もっと空気を

私達動物の息の仕方とその歴史

初めまして

2019-08-20 18:00:00 | 日記
第1回
趣味の1つでスクーバダイビングをしています。
水中で素早く泳いでいるご先祖様の魚に出会うといつも思うことがあります。それは、大きなボンベを背負ってふらふらと泳いでいる私を見て、ご先祖様は「大きいけど、動きが鈍いので、自分を捕まえることもできないだろ」と思っているに違いないのです。
この数億年の間に呼吸器はエラから肺へと変わって、水中ではこんなにも不自由になってしまいました。魚たちだけではありません、水中や陸上、空中で素早くはしり、高くとんでいる動物を見ると、「そんなに速く走ったり、そんなに高く飛んだりして、酸素は足りるのかい!」と気になってしまう。
職業柄、こんな風に呼吸器官について考えてきたことを話してみます。

水中でも陸上でも繁栄している大型の動物はすべて酸素を利用して生きています。
私たちが生命活動を維持するために必須の物質は、主なものだけでも水、糖分や蛋白質、脂肪、塩類、酸素などと沢山あります。このほとんどは数日飲食できなくても生命に危険はありませんが、酸素だけは数分間途絶えただけで意識を失い死亡してしまうという、ほぼ備蓄のできない特別なものです。
酸素は動物が摂取する唯一の気体であり、水に溶けにくく、体内にたくさん保存することが難しいようです。
単細胞生物や、細胞数の少ない1mm程度の小さな多細胞生物では、酸素は細胞膜を通って細胞内に染み込むことができます。
食物を獲得するためや、生存競争に勝つために大型化した動物は、数ミリメートルの大きさを超えると酸素が十分に行き渡らなくなるという問題を解決しなければなりませんでした。

大きくもなく小さくもない動物であるミミズが採用した解決策は、酸素の吸収は単細胞と同じように湿った外皮から吸収して、それを体の奥に送るために、血液が流れる血管網を作りました。でも心臓はないので、体をくねらせてヘモグロビンに結合した酸素を循環させています。
それ以上大きな動物たち、魚、昆虫、両生類、爬虫類、鳥類、ほ乳類、では、水中か陸上か、乾燥か湿っているか、水温や気温の高低、酸素濃度の高低、など生きている環境に合わせて適切な酸素吸収臓器=呼吸器官を持っています。

ヒトは大気中の酸素が21%と豊富な環境の中で、脳を使っている陸上動物では進化上の勝者として振舞っています。
その大気中の酸素濃度は生物が生まれた約5億4千万年前より、14%~31%に保たれていました。でも、約2億年前から1億5千万年前の恐竜の時代のジュラ紀には、酸素濃度が大きく下がって14%程度になったといわれています。

このくらいの酸素濃度だと、ヒトは頭痛や吐き気、判断力や集中力の低下、単純計算の間違いが起きてきます。

もし、そのような大気中の酸素濃度の変化が再び起きた時、それでも勝者でいられるでしょうか。私たちの肺は他の動物たちに比べて優れているのでしょうか、それとも?

たくさんの動物たちの呼吸にかかわる色々を見聞きしましたが、驚くことも多いですよ!
聞いてみてください。
(ミミズや恐竜のイラストも描いてみました。どちらの恐竜が本当でしょう?)


コメント (1)
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