はずれの映画辞典

映画とは生きものの記録です、この世に生きる者が、こうして生きようじゃないかと訴えます。惚れた映画を毎日連載します。

韓国映画シリーズ~「力道山」

2008-04-30 08:15:54 | Weblog
力道山  監督ソン・へソン主演 ソル・ギョング  2004年 日韓合作

 解説

 日本人なら誰でも知っているこの名前だが、この人、実は朝鮮人だったというのは余り知られていない。力道山の激動の生涯を描いた伝記映画。力道山は、1963年暴漢に刺されてその傷が腹膜炎を起して死亡した。まだ日本にテレビが普及していない頃の昭和28年7月、街頭のテレビで見たアメリカの「シャープ兄弟」と力道山の試合が日本プロレスの幕開けとなった。
 *この映画日本では5月末公開の予定だったが、何故か上映されなくなった。DVDのみ。

 物語

 1944年(昭和19年)4月、太平洋戦争が敗戦に向かい始めた頃の東京、街を大根をカジリながら歩いていると空襲警報がなる、人力車の芸者も道路へ放り出されてしまう、その手を引いて一人の男が防空壕の中へ、女は芸子で名前を「彩」と名乗った。
 ・・・二所の山部屋の稽古場で殴られている男が居る、「この朝鮮人の野郎人の顔を見て笑った」と訳もなく殴られている。

 ・・・東浪の横綱昇進の席、館野武雄後援会長がいて芸者の中に「彩」が居る。
 ・・・コウリから盗まれた財布が出て来たと男がオマワリに追及される、俺は盗んでない濡れ衣だと川の中へ逃げ込む男、この男が朝鮮人の相撲取りであった。それを見て居た親方が、どのみちお前は相撲が取りたいのなら警察で明白にしなさいと言う。

 やがて、1951年秋、関脇に昇進、この時に、昇進について、相撲協会に朝鮮人だからと差別したと抗議して一年間の謹慎処分をくらった。それからの力道山は狂ったように酒を飲み暴れた。
 ある夜バーで、喧嘩の強い外人に羽交い絞めにされ、俺より喧嘩の強い奴が居た事に驚いたが、その男は、アロル坂田と名乗るプロレスラーだと名乗った。そして、家のジムへ来るように言われるそして其処でレスリングの修行に励む、海の向こうアメリカではプロレスが盛んで其処で修行をつみたいと館野会長に頭を下げてお願いする、そしてアメリカへ渡るが、アメリカでは、”日本から来た猛虎力道山”無敗の力道山としてアメリカ中を震憾させた。

 1953年7月、日本ではあまり知られていないプロレス、興行主はあまり乗り気にならなかったが、
最近、日本の男達は、大きな外人に圧倒されて、情けない、日本男児の意地を見せたいとプロレスを強調、それならと、まずはアメリカから「シャープ兄弟」を呼んで試合をやる、兎に角負けてくれと八百長臭かったが、ものすごい人気、テレビ中継に鈴なりの人、この人気に驚いたテレビなどがこの中継をやりだした。
 しかし、力道山は負ける事が嫌いで、やって行くうちに興行として負ける事もしないと、という周囲の声も聞かず勝ちつづけ、テレビもオリンピック景気でプロレスは下火になった。
 その後は見てのお楽しみ。

 感想

 この映画は、力道山の命日に劇場公開される予定だったが、どうしたわけか中止された、差別問題で協会からクレームでも付いたんじゃないかと推測されるが、・・・。
 力道山が、朝鮮人であった事などは、’63年殺された頃に噂になった、でも気にも留めなかったが日本が朝鮮を植民地支配している頃、間違いなく朝鮮人を差別していた事は事実である。
 だとしたら相撲部屋での力士の中で差別はあったかも知れない。
 プロレスのテレビ中継を、わざわざ上野の西郷銅像の下にあった街頭テレビであまり良く映らない映像のプロレスを望遠鏡で見た記憶がある。
 
