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類は類を呼ぶ

2017-05-05 10:42:08 | お話
類は類を呼ぶ


それにしても、なぜ、同じタイプの人間ばかり集まってしまうのでしょうか。

とても不思議な話で、「本当かな?」とお思いの方もおられるかもしれません。

でも、これは事実です。

私自身も、不思議な体験をしたことがあるのです。

今から40数年前、私は弁護士として駆け出しの頃で依頼も少なく、

正直なところ経済的に少々困っていました。

その頃、ひょんなことから不動産ブローカーだという人と知り合いになったのですか、

そんな私に仕事を紹介してくれたのです。

それがスリの弁護でした。

私は弁護士ですから、仕事の相手が犯罪の加害者だろうが、かわいそうな被害者だろうが同じで、

依頼者の代理人として弁護するのが仕事です。

むしろ、罪を起こした人には必ず弁護する人間が付くべきで、

公平に裁判を行うことにより、

結果的に社会全体の犯罪を減らすことになります。

こうした考え方は、弁護士にとっては常識ですし、私自身もそう思っています。

その意味では、スリの依頼者だから嫌だというようなことは全くありませんでした。

それどころか、仕事が少なかった頃ですから、喜んで依頼を受けたのです。

着手金をもらい、弁護で執行猶予を付けるのに成功してその報酬をもらいました。

経済的に苦しかったのでほっと一息つけたのです。

すると、その新しい知人はまた次の仕事を紹介してくれたのですが、

それがなぜかまたスリの弁護でした。

その後も次々に紹介されるものの、どれもスリの弁護ばかりなのです。

さすがに、おかしいと思いました。

調べてみると、その知人は不動産ブローカーを自称していたものの、正体はスリの親分だったのです。

先ほどもご紹介したように、依頼は依頼ですし、スリにも弁護人は必要です。

スリの仕事ばかり紹介されたとしても、弁護士としても、何も不都合はありません。

ただ、それまでは自分が関わる人間にスリは1人もいなかったのに、

いつの間にかスリばかりになっていたのですから、

そのあまりの変わりように呆れていたのです。

私の周りをスリだらけにした原因は、たった1人の人間と付き合ったことだけです。

しかも、私の周りには、もっとスリが増えようとしていました。

と言うのは、そのころまでには、既に10件以上のスリ事件の弁護を手掛けていたので、

いつの間にか、私には「スリ専門の弁護士」という評判が立っていました。

そのため、自称不動産ブローカーで本当はスリの親分である男とは全く別の方面からも、

スリ事件の弁護が私に依頼されるようになっていたのです。

つまり、正体を知らずにスリと付き合ったため、スリの知り合いが急に増え、

もっと増えようとしていたわけです。

もっとも、スリと付き合ったからといって、私自身がスリにはなるわけではありませんし、

スリのようの職業的な犯罪者と同じ心になるというわけでもない。

あくまでも、弁護士という仕事の範囲での付き合いです。

だから、もしそのまま「スリの弁護士」となっても、

私が不幸な人生に陥っていただろうとは思いません。

ただ、当時の私は若かったですし、スリという特定の事件の専門家になりたいとは考えていませんでした。

もっと様々な案件を手掛けて勉強したい気持ちが強かったので、

それ以降は、スリ事件の依頼は断ることにしました。

これからスリ事件は一件も引き受けていませんが、

あのままだったら、今頃は日本一スリ事件に詳しい弁護士になっていたかもしれません。

その可能性は十分あったのですが、

そのきっかけは1人の男と付き合ったことだったことを思うと、

人との付き合いとは不思議なものだとつくづく思うのです。

同類は集まる。

これは真実です。

どうか、自分を幸福に導くような人付き合いを心がけていただきたいものです。


(「1万人の人生を見たベテラン弁護士が教える『運の良くなる生き方』」西中務さんより)