はずれの映画辞典

映画とは生きものの記録です、この世に生きる者が、こうして生きようじゃないかと訴えます。惚れた映画を毎日連載します。

容疑者 室井慎次

2010-02-27 08:43:06 | Weblog
 容疑者 室井慎次 2005年 監督 君塚良一 出演 柳葉敏郎、田中麗奈、佐野史郎

 解説

 「踊る大捜査線」劇場版のスピンオフ第二弾、舞台は新宿、室井といえば、踊る大捜査線のシリーズの中でも全く笑顔を見せない正義派の硬派、この警察官僚が、部下の仕出かしたとする罪から容疑者として留置所ヘ入ることになる。

 物語

 新宿歌舞伎町である男が殺された、知らせをうけて駆け付けた交番の若い巡査が交番で犯人と知り合いであったことから事情聴取を受けている最中に居たたまれずそこから逃げ出す、その逃げる途中で車にひかれて亡くなる。
 その殺人と巡査の事故死事件は警察の不祥事として警察があやまり一件落着となるが、新宿北署の室井部長はある証拠をみつけ、捜査のやり直しを考える、しかし、上司が一度決着したものを覆す事は上司の出世の妨げになることから辞めさせるように仕組む、そして上部は室井を部下の指導を誤ったとして留置所ヘ入れてしまう。
 室井が弁護士を依頼すると新人の若い女性弁護士がやってくが、この二人が事件の真相解明に乗り出す。

 感想

 警察内部にも内部事情の談合がある、それを頑固一徹の室井が持ち前の正義感で正義を貫く、出世、お金、が目当ての検事と真実一路の室井と弁護士のお話が始まる。

 感じた度 ★☆☆

蘇る金狼

2010-02-26 08:38:48 | Weblog

 蘇る金狼  大藪晴彦原作  角川文庫  主演 松田優作

 解説

 大藪晴彦というば、やたらピストルに詳しい、従ってピストルを使ったスリラー映画が多い、これもスリラー映画で、始まったら目が離せないでそのまま終わりまで見てしまう。彼の小説あるいは映画の面白さは、ピストルの撃ち合い、人の無意味な殺し合いだけではなくて、悪党なのにその中に何か正義感がある。まあ活劇映画のたぐいはみんなそんなもんだが、悪い事をしている人間に何故か親しみを感じてしまうから不思議だ、そして結末は悪は大抵最後はくたばる。これは筋書きどうり何故面白いんだろう。

 物語

 銀行からジュラルミンケースへ詰めた金が運び出される、白装束に白バイに乗った男がケースを持った男を射殺して金を奪う、タイトルが出て「蘇る金狼」
 東和樹脂という会社へ駆け込む男大きな荷物を持っている、飯を食う社員、その中に朝倉(松田優作)という社員が居る、共立銀行の役員が来て「朝のニュースでご承知のとおり現金運搬人の強盗事件が起きまして、一億円が奪われましたが、この金は不幸中の幸い、全部番号がそろっておりまして、使用すれば直ぐにわかるようになっておりますからこの番号の紙幣を見かけた場合には連絡して下さい」という、朝倉の机の横に大きな荷物がありそれにつまずく課長、こんなもの持ち込んじゃこまるよと文句をいう課長、「国からリンゴが届きまして」と答える朝倉、中味は朝奪ったばかしの一億円とは知る人はいない。

 ボクシングジムでボクシングのトレーニングをする朝倉、彼は血友病の持病があり、マネージャーは後10キロ減量すればチャンピオン間違い無しだと言う、血友病だと鼻血が出ると止まらないので試合は危険なんだそうだ、朝倉のアパート、金を見て悔しがる朝倉、しかし、今度はヤクザの事務所を訪れて薬を売ってくれと頼むヤクザは何がほしいのか、何者なのかをピストルを突きつけて問うが、すきを突いてピストルで子分を殺す、他の子分から薬の売買を何処でやっているか聴き出す。密売は市議会議員の家でやっているどしゃべる、そいつも殺される。

