所感は、「人を育み、まちを育む~『人づくり日本一』を目指して~」と題されている。文科省出身で、昨年の市長選挙で「人づくり」をしきりに強調していた市長らしいタイトルだ。
「政策の基本的な考え方」で、すべての分野のベースが「人づくり」としながら、「教育、雇用、医療、福祉、農林水産業など、各分野を支える人の力を伸ばせば、無限大の力が発揮できる」と、本市を「人づくり日本一」のまちにするというのだ。「若者から高齢者まで、あらゆる世代が、いわきに魅力を感じ、いわきを誇りに思う。そんなまちを『人づくり』で実現します」ともいっている。
「人づくり」を考えた時、思い浮かぶのは子どもに対する施策だ。幼児期、小中学校、高校を通した子どもの成長過程で、どのような施策が展開されようとしているかということだった。
ここに関わる施策として「中長期の課題」をあげ、「5つの柱」を以下のように示した。
1 まちの魅力を高めます!
2 命を守ります!
3 暮らしを守ります!
4 地域を元気にします!
5 未来を先取りします!
「人づくり」は、生涯を通した各年代での取り組みの総合力によってなるのだろうが、やはり、成長が著しい子どもたちに対して具体的にどのような施策を展開が気にかかるところだ。
1つ目の柱「まちの魅力を高めます」にそれはある。「人づくり日本一と学力日本一に向けて、児童生徒の学力向上策を強化」するとある。
そのために、学力調査の結果分析や学校指導体制を強化する「学力向上チーム」を創設するという。
また、教育環境の充実には、小中学校に配置されている1人1台のタブレット端末を活用するという。以下、少し長いが引用してみる。
「教職員が子どもたち一人ひとり向き合い、コンピューターとの分業で子どもたちの知的好奇心を育んでいく。その子に合った教育、いわゆる『愛日の個別最適化』を通じて、学力の底上げを図っていきます。特別支援教育においても、発達障害の可能性のある子どもを含め、障がいのあるすべての子ども一人ひとりの教育的ニーズを把握し、さらに充実させていきます。」
以前、学力世界一と言われたフィンランドの教育事情に触れた本を読んだことがある。その中で、子ども達の知的目覚めを辛抱強く待ち、目覚めのタイミングを見計らって、その子の興味や関心の高い分野からアプローチしていく教育方法をとっていることを知った。子どもの発達の到達点には個によって違いがあるため、それを踏まえた教育を施すことを大切にしているようだ。
このため、教師には、子どもの発達状況や変化を見極める力と、子どもの発達状況を踏まえた教育のアプローチを構築する力が求められるようだが、同時に、日本の小中学校にあたる基礎学校(9年間)の一クラスの生徒数は20人から25人で、授業内容によってはさらに小さなグループに分けることも多いという。
コンピューターの教育への導入は、教育の省力化につながるだろうか。むしろ、コンピューターの適切な使用法や、また、個別に対応する活用方法を構築するため、現場負担の肥大化が想定されるように思う。
コンピューター等を利用するなら、それを十分活用できるような条件整備をどう進めるかが課題になるように思う。一人ひとりの教員のがんばりに頼ることだけになってはならないと思う。
また、教育環境整備の一環としては、市長自身の学校給食関連の公約の実現の道筋も気にかかる。今回の年頭所感には含まれていない。たしか、3候補がこの公約に触れ、落選した2候補が無償化、内田市長は負担の軽減を公約していたと思う。
具体的にどう負担の軽減に迫るのか。コロナ禍で家計への影響も大きいと思われる中、どのように軽減を図るのか、気にかかるところだ。市長初議会となった昨年10月定例会の一般質問には、「今後、調査・研究してまいります」と教育部長に答弁させていた。
