日々のブログ

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逆圧迫面接

2024-07-17 19:59:55 | 日記

最近は世の中が優しい世界になってまいりまして、圧迫面接などという言葉が使われるようになったのも、そういうことを許さない世間があればこその事です。

いつのまにか昔々のことになってしまいましたが、私、人生設計というものが非常に苦手で、つまりは行き当たりばったりで生きているわけでありますが、三十路も過ぎたというのに、職場を放棄して目出度くも無職となったことがございます。

カネがあっての無職ならいざ知らず、貧乏の上に無職となれば、仕事を探さないわけにはいきません。せっかく自由の身になったにもかかわらず、どこかに就職して、また同じことを繰り返そうというのですから、こんなに馬鹿馬鹿しい話はございません。

ある時私は、老眼鏡の訪問販売という、あまり聞きなれない職種の会社の面接に行きました。これは実話ですから、ひょっとしたらこの会社、まだどこかに存在しているかもしれません。まあまずないでしょう。

私も若かったですが、この時の面接官も非常に若くて、まだニキビがおさまらないような顔をしていました。ですが流石に、起業や人生の成功といった事象に積極的な人に共通する独特の目線を、椅子の上でかしこまっている私に向けて来るのでした。

相手の話を一方的に聴くばかりでじっと黙りこんでいる私が、何か言いたそうにしていると思ったのか、何か質問がありますかと訊いてきましたので、眼科的な何か資格が必要ではないかと尋ねました。何の資格も持たない私にはちょっと無理だったんじゃないかと思ったのです。

以外な返事が返ってきました。訪問販売なので普通自動車免許、それだけ。それで法的にも何の問題も無いとのこと。相手は白衣を着ているし、部屋には眼科にあるような機器も置いてある。なのに必要なのは普通自動車免許。

私は何かちょうど、誘われて行った楽しいはずの会合がネズミ講のセミナーだったような気分になり、ついでの勢いでもうひとつ質問しました。

この仕事は需要ありますか?

「需要は自分で開拓するものです」

私はこの言葉が忘れられません。私のような凡人にはとても思い付かないセリフ。新しい視点というボタンがあったらたくさん押しちゃう。

私はその場で不採用になりました。

 

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