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ジェノサイド 著者:高野 和明

2012-04-19 21:54:33 | 日記
社会生活の中に見られるあらゆる競争の原動力は、立った二つの欲望に還元されるようだった。
食欲と性欲だ。
他人よりも多く食べ、あるいは貯め込み、より魅力的な異性を獲得するために、人間は他者を貶め、蹴落とそうとする。
獣性を保持した人間ほど、恫喝や謀略といった手段を用いて、組織と名付けられた群れのボスにのし上がろうとする。
資本主義が保障する自由競争は、こうした暴力性を経済活動のエネルギーへとすり替える巧妙なシステムなのだ。
法で規制し、福祉国家を目指さない限り、資本主義が内包する獣欲を抑え込む事はできない。
とにかくヒトという動物は、原初的な欲求を知性によって装飾し、隠蔽し、自己正当化を図ろうとする欺瞞に満ちた存在なのだ。

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