 感じた度 ★★☆

韓国映画しりーず~「ラブストーリー」

2008-04-29 08:50:14 | Weblog
ラブストーリー 監督クアク・ジェヨン出演ソン・イエジン、チョ・スンウ 2003年

 解説

 「猟奇的な彼女」の監督作品、偶然見つけた古い手紙と日記からたどる若かりし日の母の初恋と、成就することなく終わったその恋が、35年をの時を越えて女子大生の娘に運んでくる愛の奇跡をつずる。
 

 物語

 ジへの父親はジへが若いときに死んで、母は今外国を旅行中だ、ママの秘密にしている手紙や日記を読んでいる、ママがこれを取り出しては涙ぐんでいたのを見てママが居ない隙にママのパパとの秘密を知ってしまった。
 学生のジへには淡い恋心を抱いている男子学生のサンミンが居る、しかし、そのサンミンにはジヘの女性友達のスギヨンがアタックしている。ラブレターの代筆を頼まれて書いたりしている。サンミンは学校の演劇部で演出を担当している事から、スギヨンは演劇部員としてサンミンの芝居に参加している、そこで3人は知り合う。

 ママの日記にはパパとの出会いが細かく書かれていた。
 画面は昔に返りパパとママとの出会いのシーンとなる。

 ジヘのママはソン・ジュヒ、ジュヒは父親が共和党の国会議員である、つまり良いところのお嬢さんだ。
 ある日、幼馴染のテスが、ジュナの所へやってきて、ラブレターを書いてくれと代筆を頼む、差し出す相手はテスの親父がジュヒの親父と友達で親同士が将来を約束していた許婚のジュヒだった。
 そんな事とは無関係にジュヒはある時ジュナを見初め、ジュナにお化け屋敷を見たいとデイトの申し込みをする、ある景色の良い川のほとりの古びた家を探検してお化けを探し回る、そのときに恋が芽生える、そして別れの時にジュヒは自分のネックレスをデイトのお礼にとジュナにプレゼントする。
 その後、ジュヒのピアノの演奏会の終った後で再会しお互いに好きあっている事を認める、プラトニックラブ。

 ここまで読んだ所で話は現実にもどり、サンミンとスギヨンの話にもどるが、二人のデイトにジヘも呼んでの3人で展覧会を見に行く。
 このときサンミンはプレゼントの箱を持ってきていて、スギヨンとジヘに差し出す、中には「太陽が海を照らすとき、私は君を思うだろう、月明かりが泉の水面に浮いている時、私は君のことを思うだろう」と書いてあった、それを見て、ジヘはサンミンがスギヨンを好きなんだと思う、なぜなら、その箱はサンミンがスギヨンに渡した箱だったからだ。

 また話がジュヒとジュナの話に戻る、ラブレターの代筆を頼んだ親友のテスはある日ジュヒに貰った首飾りがジュナの首にある事を見つけ、二人の関係を知るその首飾りはテスの父親がジュナに送った物であったのを知っていた。
 落胆したテスは、厳格な親父に許婚が嫌いになったと話すと、ベルトで叩かれる、それでも男か!と、気の弱いテスは学校で自殺をはかるが、ジュナに発見されて命はとりとめる。悩むジュヒ。

 また話がジヘとサンミンの話に戻る、ある雨の日に二人が好きあっていることを知る。こちらはすっかりサンミンの恋人気分だったスギヨンが手首を切って自殺をはかる。しかしこれも助かる。

 時が流れて、朝鮮戦争が始まると、テスもジュナも戦場へ出てゆく、戦場でジュナは負傷し動けなくなる、それを見たテスは首飾りをジュナの首から毟り取り持ち帰る。助かったテスは戦争が終ってその首飾りを持って帰りジュヒと結婚する。
やがて時が過ぎ、ジュヒが川のそばにたたずんでいると、男達がやってきて、ジュナが死んでその遺骨を川へ蒔くのだという。そこでジュヒはジュナの死を知るが。
今度は、ジヘとサンミンのペアー、親達がデイトした同じ場所でしっかりと抱き合う。ジヘは首飾りをサンミンの首にかけてやる。

