ベルリン便り

ドイツの大学でドキュメンタリー映画を制作しています。

Antonín Dvořák Eclogues Op.56, Radoslav Kvapil

2017年05月30日 | 音楽
Antonín Dvořák Eclogues Op.56, Radoslav Kvapil

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

2017年05月27日 | love and peace
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

わたしたち人間が他人も自身も生きる上で根底にある「尊厳」、彼女はそこを見つめ、取材を続けている人です。


東京新聞の記事、リンクを貼っておきます。


http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201611/CK2016112902000134.html




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 学生「福島で何を思われましたか」
 アレクシエービッチさん「昨日福島県から戻ってきたばかりです。『チェルノブイリの祈り』という本に書いたことのすべてを見たというのが、私の印象です。荒廃しきったいくつもの村、人々に捨てられたいくつもの家を見ました。
 国というものは、人の命に全責任を負うことはしないのです。また、福島で目にしたのは、日本社会に人々が団結する形での『抵抗』という文化がないことです。祖母を亡くし、国を提訴した女性はその例外です。同じ訴えが何千件もあれば、人々に対する国の態度も変わったかもしれません。全体主義の長い文化があったわが国(旧ソ連)でも、人々が社会に対する抵抗の文化を持っていません。日本ではなぜなのでしょうか」
 学生「私は原発をなくさなくてはならないと思うが、それは可能か」
 ア「人類はいずれ原発に代わる別のエネルギー源を探し求めざるを得なくなると思います。チェルノブイリや福島のようなカタストロフィーが複数起きることが予測されます。自然が一枚の絵であるなら、人間は登場人物の一人に収まるという形でのみ存在が可能です。自然に対して、暴力の言葉を操って対峙(たいじ)しようとするのは間違いです。それは人類の自殺へ至る道です。
 明日すべての原発をストップさせることは不可能です。では、何を始められるのか。それは何ができるか、何を作ればいいのかを考え始めることです。ロシアのようにミサイルにお金を使うのでなく。現在の一番主要な問題はエコロジーだと私は思います」
 学生「ロシアで『アフガニスタン侵攻は正しかった』との再評価が進んでいると聞き、危惧しています」
 ア「新たな愛国主義、命を惜しまず偉大な国を守ろうという言説が広がっています。現代は旧ソ連の時代よりも恐ろしい時代になっています。アフガン侵攻の取材時は、戦死した兵士の家を訪ねると、母親が『真実を書いてください』と叫んでいた。でも、今は遺族に拒まれることが非常に多くなった。『真実を語ると遺族報償金が入らなくなる』と説明されます」
 学生「私はウクライナ人ですが、ロシアとの関係を良くするために何ができるでしょう。また、あなたの本は両国にどんな影響を与えていると思いますか」
 ア「あなたは芸術にグローバルな役割を求めていますが、私は宗教や芸術はより繊細なレベルで機能するものだと思います。一人一人の人間の心を和らげるとか、人生を評価するとか。私はアフガニスタンで死体を見ました。ひどい光景、非人間的な光景でした。あなたのような若い人に言えることは一つ。どんな状況であっても人間であり続けること、人間らしさを失わないことだと思います」
 学生「チェルノブイリやソ連崩壊などで絶望に陥った人々はどうやって自分を救済したのでしょう」
 ア「人は意外に多くのものに救われています。例えば愛。自然や音楽、毎朝コーヒーを飲むというルーティンの行動にも、偶然にも。さまざまなつらいことがありますが、人生は興味深く、生きるのは面白いと私は思います」
◇講演要旨
 私の本には普通の人が登場し、「ちっぽけな人間」が自分の話をします。ささいなこと、人間くさいこと。いつも日常の言葉から文学を作ろうとしてきました。どの本も五年から七年かけ、五百人から七百人の人生を書き込みます。私は見過ごされた歴史を追う、魂の歴史家です。
 最初の作品では、女が目にした戦争を描きました。戦争では人間だけでなく、命あるものがみな苦しむ。自然は声なく苦しむので、さらに恐ろしい。チェルノブイリの原発事故は想像を絶しました。至る所に死が潜んでいました。目に見えない、耳にも入らない「新しい顔の死」です。これは未来の戦争、前代未聞の新しい戦争だと思いました。
 多くの放射性物質は百年、二百年、一千年は放射線を出し続けます。放射能に国境は存在しません。チェルノブイリは時間の感覚や空間を変え、「自他」の概念も消滅させました。
 アフガニスタン侵攻と原発事故は、ソ連という帝国を崩壊させました。社会主義から資本主義に急転換して社会が混乱する中、プーチンはスターリン体制を素早く復元しました。人々はおびえ、何が社会で起きているのか理解できません。自由への道のりは長い。どうして苦しみは自由に変換できないのでしょうか。私は時代を追います。人間を追い続けます。