「調査・研究」は、たぶん「検討」よりも前の段階の答弁となる。現職の時代には〝やらない〟と同義語と認識していた答弁だ。市民のためになる公約を守るためには、市長に全力を挙げた欲しいと思う。
ちなみに、以前、給食費もそうだが、補助教材の購入費が、結構、保護者の負担になっている実体を知り、その軽減を求めたことがあった。最近、補助教材を行政が一括して購入して生徒に貸し出し、毎年授業で活用している自治体の例など聴いた。補助教材は、担当する教員が選んでいるため、一律に軽減することは難しい聞いたことがある。しかし、実施している自治体に学んで、学校横断で強化の教育方法を検討して統一した教材を使うようにしたら良いのではと思うのだが・・。
第3の柱「くらしを守ります!」には、東京電力第一原子力発電所の事故対応で発生している処理水について、「科学的根拠を分かりやすく、丁寧に説明し、国民や関係者の理解を得ることに全力を尽くすよう、引き続き、区に及び東京電力に対し、強く求めていきます」としている。
政府は、国民に対する説明として、若干の取り組みを遅ればせながら始めたようだが、その取り組みの規模なども含めて、不十分な状況にあると思う。大切なのは、国民理解のもとに、今後の対応方針を決定することにあると思う。
残念ながら、国は、処理方針を決めた上で説明している。2年後なりの一定の時期に放出ありきでアリバイ的に国民に説明する、いわばガス抜き行為にしか聞こえてこない。最初に処理水の性質等について国民理解があるから、処理水の対応について国民的理解が広がるのではないかと思う。従って、政府が決めた処理方針ありきをやめることを政府に求めることが大切になっているように思う。
そもそも、事故から10年を経過して、その間に、トリチウムを含む水がたびたび問題になってきた。処理水を放出するといったら問題が大きくなることは火を見るよりも明らかだったはずだ。
にもかかわらず、政府は、国民に対する説明はほぼしないままに経過し、結論の処理水の海洋放出を決定した。これでは、関係者も含めて納得が広がらず、反対の声があふれ出すのも当然だろう。
現在の処理方針は棚上げし、まずは、国民的な大規模な説明、そして一定の理解が広がった後に方針決定と、市長にも一歩踏み込んでほしいものだ。
全体を通して思うのは、所管には基本的にこれまでの施策が盛り込まれ、市長の施策展開の柱に沿って並べ直したという印象だ。市長が交代したからといって、これまでの取り組みをガラッと変えることは難しいのかもしれない。
所管を読んだ勝手な感想を書いてみた。それにしても、今回の所管の上に、具体的にどんな予算編成がされるのだろう。その時期の報道をまとう。
「政策の基本的な考え方」で、すべての分野のベースが「人づくり」としながら、「教育、雇用、医療、福祉、農林水産業など、各分野を支える人の力を伸ばせば、無限大の力が発揮できる」と、本市を「人づくり日本一」のまちにするというのだ。「若者から高齢者まで、あらゆる世代が、いわきに魅力を感じ、いわきを誇りに思う。そんなまちを『人づくり』で実現します」ともいっている。
「人づくり」を考えた時、思い浮かぶのは子どもに対する施策だ。幼児期、小中学校、高校を通した子どもの成長過程で、どのような施策が展開されようとしているかということだった。
ここに関わる施策として「中長期の課題」をあげ、「5つの柱」を以下のように示した。
1 まちの魅力を高めます!
2 命を守ります!
3 暮らしを守ります!
4 地域を元気にします!
5 未来を先取りします!