 感想

 韓国の美男美女が繰り広げるプラトニックなラブだが、他の恋愛映画と違い愛情の微妙な変化を良く捕らえて楽しくなる。年配者はもう一度恋をしたいと思うだろう。しかし、惜しむらくは、昔のシーンと現代のシーンが交互に出てくるので、登場人物で昔か現代かは分かるが、ロケーションに気を配って欲しい所がある。
 昔をセピア色にしたりする工夫が欲しい所である。

 感じた度  ★★☆  

韓国映画シリーズ~「最愛の人」

2008-04-28 08:43:18 | Weblog
ラブ 最愛の人  2006年未公開  主演 チョン・ウソン

 解説

 韓国映画の日本における興行成績、ヨン様の「四月の雪」はだいぶ売れたが、その後から出たチョン・ウソン、ソン・イエジン演ずる「私の頭の中の消しゴム」が10月に公開されてこの映画の興行成績がヨン様の映画を追い抜いたという。
 チョン・ウソンの韓国での人気は日本よりは高いそうで若い層に人気がある、イ・ビヨンホンの弟役を演じた、’95年のドラマ「アスファルトの男」以来のスターだというから歴史はある。


 物語

 オリンピックのマラソン金メダルランナーのオ・ミョンス(チョン・ウソン)は、ロサンゼルスで行われるマラソンの世界選手権に出るためにロスまでやってきた。
 ライバルの友達が居るが、その合宿の友達と離れて、独自で知り合いの所で走りの練習をする事にした、ミンスはどうも35キロ地点で前回失速してしまった事に、自分のマラソンに限界を感じていた、もう走れないのではないかと。(何となく日本の高橋尚子を思わせる)

 ロス在住のクリーニング屋を経営するソンウ・ジェニー兄弟の家に住み着いてクリーニングに精を出すが、そこのジェニーという彼の妹に一目ぼれする、そして心臓破りの丘をトレーニングして克服する。
 やがてロスのマラソンレースに参加するが、・・・。

 感想

 どうしても前作と比較して見てしまうので、全く堀が浅く来る物が無い。
 愛する二人を結びつける、前作の記憶喪失の部分のような、ジェニーとミョンスが愛し合う詰めがあまりないので恋愛映画にならないから面白くない。またウソンのエネルギッシュな動きがなくこれも期待はずれ、全体にテンポが遅すぎて飽きる、これは売れないだろう。

 感じた度 ★☆☆

韓国映画シリーズ~「ラン・アウエイ RAN AWAY」

2008-04-26 08:15:45 | Weblog

  ラン・アウエイ RAN AWAY  1995年 
                監督 キム・ソンス 主演 イ・ビヨンホン、キム・ウンジョン

 解説

 「武士」「英語完全征服」等の映画を製作したキム・ソンスの初めての監督作品だが、製作した年代から韓国映画の草分け的な映画でもある。
 ’91年からテレビで活躍していたイ・ビヨンホンだが、’95年、映画ではこれが「誰が俺を狂わせるか」についで二作目の映画で、この映画で大鐘賞新人男優賞などを受賞。
 同じ年に「アスファルトの男」などの連続テレビドラマ、その後の’97年には連ドラ「美しい彼女」ではボクシングの選手を見せるなど、韓国ナンバーワンの俳優の座を獲得した。