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わたしが川名さんから学んだことのひとつ

2017年05月24日 | 
川名さんの著書「謝るなら、いつでもおいで」は、わたしが本当に大切にしている本のひとつ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20150223/277884/?P=1
日系ビジネスのこの記事を読んだ時、強く印象にのこった箇所。



「ライターによる放火事件で「ライターがあったから火をつけたんだ」と言っているのと同じだと思います。「子どもにライターを持たせてもいいのか」という議論になりがちですが、なぜライターで火をつけたのかという話を本来はしなければなりません。」


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人のこころ、戦争平和、命、ここと向き合うと、辛くなる時が何度もあります。
だけど向き合い続けると決めているし、今では辛さよりもはっきりと、わたしはこれらと向き合っているのが大好きで、この時間がかけがえなく愛おしいと、そういえるようになりました。

わたしが向き合っている世界と大衆に距離があるのは感じているけれど、自分にはなにも力がないと卑下することもまだあるけれど。ふとした時、何でもないような所で、力が在る人たちにひっぱってもらう経験もするようになり。ああ、間違いじゃない、これでいい、ちゃんと見ていてくれている人たちがいる、そういう時間もあります。

空が青から茜色になり、紫になり、夜が来ました。
無数の星が瞬いています。

今日もまだまだ出来ないことがあった、あれは違った、ここはこうするべきだった。明日は一歩前進しよう、もしも後退することがあれば、明後日に前進、そう思いながら眠りにつきます。
おやすみなさい。



Chopin - Complete Nocturnes (Brigitte Engerer)

2017年05月22日 | 音楽
Chopin - Complete Nocturnes (Brigitte Engerer)

2017年05月22日 | Weblog
「好き」が明確にあるのは、強みの1つだと思う。

ちょっと今、嫌いな環境にいます。
ヨーロッパに出てきてから、この感覚は2度目。前回は数週間で無理だと思い、1年頑張りその環境を去った。
今回はこの環境に入る前から「ここが嫌いだ」と感じ取り、それでも金銭的理由からこの環境を選んだ。
この環境に入ってからひと月過ぎたけれど、なれることはないでしょう。それでいい。

明日は花を買いにいこうと思います、自身の毎日を自身で豊かにするために。

わたしは大丈夫。
もう随分と大人になった。
自分のやるべきことを明確に見ている。
ひとつずつ、ゆっくり丁寧に、大切に。それでいいんです。

私と同じような感覚を知っている方へ、
花を部屋に飾るのは、とてもよいと思う。
自分にとって、小さな幸せを毎日。

一人でも多くの人が、あたたかく、穏やかな時間を過ごせますように

2017年05月22日 | love and peace

☆ちゃんの街にアフガニスタンからの難民家族が暮らすようになった。お父さんとお母さんと3人の子どもたち。一番下の子はまだ3歳。お父さんは大学の教授。☆ちゃんが彼らが経験したことを話してくれた。

彼らの街は、爆撃にあい廃墟になった。難民申請をする以外、彼らには彼らの生きていく道がない状況だった。
小型ボートはいっぱいで、かつ、乗ろうとする彼らに銃を突きつけられ、彼らは大型船に乗る事になった。金額は定かではないけれど、彼らにとってとんでもなく大きな額。
大型船での航海中ガソリンがなくなり、数日間動かない船の中で過ごし、ようやくギリシャにたどり着いた。
その後、数ヶ月かけ、徒歩でドイツに入った。


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(両親や友だちや近所の人たちと難民について話をする?)

