北が送った通知文の内容は…韓国軍の発表と大きな食い違い
韓国大統領府(青瓦台)が25日公開した北朝鮮からの通知文には、公務員A氏の射殺と遺体損壊についての説明が記載されているが、その内容は韓国軍の主張と様々な点で食い違っている。韓国軍は「北朝鮮がA氏を射殺し、遺体を燃やす際に非人道的、非倫理的な状況があった」と指摘した。しかし通知文によると、北朝鮮は「境界地域における決められた手続きに従っただけで、大きな過ちはしていない」という趣旨の主張を行った。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は通知文の中で「非常に申し訳なく思う」との意向を伝えた。あたかも国際社会から非難を受けるような行動はなかったかのように通知文を作成したのだ。韓国軍からは「北朝鮮特有の二重プレー」との批判が出ている。
北朝鮮からの通知文と韓国軍の分析は、A氏に対する北朝鮮の虐待・射殺をめぐる詳細な内容について決定的に食い違っている。韓国軍は「北朝鮮の船舶は、6時間以上にわたりA氏が使っていた浮遊物をロープにつないで引きずり回し、最初の発見からかなり時間が過ぎてから射撃を加えた」と推測している。これに対して北朝鮮はこれら一連の過程を省略し、「A氏は西海で北方限界線(NLL)を越えてきたため、通常の警告射撃を行った」という趣旨の説明を行った。北朝鮮は「取締りのための命令に引き続き応じなかったため、さらに接近して2発の空弾(空砲)を撃つと、正体不明の対象が逃走するかのような状況になった」「これに対して10発以上の銃弾を違法侵入者に向けて発砲した。この時の距離は40-50メートルだった」と主張した。
北朝鮮は詳細な説明をしていないが、「NLL越線に対応するための一般的な対応だった」と主張しているようだ。6時間にわたりロープでA氏を船舶近くで引きずり回した状態で、「海上で取り調べ」を行ったことについては全く説明せず、自分たちの行為が「自衛権的対応だった」と一方的に主張しているのだ。韓国軍は諜報を通じ、A氏が数時間にわたりコロナ感染者とみなされ、さらには射殺という極端な措置が取られたと考えているが、これが事実であれば非常に異例のことだ。ある韓国軍関係者は「北朝鮮がそのような行動を取るとは考えることさえできなかった」と語るほどだ。
A氏の遺体損壊についても南北の主張は明らかに食い違っている。韓国軍は「北側は22日午後10時ごろ、射殺されたA氏の遺体に油をかけて火をつけ、その火は40分間観測された」と明らかにした。これに対して北朝鮮は「射撃後に捜索したが、侵入者(A氏)は浮遊物にはおらず、大量の血痕が確認された」「違法侵入者は射殺されたものと判断し、侵入者が乗っていた浮遊物は国家防疫非常対策に従って海上の現地で焼却した」と主張した。遺体ではなく浮遊物を燃やしたというのだ。
韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ専門研究委員は「24時間以上を経て海上で浮遊物を捕らえ、漂流していた人間が警備艇の前で逃走を企てたので警戒勤務規定に従って射殺したという内容や、またライフジャケットを着用していたのに銃撃を受けた人間は海中に沈み、浮遊物だけが残ったというのは常識的に考えて納得できない」「浮遊物につかまり気力が尽きていた人間が、北朝鮮軍にとって脅威になるとは考えられない。北朝鮮の主張は韓国国民の殺人を正当化し、これを隠ぺいするための詭弁(きべん)に過ぎない」と指摘した。ある韓国軍関係者は「常識的に考えて、チューブ1つを燃やすのに40分もかかるとは考えられない」と疑問を呈した。
これらの点から考えると、北朝鮮が通知文を通じて表明した「謝罪」が本心かどうかも疑わしくなる。青瓦台(韓国大統領府)の徐薫(ソ・フン)国家安保室長は、北からの通知文に韓国国民への謝罪と遺憾の表明、再発防止に関する内容があったと説明したが、北朝鮮はこれらの内容を現時点では公表していない。金正恩氏は「謝罪」という言葉ではなく「申し訳なく思う」という言葉を使った。徐室長は「北朝鮮は迅速に対応した」と強調しているが、北朝鮮は22日の事件発生から2日以上にわたり沈黙を続け、前日に韓国政府が強い糾弾に乗り出すと、この日になって通知文を送ってきた。
京畿大学の南柱洪(ナム・ジュホン)教授は「金正恩氏の謝罪は、これまで長く続いてきた北朝鮮式二重プレーの繰り返しだ」「最高統治者が介入した蛮行であることを明確にした1976年のポプラ事件当時も、自分たちが不利と考えれば遺憾だけを表明してあいまいにやり過ごすか、あるいは『下の人間たちがやったこと』として言い逃れをしてきた」と指摘した。
梁昇植(ヤン・スンシク)記者