 この映画は、都会の片隅でフト出会った男女が、殺人現場を目撃した事から二人は事件に巻き込まれるというアクション、プラス、サスペンスドラマである。。

 物語

 ソウルで偶然出会った男女が一夜を過ごすが、ホテルの窓の下で二人は殺人事件を目撃してしまった、ドンヒ(イ・ビヨンホン)はテレビゲームのプランナー、女性は関わり合いになる事を恐れて見ない事にしようと言うが、ドンヒは善良な市民、殺人事件が起きているのにそれを見知らぬ振りをしているわけにいかず警察に電話する。
 しかし、その後、警察の者だという男がドンヒに近ずき、男はドンヒを殺そうとする、その時にはうまく難を逃れたが、後日警察へその報告に行くと、どうも警察が信用できない、麻薬組織の仲間内の殺し合いだろうという、見知らぬ男から逃げ出す時の怪我で病院へ入院するが、その中でにまで男が追って来て二人を襲おうとする。
 二人は、警察も、病院も信用ならないと逃げ回るが、・・・。

 感想

 アクションサスペンスドラマ、さすがによそ見が出来ない映画で、モダンジャズの響きも何処かフランス映画モドキで面白い。
 話の筋書きは何処にでもありそうな話だが、ビヨンホンの動きが面白い。

 感じた度  ★★★

韓国映画シリーズ~「私の彼のロマンス」

2008-04-25 08:39:02 | Weblog
私の彼のロマンス 2004年  主演 キム・ジョンウオン

 解説

 同じ年に、ドラマ「パリの恋人」をパク・シ二ヤンと作って人気を博したキム・ジョンウオンのお色気を映画にした恋愛コメデイー映画。

 物語

 ナレーター・・・。
 全ての男性は望んでいる、全ての女性が美人で有る事を、そうなれば美人しか選べないから、しかし全ての女性は心配している、彼氏の前に自分より美人が現れる事を。
 貴方にはそんな心配は要りませんか?本とに?私にはそんな友達が居ました、これは彼女の物語です。
 彼女の名は、ヒョンジュ、彼女は白雪姫、白雪姫のお城を皆が建てています、白雪姫のためにお父さんが建ててくれたんだ、そう思った彼女は喜びました。
 しかし、それは勘違いでした、何時かお父さんが建ててくれたお城に、お父さんが王子様を連れて来てくれる、そんな王子様を捜して来てくれる事を信じていたのに。
 彼女は、ソウル市江北スェリンドン、丘の上で29年前に生まれました。

 ヒョンジュンの回りには、親友のファン・ソンイ、チョ・ギチョル、チエ・ジンシル(パク・ソルミ)チャン・ボンスンなどが居てスユリ五人組と自分たちを呼んでいる。
 ある日、ヒョンジュンの親たちが突然外国へ行くってしまい一人になる、学校も経済的に行けなくなって途方に暮れている時にキム・ジフンという学生に出会う、そしてジフンは飾り気のない世間知らずな素直なヒョンジュンが好きになり、七年が過ぎた。

 ある日、ジフンは、エレベーターの中で、トップスターのウン・ダヨンと出会い、ダヨンはジフンが好きになる、ダヨンは自分の家のネズミ退治をジフンに頼んだ事から恋仲になるが、ダヨンは、「ロマンス」という一般人がトップスターと好きになる映画を撮影している、また、コマーシャルの撮影で、害虫駆除のコマーシャル作りでダヨンとジフンは仕事をする事になるが、その仕事にはヒョンジュン達グループのエキストラ出演も頼んで皆で撮影に。
 その仕事が終わったところで、ヒョンジュンはジフンがトップスターのダヨンが好きになったのではないかと嫉妬する、なんたって相手は金も名誉も全てを持っているスター、そして彼女も取り巻きが何時も傍に居て一人では何も出来ない寂しい身の上、そのトップスターがジフンと交際を迫る、はてさて、ヒョンジュンンとジフンの恋の行くヘはどうなるのか、それは見てのお楽しみ。

 感想

 女のやきもち、男はそれほどでもないのだが、七年もお付き合いしている恋人が他の女性と仲良くなり取られるかもと心配した時に、女性は何を考える、ヒョンジュンは、きっと帰って来ると信じて雨の中でジフンのもどって来るのを待つ、それを脇で見ている友達、恋とは信じる事とドラマは言う。