うん、する。

(みんなどんな意見を持っている?)

人それぞれ。全ての難民にドイツから出ていって欲しいと言う人たちもいるし、わたしのように(彼女)、本当に残酷な経験を彼らはしている、安心出来る場所、生きていける、希望が持てる場所を彼らに持って欲しいと考えている人たちもいる。

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(メルケルの難民政策をどう思う?)

正しいと思う。ただし、一つ問題があったのが審査が甘かったこと。本当の難民ではない人たちも混ざって入国してしまったこと。

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(シリア問題だけど、ドイツは反政府軍に加担しているけれど、どう思う?)

必要な行動。アサド政権のやってきたことは独裁。アラーを絶対だと言うのも無理がある。

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(ロシアとアメリカが世界で起こっている戦争にたいして行っている事に対しては、どう思う?)

ロシアの取っている行動を理解しない。
トランプは危険な人、ボタン(核)を押したがっている。
...あなたは?

(ロシアとアメリカが自国以外の戦争に、正義を言葉にし軍事介入しなければ、世界で起こっている紛争の規模は大きくはならないと思う。彼らは戦争のにおいのする場所を探し、みつけ、戦争ビジネスをしている。)

うん。それからわたしは(彼女)、地球自体を考える必要があると思っている。人を自然を生き物を大切に思い、多くの物や事が繋がっていることをしっかり認識すること、そのアクションは平和にも繋がる。

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わたしよりずっと若い☆ちゃん、18歳。優しくて美人です。
しっかりと自分の考えを述べる教育のあるドイツ、やっぱり好きだ。

終わり2つの回答は、わたしの語学力不足もあり、拙い表現になってしまったけれど、彼女はしっかり考えた上で彼女の意見を言葉にしてくれた。
子どもも大人も、学歴があるかないかも関係ない。教養があるかないかも関係ない。自分の頭でしっかり考えること、人の意見を聞くこと、自分の意見を言葉にすること。

わたしはわたしの意見を述べる、あなたはあなたの意見を述べる。そして、みんなで一番良い道を探し、見つける。







(わたしの考えも少しだけ。)
一時に、難民が一気に重なったことに疑問がある。アフガニスタン、アフリカ、シリア、、、。
わたしはロシアのみを批判する考えは持っていない。アサド政権のとってきた行動は、理想的な国家の為とは言えないのはよく分かる。その国を支援するロシアは確かにおかしい。同時に、そういう場所に軍事力を使い加担するのは過去からずっと繰り返しているアメリカの間違いだし、今までに幾度も、そこに正義ではない物までまとってきた、それが色濃くなった時期がある。そのやり方(正義を主張した軍事介入)を止める必要がある、法律と共に、禁止する必要がある、それはアメリカに対してずっと思っている。
ドイツが反政府軍に加わっているのは、正義だけではない。アメリカとの関係がある。またドイツのビジネスとして、どこにどれくらいの利益があるのか?「軍事介入」という疑問をきちんを問いたかった。











集中して考察し、言葉を探したりヒントを見つけたり、そして切り替える。

2017年05月14日 | Weblog
ある日、私の彼と一緒にある裁判の記録映像を見ていた時。
殺害された被害者とその子の家族側の弁護士が、時計回りに回りながら話をしていたのが印象的で。

