せんたーぜよ

「こうちけんしんりんそうごうせんたー」の裏山で撮った木の写真などを掲載します

古い半纏・・・ (2005年10月25日)

2005年10月25日 12時14分58秒 | 落葉広葉樹
 北米原産の木です。だから自生していません。元々は北半球に広く分布していたようですが現在ユリノキの仲間(Liriodendron 属)は北米に1種(Liriodendron tulipifera )と中国に1種(Liriodendron chinese )が分布するだけです。日本には大昔分布していたようで、約2000万年前の地層から化石が発見されています。
 中国原産のユリノキは日本ではあまり見られません。小石川の東大植物園に植えられていて、一度見に行きました。日本で見られるのはほとんどが北米原産のユリノキで、街路樹や造園樹として広く利用されています。日本には明治初期にやってきました。5~6月にモクレンらしいきれいで立派な花が咲きます。残念ながらセンターに植えられているユリノキは人の背丈くらいしかなく、まだ花が咲きません。公園などで花を見ることができますが、お薦めは高知大学朝倉キャンパスの理学部棟南側にある立派なユリノキです。ユリノキの花は上を向いて咲くので下から見ても楽しくありません。南向かいの一般教育棟(現共通教育棟)1号棟の4Fからだと上から花を見ることができます。昔々、梅雨のはじめによく見に行きました。

 ユリノキの材は通直で加工しやすく成長も良いと言うことで東北地方や大分県などいくつかの地域で植栽試験や加工試験が行われていたように記憶します。ユリノキは花がきれいと言うだけではなく、蜜が豊富で良質のハチミツが採れることが知られています。また、根や樹皮にも薬効があるそうで、花言葉が「田園の幸福」だそうです。
 ユリノキの種子は羽根が付いていてヒラヒラと飛びます。翌春に播いても発芽しにくく、秋にとってすぐに播く採り播きをしないといけないようです。でも翌春の発芽率は良いとは言えません。ところが翌々春、翌々々春に忘れた頃に発芽することがありますので焦らずに・・・

 「花がユリに似ているなぁ」とユリノキになり(属名:Liriodendron はユリ+樹木ですね)、「いやいやチューリップに似ているよ」とチューリップツリーになり(種小名:tulipifera はチューリップ+花ですね 英名:tulip tree)、花に注目されがちですが、この木の特徴は「葉っぱの形がおもしろい!」事じゃないでしょうか。先がとがっていなくて平ら(ルーペで見ると主脈の先に微妙に先端があります)で、独特の形です。ユリノキ属の原産地である中国でもおそらく葉っぱに注目したのでしょう。名前が「鵝掌楸」です(もちろんL. Chinese のことで、L. Tulipiferaは北美鵝掌楸と呼びます:アメリカは美国と書くから北アメリカは北美)。漢字の意味を見てみると「ガチョウの手のひらのキササゲ」となります。葉っぱがガチョウの手を想像させるのでしょうか?一方、明治の日本人はおそらく葉っぱを見て葉柄を上にして「半纏みたいやなぁ・・・変なの!」と思ったのではないでしょうか。だからハンテンボク(半纏木)という日本人らしい別名が付けられました。
 今回は取り上げる時期(SCANする時期)が遅くて落葉前の古い葉っぱでしたが、半纏は古びて使い込んだようなものの方が渋くて粋だということで・・・・・


ユリノキ 別名:ハンテンボク、チューリップツリー
モクレン科ユリノキ属(Liriodendron tulipifera L.)


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