 感じた度 ★★☆

韓国映画シリーズ~「私たちの幸せな時間」

2008-04-24 08:45:12 | Weblog
私たちの幸せな時間 2007ー8月  監督 ソン・へソン
                  
               主演 カン・ドンウオン、イ・ナヨン 

 解説

* 韓国で九月14日公開され話題になった映画、DVDが発売されている。
* 監督のソン・へソンは「力道山」「ラブレター」「ホワイトクリスマス」などの作品がある。
* 主演のカン・ドンウオンは韓国のイケメン俳優、「狼の誘惑」「彼女を信じないで下さい」など
* イ・ナヨンは、「愛の群像」などドラマでもペヨンジュンの妹役などで人気がある。
* これだけのお膳立てがある韓国映画は、見どころもある。
* この作品は、コン・ジョンの書いた同名のベストセラー小説の映画化。
 
 内容は、三人を殺した死刑囚と、三回自殺を試み失敗したインテリ女性との出会いを描いた映画である。世間を恨み、死だけを考えながら生きてきた二人の男女が、刑務所の面会室で会うごとにお互いの傷跡を癒しあいながら、生きてきた世間を見つめなおす過程を見せる。
 

 物語

 ムン・ユジョンは自殺を三回も企て、失敗してそのたびに母親から愛情のない目で見られている。
自殺の原因を話すとネタばれになって面白くないから書かない。
 刑務所に、チョン・ユンス(カン・ドンウオン)という男がいる、ユンスは仲間と三人の人殺しをしてその罪を一人で被って、死刑が確定している、死刑を待つ死刑囚。
 連日この道30年もやっているシスターのモニカが刑務所の面会室へやってくる、ユンスは、シスターの、ひたすら”祈れ”という親切心の強要ばかりで、罪を償えとは言わない説経に飽き飽きしている、本人は罪の意識にさいなまれている、それは解決してくれない、お前の親切なんか聞きたくないと受け入れようとしない。
 何度目かの面会のときに、ムン・ユジョンはこのシスターと面会室へやってくる。

 この死刑囚が、やがて自殺を三回も未遂した女性と話しながら変わってゆく。

 感想
 
 ”男尊女卑”の韓国の社会、お年よりの間にはまだそれが昔からの根強い風習として残っている。
例えば、女性がレイプされたとする、そのレイプの罪は、女性が男に色目を使った、レイプしたくなるような仕草をした”女性に罪がある”と思っている年寄りがいる。
 この年寄り女性が、自分の母親だった場合、子娘が男にレイプされたと母親に泣きついたら、母親は、その娘にお前が色目を使ったからお前が悪いと言うんだろうか、子供の母親への信頼はどうなるのだろうか。
 娘は母への信頼をなくし、母を母と思わなくなる、最も信頼している人に裏切られて寂しい思いを募らせるだろう。

 死刑囚のユンスは、子供の時に母親に兄弟二人で捨てられ、孤児院での生活を強いられた。
それでも必死に生きて、恋人が出来たが、その恋人が金のかかる病気になった、貸した金を返してくれと友達に言うが金はない、その代わり、最後の仕事で金貸しを殺して金を奪おう、と計画し、罪を犯してしまう。
 二人の境遇は”母親”の「子供に対する認識不足」という点で共通する物を持っている、とすれば、二人がもっと母親との愛情を持った”意思の疎通”をしていれば悲劇にはならなかった問題。
 ”情”の無くなった現代を痛烈にむき出して見せて素晴らしい作品である。
 人は、非日常を見て日常を学ぶ、これは人生観を変える素晴らしい映画だ。

