにあるべきであり、当局の制御可能性や金融政策のためでない。……。世界の高度に蓄積された資本は資本市場の機能の効率化を要求し、市場システムとして空間的(場所的)、時間的同質性を促し、ゲームのルールが共通なシステムを作ろうとしている。その例が、2001年3月の決算期からスタートする時価会計と国際会計基準に基づく情報開示である。

 

機能的視点からの資本主義経済システムは完成形のないオープンシステムであり、従ってシステムの設計・開発において重要な点は、時間と共に変更可能性をもつオープンかつ動的なシステムとなることであろう。

 

日本の当局は新しいシステム設計能力が弱かった。当局のレベルアップ、専門的官僚の中途採用やインセンティブシステムの導入が必要であるだけでなく、日常化したルーティン的業者行政から脱却し、知的ベースの拡大が必要である。

 

 

 (以下略)


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