 麻薬を煙草に詰め込む朝倉、今度はゴルフ練習場、下手なゴルフをやって女をナンパする、中華飯店の店の中、女と酒を飲んでいる朝倉、女の名前は永井京子女がトイレへ入っている最中に酒に麻薬をまぜる朝倉、女は正体がなくなりかかへこむようにしてホテルへ。濃厚なベットシーンのあと、女の住むマンションへ、そこへ女の旦那(パパ)が帰ってくる、逃げ出す朝倉、旦那は朝倉の会社の重役だ。

 次なる作戦は薬を奪った一億円で買う計画だ、偽名を使って市議会議員宅へ入り込む、勿論其処には活劇がある、やがてボスとの交渉で取引は成立、3時間後に取引はある島、其処へ出向く朝倉、用心棒達を狙い撃ちする活劇の後に、薬をせしめる、一億円は薬に変る。

 金が薬に変った所で話が会社の上役の話に変る、この会社は裏での商売が派手にやられており、そこを食い物にするゆすりやたかりが横行する社会現象があるがその中に朝倉も入り込んでゆく。これを全部此処へ書いてしまうと見る人が面白くないのでこの辺から面白くなるが辞めておこう。
 最後も、悪は滅びるのとおり死ぬことになるが、え!という死に方をする、それが面白い。

 感想  結末も含めて震えが来るほど面白い。

 感じた度  ★★☆
 

四日間の奇跡

2010-02-25 08:28:14 | Weblog

 四日間の奇跡 2005年6月 監督 佐々部清

         出演 吉岡秀隆 石田ゆり子、西田敏行

 解説

 監督の佐々部清は最近では「反落ち」の監督、ミステリーじみた作品が好きらしい、原作は朝倉卓也の同名のベストセラー小説の映画化。撮影地は、山口県角島。

 物語

 岩村真理子(石田ゆり子)が働く小さな島の医療センター、マリアの像からカトリック系統のセンター。
そこへ如月敬輔(吉岡秀隆)が千織を連れてピアノの慰問コンサートに来る。
 如月と千織の関係は、五年前ある発砲事件が起きた時に、そこへ出くわした如月が咄嗟に身を持って千織を暴漢の拳銃から守った時からである。

 如月はピアニストであるが、その時に左手を負傷しピア二ストとしての将来を断念した、孤児となった千織を引き取り生まれつき脳に障害のあるその少女から天才的なピアノの演奏能力を引き出していた。

 一方、そこの医療センターには、岩村真理子と言う、そこに居る患者の母親のような存在の女性が居た。
千織と真理子がセンターの近くの風見鶏のある風見塔の近くで話をして居る時に、雷が鳴り、塔が壊れて負傷した、そして治療を受けるが、ここで不可解な出来事が起こる。

 千織は軽症だったが、真理子は重症で生死は時間の問題だった。
千織がフトトイレに入った時、足から血が流れていた、不審に思った看護婦が聞くと、初潮だったようだ。
 そして、千織を介護する如月に、千織は実は私は真理子なのだと言う、いつの間にか二人が入れ替わっていた。

 感想

 どうもこの物語は架空の物語だが、あまりにも理不尽が多すぎる、大体身を持って千織をかばったと言うのにピアニストの手の怪我だけで済んだ、に始まって、千織の天才的な技能の発見も明確で無い、千織と真理子が話している時に、雲行きが悪くなって雷が落ちる前に家の中へ入るのが当たり前、なのに重症を追うほど塔が破壊されるまで何をぼやぼやしていたのだ、話している相手は身体障害者の患者だ。

 そしてまた、二人の魂が入れ替わる、そして恋心がわく、そこまで嘘ぽくなると、ふざけるなと言いたくなる。
 これは私事だが、あまり好きでない「男はつらいよ」のさくらの息子の満男のイメージの濃い”岡田秀隆”がどうも好きでない、それに出てくる女優も色気なし。小説を読んだ人は面白かったのだろうが、奇跡は百の正当性の中で万が一に起きるのが奇跡、それが奇跡の羅列では真実味に欠ける、映画は面白くない。
これが、82%の人が感動した映画とは思えない。