 感じた度 ★★★

韓国映画シリーズ~「私にも妻がいたら良いのに」

2008-04-23 08:25:50 | Weblog
私にも妻がいたら良いのに 脚本監督 パク・フンシク

                  主演 ソル・ギョング、チョ・ドヨン2000年

 解説

 胃にもたれるような映画を見た後には、スカッとする恋物語などをみると、何かほのぼのとするもの、これはそんな映画である。

 物語

 銀行に勤める、キム・ボンスは友達も恋人も居ない独身男、地下鉄で電車が故障のため一時間ほど止まってしまったが、みんな携帯電話で何処かへ連絡しているのに、自分にはかける相手が居ない、妻がいればそこへ電話するのだけれど、みんながしているのに自分だけするところが無い、何か寂しい感じがする。
 
 何処か鈍感な彼は銀行の向かいにある学習塾の女性教師チョン・ウオンジュが自分に熱い視線を送っている事にきずかないでいる。そんな彼がある時大学の同窓生テランと再会、彼女との結婚を決意するが、彼女はバツ一だった、そして、街で小さなギャラリーを開いて居たが、作品は売れず何処へとも無く雲隠れ、そんな時に、銀行の防犯モニターのビデオを見ていると、そこには熱い視線を送っているウォンジュがいた。
 そのさえない主人公が、好きな彼女を捕まえるというおはなし。

 感想

 冴えない独身男が、愛する人を見つける、そしてデイトをする、なんていうラブコメデイー、梅雨空の暗い街に、間もなく梅雨明け宣言が出されるラジオの天気予報、一輪の花がポット咲いたように明るくなって楽しくなる映画である。

 感じた度  ★★☆

韓国映画シリーズ~ワニ&ジュナ ~揺れる想い~

2008-04-22 09:00:11 | Weblog
ワニ&ジュナ~揺れる想い~  監督キム・ヨンギュン 出演キム・ヒソン、2001年

 解説

 同棲中の二人が、ある事があって冷たくなるが再びお互いの愛を確認するという映画。
 「ひまわり」でビ・ヨンホンの相手役を演じたキム・ヒソンを見せる映画だ。

 物語

 動画のアニメーターでシナリオライターの女性ワニは、一つ年下のシナリオ作家ジュナと同棲している。ある日同棲中の所へワニの友達が少しの間部屋を貸してくれとやってくる、そして、母親の違う義弟ヨンミンが留学先から秋に帰国するという連絡が入る、ヨンミンは、ワニの初恋の男だった。一時心が乱れるが、ジュナと離れては暮らせない事を知る。

 感想

 なんだ、それだけ、というあまり面白くない映画だが、漫画のアニメや、キム・ヒソンの魅力で見せる映画ではある。
 日本では感じない事だが、韓国では、年下の男と同棲するなんて女は非常識、おまけに結婚式もしないで同棲、またおまけに初恋が義理の弟と来ては、「何とふしだらなこの女は」となるのかも知れない。
 こんな常識外れだが、知性と教養を持っている女、不思議な女、という感覚なら多分面白いのかも知れないが、現代的な日本の感覚では面白くもなんとも無い。
 と、これは日本人の感覚、日本人が余りにも自由がありすぎ、厳しさが無いのかもしれない。

 感じた度 ☆☆☆

韓国映画シリーズ~「悪い男」

2008-04-21 08:13:25 | Weblog
悪い男  キム・ギドク監督  2001年発表
          出演 チョ・ジェヒョン、ソ・ウオン、キム・ユンテ

 解説

 キム・ギドク監督作品の「春夏秋冬そして春」を見て、「魚と寝る女」を見て、この作品を見るが、兎に角韓国映画の中では彼の作品は異色である。この映画を’01年に発表したとき、ヤクザが、女子大生を娼婦に仕立てるとは何事か、韓国人の情緒に合わないと評論家の評は厳しかったそうだ、非道徳的であると言われたんだそうだ。
 彼の作品は、その悪評を知ってかしらずか、娼婦と言う社会の底辺に生きるその人達を描き、彼らの姿をありのままに表現する、日本の作品で言えば、永井荷風の自伝「墨東奇譚」の新藤兼人監督と似たような所がある、其処に出てくる永井荷風的な生き方の描き方をする、兎に角、目をそむけて通り過ぎたい社会の恥部を余すところなく表現するところが面白い。

