暑いかと思えば、肌寒い。
今の季節は本当に、何ともいえずに、難しい。
まるで切ない恋心。
・・・というわけで、本日酔っぱらって、お家から更新です。
二日酔いにならないことを祈りつつ・・・・相も変わらず、回想日記などいってみます。
2006年に、初めて海外にいき、初一人旅をしたときの、思い出日記です。
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迎えのバスがやってきたのは、昼の1時45分だった。
ポートマッコーリの宿のチェックアウトが朝の9時30分だったので、わたしたちは、31(サーティーワン、オーストラリアでは名前が本当は違う)のアイスを食べながら、時間をつぶした。
さて、バスに乗ったわたしたちだったが、すぐにうとうととまどろみ始めた。
何しろ移動時間が長い。
地図上で見れば距離が近そうに見えても、次の街まで8時間を越えることはざらにあった。
見慣れた牧歌的風景が、霞がかった視界の中を通り過ぎていく。
そうして気づくと、バスは目的の街についていた。
コフスハーバー。
バス亭には、やはり今回も宿の客引きがずらりと並んでいる。
宿が満杯になる可能性のあるホリディやフェスティバルの時期や、有名な街ならばともかく、それ以外ではあらかじめ宿のブッキングをする必要はないということを、わたしたちは学んでいた。
目をとめたのは、その中のひとつ。
お値段一泊$18(約1800円)。安い。
トイレもバスも部屋の中にあるという。
そして実際の部屋を見てみると・・・・
いやいやいや。ちょっと詰め込みすぎだ。
確かに宣伝通りだけどもさ。
無理矢理設置しました感がひしひしと。
部屋からキッチンが遠いし、使い勝手はあまりよくないかも。
なんて、2人して文句を言っていたものだ。
けれどこのときの宿などかわいいほうだった。
わたしはその後旅を続けるうちに、ここがまだ上等な部類に入るということを知っていくことになる。
とりあえずその日は体を休め、次の日、わたしたちは、この街、コフスハーバーの最大の目的地に行くことにした。
バナナ。
バナナが、今回の目的地だった。
いやいや、誤解してはいけない。果物の名産地として有名なわけではない。
単純にファーム(農場)としてなら、知名度が高いのはたぶん、もっと北に位置するタリーだろう。
「コフスハーバーのバナナ」が有名である、その理由は、ただただ、ひたすらでかいバナナのモニュメントがあることによる。
さながれそれは名古屋のななちゃん人形のように。
渋谷のハチ公のように。
おそらく、日本人による、日本人のためのガイドブックに記されているだろう、この観光名所。他国からきた外国人にとっては、眉をひそめさえするであろう、この場所。
かつて、ガイドブックを見ていたときのこと。
青空の下、黄色にてかる巨大なバナナの写真を見た瞬間、くだらねえと思いながら、行こうと心に決めたわたしがいた。
そうしてここにたどり着いたのだ。
さて、街についたものの、さて、とまわりを見渡す。
わたしも、旅の相方であるKちゃんも方向音痴。
はじめての街で、当然道はわからない。
とりあえずCity mapを手に入れて、宿を出たわたしたちは、通りすがりの人に道を尋ねていくことにした。
どうやら目的地まではバスで行けばいいという。
「ビックバナナ? ああ、バスが通るのは反対側の道だよ。でも、バス停がないんだ。だからバスがきたら手を上げて合図すればいいよ。そしたら止まってくれるから」
タクシーか。
思いながら手を上げていると、本当にバスが止まった。
話を聞くと、どうやら、ビックバナナでちょうどいい具合に止まるバスはないらしい。
気のいい運転手のおっちゃんは、「ここで降りるといいよ」といって、おろしてくれた。
やはりそこもバス亭ではない。
いろいろなことに感動しながら、おろされた場所からパシフィックハイウェイにそって延々と歩く。
しかしすぐにわたしたちは失敗に気づいた。
喉が渇きだしたのだ。
空気が乾燥していたせいか、それほど歩いてもいないのに、喉がひどく渇いていた。
気分はさながら砂漠の遭難者。
じりじりと太陽が照りつける。
今の季節って冬じゃなかったっけ。
飲み物持ち歩いてきゃよかったーとひたすら後悔しながら、ぼそぼそと歩く。
しばらくたったところで、ようやく黄色いものが視界にはいった。
「あ」
一言。
初お目見えの印象は。
なんつーか、でっけえバナナがあるサービスエリア、みたいな。
でっけえバナナのモニュメントより、そのとき欲していたのは液体だった。飲み物だった。ドリンクだった。
中にはいると、バナナを題材に、いろいろなものが売っていた。
クッキー、アイス、ジュース、スムージー。
さっそく駆け込む。
「くださいな!」
スムージーをチョイス。
乾いた喉に、甘く冷えた液体が流れこむ。
これぞまさに
バナナ!!!!
