網走番外地 高倉 健 モノクロ 1時間30分
解説
言うまでもなく高倉健さんの男意気のドラマ、かなり若い1950年以前の作品、表題のとおり網走番外地網走刑務所の囚人達のドラマ。
物語
♪ 遥か、遥か彼方のオホーツク、赤い真っ赤な浜茄子が海を見てます、泣いてます、その名も網走番外地。
網走駅、SLが音をたてて到着する、囚人が降りる、零下20℃、囚人達を乗せたトラックが網走刑務所に着く、マンドリンの音が物悲しい。
名簿、橘 真一懲役3年、(高倉健)房の中、先輩の雑居房の怖い主が居る、此処へくれば何をやって来ようが同じだが、各人自分のやったことを話し出す、前科13犯なんてのがいる、悪いことはみんなやってるようだ、先輩の自己紹介、お前ら8人殺しの鬼虎というのを知ってるか?しらねーだろうな、お前らが生まれる前の事だその鬼虎と兄弟の付き合いよ、と偉ぶるのが依田平蔵、老人が居る、残りが21年もあるという、何をやったか聞かねーで下せ、42番ですという。
♪ 人里、人里離れた折の中、この世に地獄があろうとは娑婆のメス子にゃ解るまい、知らなきゃおい等が教えましょう。
深い雪の中を歩く囚人たち、看守が捨てた煙草の吸殻を倒れたフリをして拾う、森林伐採の仕事だ、休み時間、おいサッキのニコだしなと依田、こういう御馳走は
先輩から戴くのがしきたりよ、と煙草の吸殻を取り上げてうまそうに吸う依田、依田と橘は合わない、喧嘩になりそうな時に作業開始の合図、喧嘩の続きは雑居房の中で始まる、橘は一人処罰房という独房へ入れられる。
橘の故郷、母親に連れられて歩く小さな子供、足の悪い妹がおっかさーんとよぶ、母親は好きでもない貧乏たらしい男と再婚した、否応ナシにそこでの生活が始まる。
再び独房。
♪ 一人、一人暮らしのお袋に、極道重ねた罰あたり、すまぬすまぬと手を突いて、涙で祈る番外地。
27番の橘と依田たちとは合わない、刑務所の中の様子があれこれ見せられる。
再び橘の故郷、橘はその家に居たたまれず出てゆく、キット迎えに来るからと妹の美智子に言う、美智子の手には母が用意してくれた金が握られていた。
刑務所、椿保護士(丹波哲郎)が橘の所へ面会に来る、仮釈放の申請中だったが例の事件で不味いことになったという、橘は、故郷のお袋の具合が良くないとの妹からの手紙で、お袋に一目だけでも会えるように取り計らってくれと頼む、極道を詫びて、それから自分の刑を受けるという、椿はこれを受ける。
♪ ドスを、ドスを片手に殴りこみ、切った張ったのこの渡世どうせおい等の行く先はその名も網走番外地。
仮釈放が間じかの時、脱獄の話が房の中で出る、この時期に脱獄してでもお袋に一目会いたい、仮釈放の椿の事もある、悩む橘、やがてその決行の日、看守に房の中から仮病を使って腹痛を起こしたと偽り看守を呼ぶ、看守が病人を運び出そうとしたときに、老人の42番が、「担当さん、その病人はね寒さで腹痛起こしたんでみんなでさすってやれば治りますよ」という、担当看守はそうかそうしてくれ、と帰る、房の中では折角の脱獄の計画がこの42番のおかげで潰されたので怒った仲間は隠していたナイフで老人を殺そうとするが、老人は喧嘩には滅法強く、喧嘩の相手ではなかった、そして、俺の道ずれにもう一人連れてゆこうという、ブルってしまう房のボスの依田、お前さん誰なんだいの質問に、おれはあんたの話していた8人殺しの鬼虎だ。この一件で橘は救われる。
しかし一難去ってまた一難、今度は網走から18キロ離れた山の中の伐採に行くことになった、そのトラックが深い雪の中を走るや手錠をかけたまま飛び降りて脱走する、他の何組かは捕まるが、橘と岡田の手錠をはめられたコンビは逃げまくる、雪の中をさまよい、ある民家にたどり着く、そこは橘の保釈を頼んでいる椿の家だった。サツマイモを食べてるときに奥さんに見つけられ、岡田は奥さんを負傷させる。再び逃げまくる二人だが、トロッコの線路を見つけそれに乗り逃げ出す二人、猟銃を片手に椿は二人をおう、カーブの所で飛び降りて逃げまくる。やっと追ってから逃れた二人だったが、今度は手錠の鎖を切って一人にならなければならないそこで汽車の線路へ寝転んで汽車の車輪で切ってしまおうと線路に寝転んで汽車の通過を待つ。
汽車が通過し二人を繋げていた鎖が切れるが、岡田は汽車にはねられて重症、手錠のまま喧嘩をしながら逃げ回って来た二人が離れたので橘は岡田をおいて逃げようとするが、岡田は、しきりにおっかさん!おっかさん!とうめく、それが妹のおっかさん!とダブル、橘は置いて行くかどうするか迷うが、岡田もやっぱ自分と同じ苦労してきた奴だと助けようとするところで、椿が銃をもって現れ、橘をこの恩知らずと殺そうとするが、殺しても良いが、この岡田を助けてやってくれ、それから俺を殺してくれと橘は椿にお願いする、この男たちの友情に椿は二人をソリに乗せる、橘、お前のおふくろさんは面倒見てもらい入院して病気は回復しているそうだぞ!という。
静かにながれる網走番外地のハーモニカの音楽。
感想
最後はかなり浪花節調だが、この映画が出た頃はこれがデフォだったらしい、ヤーさんがこの映画をみて、泣きながら映画館から出てきたというから相当なもんだったらしい。どこか西部劇調の所があって、音楽が日本人向きの演歌調な所もまた面白い。
感じた度 ★★★