芳野星司 はじめはgoo!

童謡・唱歌や文学・歴史等の知られざる物語や逸話を写真付でエッセイ風に表現。

原田 要 さんが遺した語録

2016年05月07日 | 言葉
                                                                

 5月3日の憲法記念日の日、99歳で元零戦パイロットが亡くなられた。原田さんが生前に講演やインタビュー、ドキュメンタリー番組などで語った語録を探してみた。



 もし自分の命を、お国のために役立つことに捧げるのなら、私は幼児教育に捧げたい。

「天皇陛下万歳」とか「大日本帝国万歳」とか言って死んでいったとか言われますが、そんな人は一人もいません。最後はやはり母親ですよ。
「おっかあ」「かあちゃん」です。

 戦争を止めるのは、お母さんたちです。

 母親の存在というものはものすごく大きい。母親がおっぱいを与える。「いっぱい飲んで、早く大きくなって立派な人間になるんだよ」と、自分の愛情を全部子供に傾けておっぱいを与える。子供は一番最初に母親の顔を覚えて、信頼する母親から栄養を飲む。一番困ったときは母親です。だから戦争を止めるのは、母親と母親に育てられた若い人です。

 私は零戦のコックピットから戦争を見ました。いまだに私が殺した兵士たちの顔はよく覚えています。
 戦場でのかつての敵兵もまた、私たちと同じように父であり、息子なのです。彼らを憎んだり、知りもしないでいることはできません。

 戦争は人間から人間性を奪うのです。全くの他人を殺すか、殺されることを選ばざるをえない状況に置かれることによって。
 私は気がつきました。戦争が、私を人殺しへと変えてしまった。私はそうありたかったわけではないのに。

 戦争の中にも、いいと思えることも少しはありました。しかし、そこをお話しすると戦争賛美のようになってしまう。結局いいことの何十倍も、後から悪いことが押し寄せてくる。戦争とは、そんなものです。
 坂井三郎君もあのような形で有名になりましたけど、本意ではないと思います。

 安倍首相は必死で日本の戦争放棄を取り消そうとしたがっているように見える。
 戦後の長い平和がひとつの達成であったということを忘れているように思えてならない。
 安倍首相ら最近の政治家は戦後生まれだから、どんな犠牲を払ってでも戦争を避けなければならないということを理解していないのです。…その点で彼らは戦前の指導者たちと似ているんです。

 戦争で唯一良かったと思えたことは、先輩たちからのアドバイスにもありましたが、日常を真剣に、一所懸命に生きていれば、ああもう本当にだめかもしれないというときに、静かに死を見つめることができるということがわかったことです。

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