 感じた度 ☆☆☆

ユナイテッド・93 

2010-02-24 08:37:35 | Weblog

 ユナイテッド・93 2006年米 

         監督 グリーン・グラス 出演 コーリン・ジョンソン

 解説

 間もなくあのアメリカは勿論の事、世界中を震えさせた9・11、の日がやってくる。世界中の殆どの人が見ているあの光景、二つの大きな棟のビルから立ち昇る煙、やがて積み木のように崩れ落ちてゆくワールド・トレード・センタービル、それはたったの五年前の出来事だ。
 この映画は、9・11のテロ事件でハイジャックされた4機の飛行機の中で、唯一目標に到達することなく墜落したユナイテッド93便の物語である。
 
 事件の後、9・11の事件後の映画は既に見てきた、惨憺たる光景だった、しかし、この映画ではその後の記録映画でしかなかったが、この事件の起きる前後の、管制塔の様子などは映像としては見られなかったが、この映画では、この管制塔の記録から事件前に想定されるハイジャックの様子を再現している。

 大物俳優は出て居ないが、実際にその時に携わった管制官や本物のパイロットを起用して、震えが来るような臨場感をもって見せている。

 物語

 2001年9月11日、ニューアークの空港、何時もの喧騒に包まれている、忙しく働く乗員、出発前の点検をする係官、ユナイテッド93便の出発準備である、サンフランシスコまでは5時間半ぐらいで飛ぶ。

 →マサツセッツ州、ボストン発のアメリカン航空11便と管制官が連絡を取っている。
 出発準備が完了して、乗客が乗り込んでくる、やがてジェイソン・ダール機長の行き先案内のアナウンス、スチュワーデスが救急時の案内などを踊りを踊るように説明している、乗客は40名程である。

 →再びボストンの管制塔から、アメリカン航空11便へしきりに連絡している、コックピットがハイジャック状態の表示が出ている、ボーイング767型機。
 ユナイテッド93便、30分遅れるとの機長からのアナウンスがある。

 →ボストンの管制塔が俄かに騒ぎ出した、アメリカン航空の11便がハイジャックされたようである、軍隊を出動させるという要請がある、ボストン発、ロサンゼルス行きのアメリカン航空11便がハイジャックされた事を確認。

 軍隊のモーガン大佐が出動、空軍の指揮を取る、11便がどこへ行くのか調べろ、乗客が機内から電話で連絡、ハイジャックは明確だ、南に向かいニューヨーク方面へ、空港と連絡を取れと命令が聞こえる。
 管制塔へ、静かにしろ・・・我々は・・・等の声が聞こえる。管制塔内はパニックに陥る。

 やがてユナイテッド93は遅れてボストン空港を飛び立つ、機長が外の素晴らしい風景などを説明している。

 →パニックの管制塔、ユナイテッド175便にコール、しかし応答なし、ニューヨーク上空でレーダーから消えてしまった、・・・。
 USエアホースが攻撃態勢に入るが、スクランブル発進せよとの命令、しかし、大統領の命令無しには打ち落としてはならない、大統領は居ない、連絡も取れない、完全にパニック状態。

 管制塔から火災が起きているような煙が見える、ニュースをつけると、例のトレードセンターから黒煙が上っている様子が映し出される。
  管制塔はユナイテッド175便、飛行コースに戻れとしきりに連絡するが応答なし、そして急降下してレーダーから消える、ふたたびニュースの映像で、飛行機がビルに向い激突.。
 騒然としていた管制塔内の叫び声が、一時静寂に変わる。

 93便、機内食が配られて安心した様子のお客。機長にも食事が運ばれ、副操縦士と退職後の話など和やかに話している。

 →パニックに陥った管制塔、更にアメリカン航空77便が見えなくなた、これもハイジャックされたような動きである。
 93の機内、男が鞄を抱えてトイレへ入る、中で鞄の中から時限爆弾のようなものを身体に巻きつけている、スチュワーデスはあくびしている。