 物語

 公園の待ち合わせ場所、一人の女がベンチに座っている、それを見ている目つきの悪い男、鷹が獲物の
ウサギでも狙うかのような目つきだ。やがて、男はその女のベンチへ行き隣へ座る、女は携帯で待ち合わせの男に電話する、やがて彼氏が来てデートが始まるかと思った瞬間、目つきの悪い男は女を捕まえて強引にキスをする、余りにも理性のない行動に公園に居た人たちが集まる、そして男を捕らえて謝れというがその男は口が効けないようであった。女はその男に唾を吐きかけて恋人とその場を去る。

 ・・・本屋である、女は本から一枚の絵を破いてポケットへ仕舞う、そして財布が傍に置いてありそれを拾い上げると店を出てゆく、それを見ている先ほどの目つきの悪い男、やがて、財布の持ち主が女を追いかけて女を捕まえる、謝る女、初めてなので警察へは言わないでくれという、財布の男は、もっと金がはいって居た筈だ、全部出せと言うが、入って無かったという、女は金をぜんぶ払うから勘弁してくれと頼むが聞かない財布の主。どうやらこれは目つきの悪い男が仕組んだ芝居らしい、財布の男は金を貸してくれるところがあるから其処で金を借りて返せという。仕方なし金を借りる、可也の大金だ。

 女が金を返せなくなると、此処で働けと財布の男は娼婦の宿を紹介する、そして無理やり娼婦にさせられるが、客のある男がその女を買う、が、なんせ処女、セッツクスのやり方を知らない、唯ひたすらに拒むばかりで何も出来ない、処女なので最初のセッツクスの相手の男は恋人にしてくれと頼む、そして恋人の男に処女を捧げるが、その恋人も其処の若い用心棒の男だった。それを、そっとからくりミラーの奥から一部始終を見ている悪い男、なんたって、恋人からして全てが計画どうりの大学生を娼婦に仕立てる仕組みだったのだ。

 悪い男は其処の娼婦の宿のボスで、ハンギと言い、はめられた大学生の女はキム・ソナと名乗った。
やがて、悪い男ハンギはソナとセックスをするが、そこでソナはセックスに開眼する、そしてどうやっても逃げられないと悟るが、ボスが忘れられなくなる、やっぱあの時の味が女をそうさせたのだろうか。
 この後で、ハンギは前のボスのタルスが刑務所から出てきて、店の主導権争いになり喧嘩して、刑務所に入る羽目になるが、そこへソナが面会に行きハンギはソナを愛している事を知る。
 やがて、売れっ子になったソナだが、・・・

 感想

 携帯電話で話をしているところを見るとこの話は最近の話である、日本で言えば、「墨東奇譚」のような赤線が廃止されない前のような昔の話ではない、してみると、韓国では、日本の、かつて実在した浅草吉原辺りの娼婦のような、女性の性の自由な売買が出来るのだろうか。
 それは良いとして、現代の日本では、大学生がソープで金を稼ぐためにセックスをするという話が’90年代には当たり前のようになっていた、最近では、お客の要求がロリコン趣味になり、中学生までもが性を売り物にして居るので、大学生などは大人の扱いで優遇はされないのだそうだ。大学生が性を売り物にする、中学生までもが・・・なんて話は本当は現代社会が生み出した自由の中の矛盾なのだが、日本ではそんなに問題意識はなく売春は後を絶たない。

 この映画を見ると、韓国の大学生の意識は、最高学府、エリート、お金には不自由しない人種、そして結婚していなければ処女、という概念が作られて居るのかも知れない、そのエリートだって実は、・・・というところがギドクの狙うところなのだろう。となれば、社会的に見て、朝鮮民族の恥をあえてさらす事は無いではないかという堅い評論家の出て来る事もうなずける。

