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かつてのMBA(経営修士)学びレポート

ティーチングとラーニング

2009-02-17 00:26:52 | 大学教育・学び
ティーチングとラーニング

MBAの2年目の授業が終了した。先週末に最後のレポートを提出、これで4月まで1ヵ月半の休みに入る。大学院のMBAコースは標準では2年間で卒業するが、仕事や家庭の都合によって最高4年間まで延長が認められる。私は昨年、3年に延長申請をして認めてもらった。

さて、この2年間で17科目の授業を履修した。
教授陣は実務経験が豊富であったり、レベルの高い理論や高度な知識・見識を持っているので、どの科目も興味を持って履修できた。
授業は研究発表や討議が多い。事前にグループワークをしたり、個人研究をする。社会人が毎週集まってグループワークをするのは難しいので、スカイプというインターネットを使った会議システムにたいへんお世話になった。スカイプは相手とすぐつながるし、音質も高い。何よりパソコンの画面で資料を見ながらミーティングできるし、チャットも併用できるので、すばらしく使い勝手が良かった。

先週、事務室から授業評価のアンケート依頼が来たので、回答して返信した。2年間、学生として授業を受けてみて、自分にとって評価の高い授業の特徴があることに気づく。他の学生はどう考えているか聴いてみないと分からないが、自分の考えとしては、こうだ。
1. 良い授業とは講義の仕方が上手いということとは相関がない。
2. 授業の進め方、学生の発表や討議のファシリテーションの仕方はやや相関がある。これは、討議の時間で関係のない質問をしたり、自分の意見ばかり発言する学生がいるといらいらすることは多少ある。こういう時は教授に仕切ってほしいと思う。
それでは、良い授業とは何かというと、あくまでも私個人の考えであるが、
3. 学生にどのように学ばせるか、何を学ばせるかが授業の中にしっかりと組み込まれている。学生の学びをサポートするテキストやハンドアウト、補助資料、新聞や雑誌のコピーが適切に提示され配布される。
4. 学び(ラーニング)と教授(ティーチング)の設計がきちんとされている。
5. 課題(レポート)がよく練られている。練られているレポートは情報を調べて、本で理論を整理し、その上で考えないと書けない。課題で問われている設問の意図を1つずつ剥がしていく感覚であるが、時間はかかるが、その剥がしていく過程で、今まで見えていなかったことが見えてくる瞬間が生まれる。

4の学び(ラーニング)と教授(ティーチング)について。
高等教育での学びは正答がない。自分で問いを立てて研究する。そこからオリジナリティある自分の考えを論理的に組みたてる。教授から教えられることは、結論に至るまでの思考方法や視点、研究方法といったものだ。つまり、学生の学びを支援し、学びのプロセスを成長させるものであることが大切だ。
このことは、ダイヤモンド社から出されている「企業内人材育成入門」にも書かれていて、学習カリキュラムと教育カリキュラムの違いを明確化することの有効性を説いている。そこでは、学習理論における「状況論アプローチ」が人間は教育プログラムの中だけではなく、現場で仕事に従事するなかでも意識する・しないに関わらず学んでいるとされる。教育とはあくまでも支援であり、人材育成という活動における主体は学習者であるということで、効果的な教育を実現するためにはどの部分をどのように支援するかを明確化することが重要だと言う。

学習には、本を読む、雑誌やネットで調べる、グループワーク、個人研究、レポートなどいろんな形態がある。それらをどう組み合わせて、学習設計(ラーニング・デザイン)をするかが重要だ。

MBAに来る学生の学びの動機は高い。放っておいても自分たちで学習する。しかし、学部の学生は決してモチベーションが高いわけではない。それゆえに学習の動機付けも必要になってくる。