ひまわり日記 2

名古屋駅前のフリー雀荘スタッフと店の成長日記
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よーこです

2009-06-20 14:53:41 | Weblog
先日は梅雨らしく、豪雨となっておりました。
雷が鳴り響き、柄にもなく小鳩のように震えていたものです。
その理由が空腹だというところが、ちょっと残念ではあります(残念?

何はともあれ、今日も今日とて回想日記などいってみます。

2006年のはじめから、約一年間、初海外、初一人旅をしたときの思い出日記です。



*******************



さようなら、バイロンベイ。
またいつか、きっと戻ってくる。
そんな確信めいたものを胸に、わたしたちは旅支度を整えた。

朝9時40分に出発するバスを予約した。
グレイハウンドのバスがきたら、本当にさようならだ。
バスがきたら・・・バス・・・



が。

こない。


何でやねん。

30分待とうが、一時間待とうが、こない。
それでもわたしと、旅の相方Kちゃんは、じりじりとバスを待った。

何をかくそう、オーストラリアの交通事情は、国民性同様、とてもラフだ。
30分の遅刻はざらで、電車にいたっては、毎日がタイムトラベルといっても過言ではない。

たとえば、シドニーの駅のホームでは、時刻案内が表示される。

「あと**分で電車がきます」という表示だ。

「あと3分で電車がきます」との表示に安心してはいけない。
一瞬顔をそらし、再び表示を目にすると、「あと20分で電車がきます」。

なんでやねんと思いながらため息をついて、また視線を戻すと、「あと1分で電車がきます」。

ほんとなんでやねん。

そんな毎日だったので、バスの時刻がずれることなど予想済み。
とはいえ、さすがに2時間もこないなんておかしい。
バス会社に連絡しても、「確かに通っているはずですけど」と、なしのつぶて。


「なんでこないんだろうねえ」
「そうだよね~。他の会社のバスなら何回か通ってるけど・・・プレミアムとか、MCなんたらとか・・・」
「もしかしてそれだったりして」
「だってグレハンって表示なかったじゃん」
「そうだよね~」



それでした。
MCなんたらってバスが、グレイハウンドのバスでした。

後で聞いた話によると、バスの横面にでっかくMCなんたらって表記がされていて、バスの正面に、「グレイハウンド」って表記があったらしい。


見えないっちゅーねん。
まぎらわしいっちゅーねん。

結局12時に再びバスがきて、運転手のおっちゃんに事情を話したら、のせてってくれるとのこと。

ラッキ。

そして午後4時。
わたしたちは、ようやく日本人率NO1(当社比)のサーファーズパラダイスに到着した。

バスから降りた瞬間、驚いた。
暑い。
というよりも、日差しが強い。今この同じ時期で、シドニーではコートを着る生活だというのに。

さすがオーストラリア。

今回の宿は、バスストップの宿案内所のところにあったひとつ。
リンカーンで迎えにきてくれるという文章にひかれ、決定。

宿自体はごく普通のバッパーだったけれど、リンカーンで迎え、というのは面白かった。

荷物を置いて、さっそく町をぶらつく。
う~ん、日本人がごっつ多いわあ。というか、アジア人の比率、すごく多いんじゃないかな。
ショッピング街をぶらぶらしていても、歩けば日本人にあたる、という勢い。

名前の通り、サーファーが集まる町。
ビーチにそうように近代的な街がある。
といっても、シドニーほどビジネスチックではない。ショッピングとレジャーの街、という印象がある。

超巨大マーケット、カラーラマーケットなどに行き、そうしてわたしはサーフィンの三日間スクールを申し込んだ。


日本人講師だというふれこみだったので、安心していたら、受講生八名くらいいまして、日本人わたし一人。
インストラクター二人のうち、一人は確かに日本人だったんですけども、当然英語なのね。民主主義なんて嫌いだ。

まあオーストラリアですからね!そらそーですよね!とか思いながらも、先生の話に耳を傾ける。

さて、説明も一通り終わり、さっそく実践。

「さあ、やっておいで!」

隣の人と距離をおいて、わたしも駆け出す。


ぱしゃぱしゃと泳いでいってー
いい波がきたと思ったらー・・・よいしょ!

お、のれた、のれた!
すごい、不思議な感覚。波にのるって・・・なんだろう。こんな感覚、はじめてだ!

一瞬の感動。

そしてドボン。

げほげほげほっつ

つ、辛・・・っ。でも、おもしろーい。

サーフィンは、挑戦してみると、意外と難しい。
サーフボードは予想以上に重く、柔らかい砂は足もとを簡単に沈める。一歩一歩歩いていくのも、かなりしんどい。
映画でよくみるような、波の間を通り抜けるような技は、プロでも難しいのだそう。

それでも、あの、波の上にのった感覚。
泳いでいるときとは全然違う、まるで雲の上にいるようなあの感覚に魅せられて、サーフィンをやる人もいるんじゃないだろうか。


さて、サーフィンスクールの間にも、ちょこちょこと街に出かけるわたし。
サーファーズパラダイスにある、ナビツアー(日本人エージェントの大手支店)にも顔を出し、二つの張り紙に目をとめる。


「ファームステイの募集」

ホースライジング・・・乗馬のファームか。
条件は、フリアコフリーミール(フリーアコモデーション=宿代ただ。労働力奉仕する代わりに、食住を保証してくれるってことです)。

ふーん。ちょっとやってみたいなあ。

などと思いながら、ちらりと隣を見ると



「麻雀」



・・・・。



・・・・何?