「人づくり」は、生涯を通した各年代での取り組みの総合力によってなるのだろうが、やはり、成長が著しい子どもたちに対して具体的にどのような施策を展開が気にかかるところだ。
1つ目の柱「まちの魅力を高めます」にそれはある。「人づくり日本一と学力日本一に向けて、児童生徒の学力向上策を強化」するとある。
そのために、学力調査の結果分析や学校指導体制を強化する「学力向上チーム」を創設するという。
また、教育環境の充実には、小中学校に配置されている1人1台のタブレット端末を活用するという。以下、少し長いが引用してみる。
「教職員が子どもたち一人ひとり向き合い、コンピューターとの分業で子どもたちの知的好奇心を育んでいく。その子に合った教育、いわゆる『愛日の個別最適化』を通じて、学力の底上げを図っていきます。特別支援教育においても、発達障害の可能性のある子どもを含め、障がいのあるすべての子ども一人ひとりの教育的ニーズを把握し、さらに充実させていきます。」
以前、学力世界一と言われたフィンランドの教育事情に触れた本を読んだことがある。その中で、子ども達の知的目覚めを辛抱強く待ち、目覚めのタイミングを見計らって、その子の興味や関心の高い分野からアプローチしていく教育方法をとっていることを知った。子どもの発達の到達点には個によって違いがあるため、それを踏まえた教育を施すことを大切にしているようだ。
このため、教師には、子どもの発達状況や変化を見極める力と、子どもの発達状況を踏まえた教育のアプローチを構築する力が求められるようだが、同時に、日本の小中学校にあたる基礎学校(9年間)の一クラスの生徒数は20人から25人で、授業内容によってはさらに小さなグループに分けることも多いという。
コンピューターの教育への導入は、教育の省力化につながるだろうか。むしろ、コンピューターの適切な使用法や、また、個別に対応する活用方法を構築するため、現場負担の肥大化が想定されるように思う。
コンピューター等を利用するなら、それを十分活用できるような条件整備をどう進めるかが課題になるように思う。一人ひとりの教員のがんばりに頼ることだけになってはならないと思う。
また、教育環境整備の一環としては、市長自身の学校給食関連の公約の実現の道筋も気にかかる。今回の年頭所感には含まれていない。たしか、3候補がこの公約に触れ、落選した2候補が無償化、内田市長は負担の軽減を公約していたと思う。
具体的にどう負担の軽減に迫るのか。コロナ禍で家計への影響も大きいと思われる中、どのように軽減を図るのか、気にかかるところだ。市長初議会となった昨年10月定例会の一般質問には、「今後、調査・研究してまいります」と教育部長に答弁させていた。
「調査・研究」は、たぶん「検討」よりも前の段階の答弁となる。現職の時代には〝やらない〟と同義語と認識していた答弁だ。市民のためになる公約を守るためには、市長に全力を挙げた欲しいと思う。
ちなみに、以前、給食費もそうだが、補助教材の購入費が、結構、保護者の負担になっている実体を知り、その軽減を求めたことがあった。最近、補助教材を行政が一括して購入して生徒に貸し出し、毎年授業で活用している自治体の例など聴いた。補助教材は、担当する教員が選んでいるため、一律に軽減することは難しい聞いたことがある。しかし、実施している自治体に学んで、学校横断で強化の教育方法を検討して統一した教材を使うようにしたら良いのではと思うのだが・・。
第3の柱「くらしを守ります!」には、東京電力第一原子力発電所の事故対応で発生している処理水について、「科学的根拠を分かりやすく、丁寧に説明し、国民や関係者の理解を得ることに全力を尽くすよう、引き続き、区に及び東京電力に対し、強く求めていきます」としている。
政府は、国民に対する説明として、若干の取り組みを遅ればせながら始めたようだが、その取り組みの規模なども含めて、不十分な状況にあると思う。大切なのは、国民理解のもとに、今後の対応方針を決定することにあると思う。
残念ながら、国は、処理方針を決めた上で説明している。2年後なりの一定の時期に放出ありきでアリバイ的に国民に説明する、いわばガス抜き行為にしか聞こえてこない。最初に処理水の性質等について国民理解があるから、処理水の対応について国民的理解が広がるのではないかと思う。従って、政府が決めた処理方針ありきをやめることを政府に求めることが大切になっているように思う。
そもそも、事故から10年を経過して、その間に、トリチウムを含む水がたびたび問題になってきた。処理水を放出するといったら問題が大きくなることは火を見るよりも明らかだったはずだ。
にもかかわらず、政府は、国民に対する説明はほぼしないままに経過し、結論の処理水の海洋放出を決定した。これでは、関係者も含めて納得が広がらず、反対の声があふれ出すのも当然だろう。
現在の処理方針は棚上げし、まずは、国民的な大規模な説明、そして一定の理解が広がった後に方針決定と、市長にも一歩踏み込んでほしいものだ。
全体を通して思うのは、所管には基本的にこれまでの施策が盛り込まれ、市長の施策展開の柱に沿って並べ直したという印象だ。市長が交代したからといって、これまでの取り組みをガラッと変えることは難しいのかもしれない。
所管を読んだ勝手な感想を書いてみた。それにしても、今回の所管の上に、具体的にどんな予算編成がされるのだろう。その時期の報道をまとう。
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