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かつてのMBA(経営修士)学びレポート

協調学習

2008-10-09 23:17:24 | 大学教育・学び
「学ぶ」方法論のひとつに「協調学習」がある。学生同士が共同で活動したり、相互に教えあうこと。共同で活動することには、グループワーク、グループデイスカッション、共同研究などがある。企業研修でも、ゲームや経営シミュレーションを使ったグループワークも実施さあれている。後者の教えあうことには、グループの中で学生が順番に研究発表して、全体の知を効率的に高めいく。

協調学習を研究した研究者によると、協調学習の効用に「学習者同士の相互作用を通して、全員の理解が収束に向かうこと」であると唱えたロシュエルの説と、これに真っ向から対立する理論として「強調学習では理解はなかなか統合されない。一人ひとりは違った視点を持っている。それだからこそ、高いレベルの理解がなされる。」とする三宅なほみさんの説がある。私自身の経験からは、どちらの説も正しい。

MBAでは、教授から示されるアサインメント課題で、2~4名のグループでの研究発表がある。MBAが優れているのは、違ったバックグラウンドをもった学生が集まっているところにある。自分の会社の人間同士では思いつかない発想、持っていない知識や経験があるので、自分では思いつかない結論に至ることがある。
昨年のマーケティングの授業でシャープ・アクオスのブランド戦略をグループで研究したときのこと。私は、広告で絵画を用いるのはどういう意図か?ということに対して、絵画は吉永さゆりさんのイメージにあっているし、高い液晶技術をポジショニングするためと考えていたのだが、相方から、「テレビを変えると暮らしが変わる」というコピーはどう説明がつくのか?という問題提起があった。そこから、議論は盛り上がって、「暮らしが変わる」というには、観る番組が変わることをさしているのではないか?芸術的、文化的なもの、美しいものを観たくなるのがアクオスなのだから、暮らしが変わるのだよ、というメッセージではないか?ということが理解できた。

京都大学が策定した基本理念の中で教育の項にはこうある。「多様かつ調和のとれた教育体系のもと、対話を根幹として自学自習を促し、卓越した知の継承と創造的精神の涵養につとめる。」この中で、 “対話を根幹として”とあるのは、 京都大学では自由な校風と自主性を大切にしているゆえに、教師教えるのではなく、相互に学びあうことを理念としている。ただ、対話が効果を発揮するためには、お互いが違った視点や思考を持っていることが必要だと思う。同質の人間が集まっても、あまり発展性はない。同じ会社の中で議論していても、なかなか新しいアイデアが出ないのと同じことだ。

大学教育でも、例えば、他学部の学生同士、文科系と理科系の学生を意図的にグルーピングして、共同学習、共同研究をさせてみるのも効果があると思う。医学部と文学部の学生、3回生と1回生、東北出身者と九州出身者の組み合わせなど。医学部と文学部ではその学部を選んだ理由も違うし、将来の職業観も違う。なぜこうも違うのか、という問題意識が発端となって、相手の学問の興味関心が湧いてくるかもしれない。クロス・ファンクショナルな学習活動っていいよね。

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