って味がした。
濃くてまろやかで冷たくて、甘さがしっかりあって、バナナそのもの!って感じの、まさにバナナスムージー。
ものすっごく美味しかった。
感動した。
喉がここまで乾いていたからこそ、もう、この世で一番なほどに本当においしい味がしたものだ。
店内の背後にはバナナファームが広がっている。
希望すれば見学みたいなことができるらしい。
Kちゃんと顔を見合わせ、首をふる。
でっけーバナナ見れたし、スムージー超美味しかったし。
満足。
記念に写真をパチリ。
いつか本の中で見た写真の光景が、目の前にある。
いつか、行こうと思った場所に、わたしは今、いる。
うん・・・・。わたし、ここまできたんだなあ。
気力と体力を取り戻したわたしたちは、その後海岸におりて、再び延々と歩き出した。
何でだか忘れたけど、「Jelly」という街を目指すことにしたのだ。
海岸沿いに行けばいつかつくさーとばかりに、地図はほぼ見ず。
途中で、明らかに「森」の中につっこんでいったけれど、そんなところでも石畳がちゃんとひいてある。
人の通る道なんだ、あってるあってると、続行。
そのうち海が完全に分断しているところに出くわした。
といっても、歩いて渡れる程度の深さ。
靴を脱いでわたって行ってる人もいるけれど……スニーカーで濡れた足はきつい。わたしたちは橋まで行って渡っていった。
一時間ほど歩いただろうか。
わたしたちはたどり着いた。
Jellyは小さい街だった。
けれどその港には船が何隻も何隻も所狭しととまっていて、絵や写真でしか見たことのない光景に、しばらく呆気にとられるように眺めていた。
Kちゃんと2人、カモメを見ながら、Fish&Chipを食べ、アイスを食べ、ぼうっと港で座る。
なんか、気持ちいい。
Kちゃんは歩くのが好きで、どこの街についても、近所を散策しようととりあえず歩く。
年は下のわりにはものぐさなわたしは、疲れるからとしぶることもあるけれど、結局、歩いていく途中、そしてその先には、いつも行ってよかったと満足するものがあった。
一緒に旅する人がいて、初めて知ることはたくさんある。
歩くの、いいじゃん。
そう思った日だった。
わたしたちは現在北上しながら旅をしている。
オーストラリアでは、上へ行けばいくほど暑くなる。
シドニーではコートすら必要な気温だったのに、この日はとても暑かった。
海の中で泳ぎたかったほど。
ただ、夜と朝は寒い。
宿に戻る。
シャワーを浴びて、荷物を整える。
明日の朝ははやい。
6時にレセプションに行って、グレイハウンドのバスこと、グレハンに乗るのだ。
次の目的地は、バイロンベイ。
かつて日本で、上司が薦めてくれた街。
シドニーで、何人もの人が絶対行くべきだといった街。
一体どんなところなんだろう。
そう思いながら、わたしは眠りについた。
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というわけで、回想日記です。
二日酔いはもう、すでに二日酔いっぽいです。
日付を越えた時点からすでに二日酔いは体現されるものでしょうか。
明日(というか今日)も、元気にバイト予定です。
どうか、1日酔いでおさまりますようにと、どなたかに拝んでみます・・・。