それから随分後に、彼と一つのテーマを掘り下げでディスカッションしていた時に、どう言葉にしても彼の方が情報を持っているし、語学力が上だしで。私は私の中から情報と言葉が上手く出てこなくて、無意識に立ち上がりゆっくり時計回りに回ってみた。
するすると言葉になり、それから見方を変えてみようと反対周りに周りはじめてみたら、本当に、こうとらえることもできるよね、と思考の切り替えができた。それから、そういえばあの裁判の被害者側の弁護士も同じようなことをしていたなと、思い出した。

堤美香 

2017年05月14日 | Weblog
堤美香 「カネの流れを追うと真実が見える」

https://mainichi.jp/articles/20160715/mog/00m/040/021000c

毎日新聞の記事より

アンナ・ポリトコフスカヤ 『アンナの日記』より 2

2017年05月14日 | love and peace
もう一つ、ノルドオストの人質事件で。
リーダを補佐する立場だったアフバカルの言葉が、とても印象に残っていて。
ここに残します。


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「ノルドオスト」におけるテロリスト・ナンバー・ツーのアフバカルは、死を前にして一言言いたいと言った。アフバカルは老人のように見えたが、実はまだ若かった。どうしてこんな事になったのかを告白する。

「あんたたちはここでなんてよい暮らしをしている!すばらしい!俺たちは森の中で生活している!俺たちだって、人間らしい暮らしをしたいんだ。聞いているか?聞くようにさせてやる!」

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アンナ・ポリトコフスカヤ 『アンナの日記』より

2017年05月14日 | Weblog

ノルドオストとアンナのことを考えていました。

このサイトは情報が充実していたのでリンクを。
http://blog.goo.ne.jp/geradeaus170718/e/925911f6e03259e7928188eae4dc0b4e


わたしは、わたしの日記にアンナの著書「アンナの日記」の一部を数年前に書き残していました。今ゆっくり読み返したいと思い、ここにも残します。(そうする事でより強くわたしの記憶に刻まれるので。)

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イーラ・ファジーエヴァが戸口に現れた。彼女は黒いベレー帽と黒いオーバー、黒いセーターに身を包んでいる。両手には何か黄色い物を抱えている。イーラは、殺された息子を偲んで、丈の高い黄色いバラの大きな花束を持ってきたのだ。イーラは37歳。10月23日、彼女が「ノルドオスト」に行ったのはほとんど偶然だった。彼女たちは劇場の近くに住んでいた。
あの日、ふたりは別の劇場へ行くつもりだったが、直前にそのチケットが期限切れだということに気づいた。もう上着まで着て出かける準備が出来ていたので、彼女はモスクワの中学校10年生で15歳の息子、ヤロスワフを説き伏せて「ノルドオスト」に連れて行ったのだ。
彼女は生き残り、ヤロスワフは死んでしまった。
イーラは病院から逃げ出して息子の遺体を遺体安置所で確認した。弾丸が貫通した穴があり、「死因」の欄を消してある死亡証明所を手渡された。なぜなら公式発表では「撃ち殺されたのは4人で、全てテロリストに撃たれたもの」とされており、ヤロスラフは5人目になって公式発表と矛盾してしまうからだ。
死因が削除されているのはそういうことだ。
彼の母や祖父母はどうすればよいのか?政府はこれ以上嗅ぎ回ったり、専門家の目から見たら意味のないことを質問攻めにして調査のじゃまをしないようにと示唆した。すべての人質は他の人質を助けるための、ガスの被害者となったのであり、それ以外に方法はなかったのだと。これまでの私たちの歴史の中で何度めかのイデオロギーの勝利だ。そしてそのイデオロギーに合わない人びとは取り残されていく。
彼女は遺体安置所から出ると、橋の上からモスクワ川に身投げしたが、救い上げられ、今も慰める言葉も見つからないほど苦しんでいる。少なくとも私はどう慰めたらいいのかわからない。当然、国からの援助はまったくない。テロリズムの直接の犠牲者でない限り、リハビリも受けられず、精神科や心理学者の支援も与えられない。人質であっても生き残れたその人たちが自殺している。
これが実は今私たちが生きている12月の現実なのだ。


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