韓国大統領府(青瓦台)が25日公開した北朝鮮からの通知文には、公務員A氏の射殺と遺体損壊についての説明が記載されているが、その内容は韓国軍の主張と様々な点で食い違っている。韓国軍は「北朝鮮がA氏を射殺し、遺体を燃やす際に非人道的、非倫理的な状況があった」と指摘した。しかし通知文によると、北朝鮮は「境界地域における決められた手続きに従っただけで、大きな過ちはしていない」という趣旨の主張を行った。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は通知文の中で「非常に申し訳なく思う」との意向を伝えた。あたかも国際社会から非難を受けるような行動はなかったかのように通知文を作成したのだ。韓国軍からは「北朝鮮特有の二重プレー」との批判が出ている。
北朝鮮からの通知文と韓国軍の分析は、A氏に対する北朝鮮の虐待・射殺をめぐる詳細な内容について決定的に食い違っている。韓国軍は「北朝鮮の船舶は、6時間以上にわたりA氏が使っていた浮遊物をロープにつないで引きずり回し、最初の発見からかなり時間が過ぎてから射撃を加えた」と推測している。これに対して北朝鮮はこれら一連の過程を省略し、「A氏は西海で北方限界線(NLL)を越えてきたため、通常の警告射撃を行った」という趣旨の説明を行った。北朝鮮は「取締りのための命令に引き続き応じなかったため、さらに接近して2発の空弾(空砲)を撃つと、正体不明の対象が逃走するかのような状況になった」「これに対して10発以上の銃弾を違法侵入者に向けて発砲した。この時の距離は40-50メートルだった」と主張した。
北朝鮮は詳細な説明をしていないが、「NLL越線に対応するための一般的な対応だった」と主張しているようだ。6時間にわたりロープでA氏を船舶近くで引きずり回した状態で、「海上で取り調べ」を行ったことについては全く説明せず、自分たちの行為が「自衛権的対応だった」と一方的に主張しているのだ。韓国軍は諜報を通じ、A氏が数時間にわたりコロナ感染者とみなされ、さらには射殺という極端な措置が取られたと考えているが、これが事実であれば非常に異例のことだ。ある韓国軍関係者は「北朝鮮がそのような行動を取るとは考えることさえできなかった」と語るほどだ。
A氏の遺体損壊についても南北の主張は明らかに食い違っている。韓国軍は「北側は22日午後10時ごろ、射殺されたA氏の遺体に油をかけて火をつけ、その火は40分間観測された」と明らかにした。これに対して北朝鮮は「射撃後に捜索したが、侵入者(A氏)は浮遊物にはおらず、大量の血痕が確認された」「違法侵入者は射殺されたものと判断し、侵入者が乗っていた浮遊物は国家防疫非常対策に従って海上の現地で焼却した」と主張した。遺体ではなく浮遊物を燃やしたというのだ。
韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ専門研究委員は「24時間以上を経て海上で浮遊物を捕らえ、漂流していた人間が警備艇の前で逃走を企てたので警戒勤務規定に従って射殺したという内容や、またライフジャケットを着用していたのに銃撃を受けた人間は海中に沈み、浮遊物だけが残ったというのは常識的に考えて納得できない」「浮遊物につかまり気力が尽きていた人間が、北朝鮮軍にとって脅威になるとは考えられない。北朝鮮の主張は韓国国民の殺人を正当化し、これを隠ぺいするための詭弁(きべん)に過ぎない」と指摘した。ある韓国軍関係者は「常識的に考えて、チューブ1つを燃やすのに40分もかかるとは考えられない」と疑問を呈した。
これらの点から考えると、北朝鮮が通知文を通じて表明した「謝罪」が本心かどうかも疑わしくなる。青瓦台(韓国大統領府)の徐薫(ソ・フン)国家安保室長は、北からの通知文に韓国国民への謝罪と遺憾の表明、再発防止に関する内容があったと説明したが、北朝鮮はこれらの内容を現時点では公表していない。金正恩氏は「謝罪」という言葉ではなく「申し訳なく思う」という言葉を使った。徐室長は「北朝鮮は迅速に対応した」と強調しているが、北朝鮮は22日の事件発生から2日以上にわたり沈黙を続け、前日に韓国政府が強い糾弾に乗り出すと、この日になって通知文を送ってきた。
京畿大学の南柱洪(ナム・ジュホン)教授は「金正恩氏の謝罪は、これまで長く続いてきた北朝鮮式二重プレーの繰り返しだ」「最高統治者が介入した蛮行であることを明確にした1976年のポプラ事件当時も、自分たちが不利と考えれば遺憾だけを表明してあいまいにやり過ごすか、あるいは『下の人間たちがやったこと』として言い逃れをしてきた」と指摘した。
梁昇植(ヤン・スンシク)記者
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