「麻雀する人募集してまーす」



・・・何?


オーストラリアまできて?
麻雀?

しかもわざわざ募集?

そりゃ、日本よりもやれないだろうけどさ。
だけど、募集なんて。わざわざしなくてもいいのに。
連絡先まで書いちゃってさ。まじですかねこの人たちは。あはは。


ぴっぽっぱ♪

「あ、もしもしー。よーこっていいまーす☆ 張り紙みたんですけどー。麻雀やりたいんですけどー(てへ☆」


電話するほうもするほうだ。

んで、行ってみた。

行った場所は、シティからはまた少し離れた場所の、とある家。
集まっていたのは、だいたい同年代の人たちだった。
麻雀をやりながら、話を聞く。
それぞれ日本からオーストラリアにやってきて、旅をして、いろいろなものを見てきた。
バイロンベイにも行ったことがあるという。
日本風の飾りを内職して、売り買いして生計をたてていたとか。

彼らはまた彼らなりのオーストラリアを歩いている。
少し胸に残る話をしながら、初日はなんだかんだで8$の負け。

そして二回目にして最後の麻雀。


徹マン。


33$勝ち。ほっほーい。


そして、サーファーズパラダイスに到着して、三日が経過しようとしていた。


それは突然だった。



「うち、日本に帰らなあかん」
Kちゃんが言った。
「え?」


思わず、あっけにとられた顔で彼女を見た。

家の事情での、緊急帰国。
明日にはブリスベンにいって、飛行機のチケットがとれ次第、帰国しなければならない。
動揺する内心を押し隠し、上ずった声でわたしは聞いた。

「でも、また帰ってくるんでしょう? また、旅するよね?」
「したいねんけど・・・」


わからない。帰ってみないことには、わからない、と彼女は言った。
一緒にブルームの月の階段を見ようって言ったのに。

いつのまにか、Kちゃんが一緒にいるという安心と、居心地のよさになれてしまっていた。

わたしは言った。


「わたし、サーファーズから少し離れたところで、ファームステイするよ」
「ファームステイ?」
「うん、募集の張り紙見つけたんだ。カランビンってところで、ファームステイ。一ヶ月ぐらい、する。Kちゃん、戻ってくるかもしれないんでしょう? だったら、もしかしたら、わたしのファームステイが終わるころにKちゃんが帰ってくるかもしれない、そうしたらまた一緒に旅しようよ」

彼女は笑った。
そうできたらいいね、といってくれた。

そうして翌日。
Kちゃんはブリスベンへと旅だった。

わたしは最後のスクールに行き、そうして街をぶらつき、一人、宿へ戻った。

そういえば、と思う。

オーストラリアにきて以来、かもしれない。おかえりがない部屋に帰るのは。

シドニーで、シェアハウスを探して、仲良くもない、まったくの見知らぬ他人と暮らすという、初めての経験をした。しかも言葉の通じない韓国の女の子だ。

英語もマックスできないわたし。

何を話していいのかもわからない、気を遣う毎日も、お互いに仲良くなり、いろいろな話をして、そうして帰ってきたら誰かがいるという安心さに変わった。

旅をしてからは、Kちゃんがいた。
お互いが単独行動が好きで、一人でぶらつくことも多かったけれど、宿に戻ったら、どちらかがいて。

「あ、おかえりー」


その一言が、すごく嬉しかった。
今日、こんなことがあったんだよって、話すことが、楽しかった。
家族でもない、他人と暮らすということ。

それはいろいろあったけれど。

想像でもできなかった毎日は、大事な日々になった。



Kちゃんは、結局再びオーストラリアに帰ってくることはなかった。
それでも当時のわたしは、また彼女とこの地での再会を夢見て、その日は眠った。



カランビンのファームに電話をすると、男の人が電話に出た。

「hello?」
「あ、あの・・・」
「ああ、こんにちは」
「ナビツアーにあった張り紙を見たんですけど」
「ああ、いつからこれる?」
「明日とか・・・」
「いいですよ。明日、迎えの人間をやるので、きてください」






うわーあっさりんこ。



ま、オーストラリアらしいか。

広くなった部屋を見渡す。

そうしてわたしは、もう何度目かも忘れた荷造りを始めたのだった。






*****************

というわけでした。
他人と暮らすことって大変だけど、楽しいです。

とくに初対面の人と暮らす場合は、相性が結局ものをいいますが、はじめはOからのスタート。
お互いなんとなく、さぐりさぐり。

ためいきをついたり、一人でいるときにほっとしたり。
それでもいつかその人が大事な人になることもある。


オーストラリアで学んだことのひとつです。