 話は変るが、映画と言うのはドラマと違い、見始めたらぐいぐいと見る人を映画の中に引き込んでゆくテクニックが重要である、二時間ぐらいの間に全てを見せなくてはならないからである。この点から見るとギドクの作品はまた素晴らしい。見始めて30分ぐらいは目を離せない作品作りがよろしい、彼の作品は日本の黒沢がかつて作り上げた映画のイメージを彷彿させる。

 感じた度 ★★★
 

韓国映画シリーズ~「我が心のオルガン」

2008-04-19 08:09:55 | Weblog
我が心のオルガン  映画1999年製作 イ・ビヨンホン主演  
                     監督脚本  イ・ヨンジェ

 解説

 師範学校を出たばかりの先生が、山の分教場のような学校へ赴任してくるが、その先生の一年間の先生の生活と生徒の姿を描く。恋愛ものの多い韓国ドラマの中で、「お婆ちゃんの家」につづく韓国農村部の、貧しい生活を描いた映画はまた素晴らしい物がある。

 物語

 ソウルから電車に乗り、バスを乗り継いで、あとは、馬車などに乗せてもらって村の分教場へ若い男がやってくる、名前は、カン・スンハ(イ・ビヨンホン)21才、師範学校を出て初めて教職に付く、村は、センリと言い、5年生の担任となる。
 初めての授業の日、子供をおんぶした児童が居る、五年生だが体は大きい方である、名前をヨン・ホ二ヨンと名乗った、ホ二ヨンはこのカン先生に淡い恋心を抱く。
 小学校を出ても、文章を書けない人が沢山居る事から、カン先生は日記を付けさせて毎日採点して出させる。

 ある日、ホ二ヨンが学校へ出てこなくなった、家へ行くと、家は母子家庭で、子供4人と、母親が生活している、テレビ、ステレオ、ラジオなどの娯楽品も無く、一つの部屋で家族が暮らしている、本等も無いかなり貧困そのものの生活をしている。先生は、お前が来ないと寂しいと言い学校へ出てくるように言う。冷たくした先生に拗ねたのだろう。

 昼飯の時間に多くの子供達は弁当をおいしそうに食べるが、井戸端で水を飲んでいる児童も居る、貧しくて昼飯が食えないのだ、先生は自分の弁当を差し出す。
 先生の中に、25歳のヤン・スンムという女の先生が居る、彼女は音楽好きで、LP等も持っているのでカン先生は借りたり貸したりしているが、カン先生は彼女に恋心を抱く。

 彼女が日直当番の日曜日にカン先生は自分の作曲した音楽を持ってオルガンを弾きに行く、そこで二人は親しくなるが、なかなか好きだという事を言い出せないでいる。児童達は便所の落書きなどで二人の仲を書きたてる、年の差が違う二人は結婚したらおかしいとカン先生に淡い恋心を抱くホ二ヨンはその事を日記に毎日綴るようになる。幼心の嫉妬がかわゆい。
 ある日、彼女に意を決してラブレターを書き彼女に渡そうとするが、その時、彼女は結婚して辞職する事になったと知らされる。
 失恋するカン先生。

 やがて色々な行事があり、その後3月の春休み、カン先生は経験不足を嘆いてもっと勉強しなければ・・・とその分教場を後にする。後を追う児童達だが、・・・。

 感想

 山村の貧しい分教場を描いて、韓国庶民の生活をくまなく映し出していて面白い。韓ドラや韓国映画では「お婆ちゃんの家」以外では、携帯電話等を使った都会的な上流階級の映画ばかりを見せられているが、農村部にはこのような貧困そのものの生活があるんだと感心する。
 見終わった後、童心に返ったような気分になる、テレビもラジオもステレオなども無い、学校のオルガンが唯一の文化的な道具、日本にもかつてそのような時代があった。オルガンの響きがやたら心に響くのは経験者だけだろう。カン先生が去るとき、何故かホロリとする物を感じた。
 あのイ・ビヨンホンが変った役作りで素晴らしい。

 感じた度  ★★★