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【#中央日報】【コラム】終戦宣言、韓国を破滅に導く巨大な罠にも

2020-11-03 15:53:32 | 新聞記事
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は9月23日の国連基調演説で「終戦宣言こそが韓半島(朝鮮半島)非核化と同時に恒久的平和体制の道を開くことになるはず」と強調した。また与党議員らは「終戦宣言要求決議案」を発議し、外交統一委員会に上程した。国民の生存と安全を揺るがしかねない終戦宣言が、国民の意見も十分に聴かず、与党によって一方的に進められている。

終戦宣言とは戦争を終了させる交戦当事国の共同意思表明だ。大きく2種類がある。一つは戦争で勝利した側の一方的な終戦宣言であり、もう一つは交戦当事国間の合意に基づく終戦宣言だ。与党が推進する終戦宣言は後者に該当する。これは相手の意図ほど複雑であり、結果を予測しがたい。このため慎重でなければならない。

与党関係者の発言をみると、終戦宣言に大きく3つの意味を付与している。平和協定の予備段階、北朝鮮非核化の入口、ふさがった南北関係の突破口だ。その妥当性を確かめてみよう。

1つ目、終戦宣言と平和協定は一体だ。終戦宣言だけを独立的に使用しない。なぜなら終戦宣言は法的拘束力がなく、それ自体では実効性がないからだ。終戦宣言は終戦を保障するわけではない。平和協定締結時に序文または最初の部分に終戦を明示するものであり、象徴性と共に実効性を後押しする。平和協定の予備段階としての終戦宣言は実益も意味もない。こうした終戦宣言にこだわるよりも、北朝鮮の非核化措置を加速させるのが韓半島(朝鮮半島)の平和に合う。

◆終戦宣言は平和を保障しない
2つ目、終戦宣言は非核化の入口にならない。まず盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時、終戦宣言は北朝鮮非核化「促進」の手段として提示された。現在は終戦宣言の前提条件である北朝鮮の非核化に言及もしない。北朝鮮が具体的な非核化ロードマップや検証案さえも提示していない状態で終戦宣言を先に推進するのは危険を自ら招く姿となる。特に終戦宣言自体に拘束力がないため、北朝鮮が非核化しない場合、それを強制したり、終戦宣言を取り消したりするいかなる装置も保障もない。結局、北朝鮮の善意だけに頼り、非核化をさらに遅延させる可能性がある。

3つ目、南北関係を改善するための政府のさまざまな試みは望ましい。しかし終戦宣言に対する過度な執着は南北関係をさらに難しくさせる。特に終戦宣言が北朝鮮の機嫌をとる手段として利用される場合、誤ったメッセージが伝えることになる。北朝鮮が南北関係断絶を一方的に宣言し、開城(ケソン)工業団地の南北連絡事務所を爆破し、海上に漂流する韓国の公務員を惨殺する蛮行を犯した中で終戦宣言を推進すれば、「悪い行動をすれば譲歩を引き出せる」という認識を与え、今後さらに挑発を選択させる可能性がある。

このように与党が付与した3つの意味を評価すると、終戦宣言の緊急性と有用性の側面でその必要性と妥当性は認めがたい。では、終戦宣言に隠された危険性にはどんなものがあるのだろうか。

1つ目、歴史的な事例を見ると、終戦宣言や平和協定は平和を保障するよりも、戦争につながった事例が多い。平和は平和の条件がそろった場合に長く維持されている。平和の条件の核心は3つある。当事国間の価値と利益の共有、信頼と透明性、勢力の均衡だ。

国際関係の側面で見ると、当事国が追求する価値である自由・人権・市場経済などが同じで相互国家利益が一致すれば、平和は長く持続する。さらに国家体制が開放的であり信頼と透明性が保障されれば、さらに長続きする。価値と利益が異なり、閉鎖的な独裁体制で透明性がなく、信頼が構築されていない当事国の間では、軍事的な勢力均衡が平和を維持する。現在の南北関係がそうだ。

我々は韓国戦争以降の70年間、平和を維持しながら民主化し、世界10大経済大国に成長した。それは国民の血と汗の結晶だが、韓米同盟が南北の軍事的勢力の均衡を支えて平和を維持したことで可能だった。強力な韓米同盟が北朝鮮に戦争を起こす意欲を失わせて遮断したため、今日の繁栄と平和を享受することができた。この力を基礎に我々は未来に向かって進んでいる。終戦宣言は現在の南北勢力の均衡を崩す罠になるかもしれない。

2つ目、勢力の均衡が崩れる過程にも多くの危険が隠れている。終戦が宣言されれば平和が到来したという錯覚が誘発され、国内の葛藤と内部分裂に向かう可能性がある。まず「わが民族同士」という北朝鮮の心理戦と共に、「国連軍司令部解体」という主張が登場するだろう。国連軍司令部が解体されれば、停戦を監視して南北衝突時に仲裁する役割がなくなり、不安は加重するしかない。

◆国民の安全に背を向ける政権の安保は危険
続いて国内の反米・左派勢力による韓米連合訓練の撤廃、在韓米軍の撤収、韓米同盟の廃止という要求が強まるだろう。この場合、米国内の在韓米軍駐留に対する否定的な世論が広がり、韓米同盟の弛緩と在韓米軍の撤収につながる。結局、平和を守る力の弱化と同時に安全装置までが消え、北朝鮮の核の人質になったり従属したりすることになる。南ベトナムの崩壊過程を踏襲するものであり、強く懸念される。

3つ目、国民の安全に背を向けた政権の安保の危険性を警戒する必要がある。1592年に始まった壬辰倭乱は7年間で朝鮮を荒地にした。当時は朝鮮の人口が800万人だったが、200万人の死傷者が発生したという。「酒に酔った明国の兵士が奪った食べ物を路上で出すと人々が争って拾って食べ、弱い者はそれも得られず泣き叫ぶ。これが人の世の中なのか、餓鬼の地獄か」。当時の惨状を知らせる『懲ヒ録』の記録だ。

民を地獄に追い込んだ責任が誰にあるのか。これは王権維持に執着した先祖、嘘の報告で付和雷同した金誠一(キム・ソンイル)通信使、党利党略に陥った政治家の合作だ。問題は誰も責任を取らなかった点だ。責任どころか逃げるのに忙しかった。結局、7年間の倭乱による被害はそのまま民が受けることになった。我々がしっかりと終戦宣言を見守らなければいけない理由だ。

我々が追求する自由・民主・人権の価値は北朝鮮の社会主義独裁体制の価値とは共存できない。北朝鮮が望むのは自由大韓民国を共産化して服属させることだ。現政権が前に出す「平和な南北共存」は幻想にすぎない。その幻想から早く目覚める必要がある。そうでなければ終戦宣言は韓国を破滅に導く巨大な罠になるかもしれない。「終戦が宣言されても、いつでも平和が終わり戦争が再発する可能性がある」という歴史的真実が胸を押さえつける。

金龍顕(キム・ヨンヒョン)/元合同参謀本部作戦本部長/韓半島統一戦略研究所専門委員


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