 と、突然、男がスチュワーデスに襲い掛かる、悲鳴が上る、ハイジャックである。男三人が爆弾を持って操縦室を占拠、機内は混乱する、乗客は、地上で起きている事態を携帯電話で知る、乗客もパニック。
後は見てのお楽しみ。

 感想

 事実は小説よりも生成り、この事件はこの93便が最後にどうなったかを見る観客は百も承知している、そして、これから起るだろう事の筋書きは見当が付く、だが始めから最後まで空の上の出来事であるし死ぬのが判っている物語である、にもかかわらず恐怖とスリルが付いてくる、まるで、一度見たスリラー映画をもう一度見てもスリルは同じように感じるのと同じだ。

 「恐怖の報酬」という映画があった、ニトログリセリンという一寸の衝撃で爆発する液体だ、この液体をオンボロトラックでがたぼこ道を走る、難関が幾つもある、直ぐにでも爆発しそうな恐怖感、そのスリル、あれに似た恐怖感である。

 それに、管制塔と93便の機内の様子が明確に判るので考える余地を与えない話の進め方が素晴らしい。ハイジャックの若い男が、「アラーの神よ、願わくはお恵みを、・・・」てな事を唱える、これが、テロリストのテロリストたる所以を強調している。
 最後に「この事件からアメリカのテロリストへの闘いが始まった」というテロップが流れる。
 
 感じた度 ★★★
 

郵便配達は二度ベルを鳴らす  

2010-02-23 08:51:25 | Weblog


 郵便配達は二度ベルを鳴らす  監督 ボブ・ラフィルソン
            
   出演 ジェシカ・ランゲ、 ジャック・ニコルソン、 ジョン・コリコス

 解説

 郵便配達とあるが、郵便配達人とは全く関係のない、痴情殺人事件とその後先というところの物語。ジェシカ・アルバではないが、J・ランゲさん、可也セクシー色っぽい。

 物語

 フランク(ジャック・ニコルソン)はあるガソリンスタンドの女パパダギスというギリシャ系の女性を見初める、その女性通称コーラ(ジェシカ・ランゲ)には旦那のニコ(ジョン・コリコス)が居る。しかし、ギリシャ系の夫コーラには愛想が尽きている。
 人手がほしい夫のニコは、フランクをガソリンスタンドの車の修理工として雇い入れる。
 ニコが家を開けた晩にフランクはコーラと激しいセックスをする、その時からコーラはフランクが好きになる。

 フランクはコーラとシカゴへ旦那を置いて逃げようと空港まで行くが、金が無い、コーラに金を貸せというが貸さない、フランクは已む無く持っていたチケットを払い戻して賭博場へ出かけるツキが有ってそこで可也儲ける、帰って来ると待合室にはもうコーラは居なかった。
 仕方無しに、再び家に戻るとコーラは、ニコが生きて居る限り逃げ切れない事は分かっている、いつそ殺してしまうしかないと殺しを持ちかける。
 事故を装った殺しをやるが、怪我しただけで済んでしまう。そして逆にニコとコーラの仲が深まってしまい、フランクは諦めて旅に出ようと決心するが、コーラはそれを見て行かないでくれとフランクを引止める、フランクとのセックスが堪らなく諦め切れないのだ。
 それから車でニコを殺す二人の完全犯罪がはじまる。
 犯罪は成功したかに見えたが、・・・。

 感想

 比較的作りが’60年代のスリラー映画風に作られていて、これに「死刑台のエレベーター」のような音楽が流れたら抜群なんだけど、スリルとセックスとサスペンスのスリーSが健在で中々面白い作品である。

 感じた度  ★★☆

八つ墓村

2010-02-22 09:52:04 | Weblog


 八つ墓村  横溝正史原作 角川春樹製作  1974年 2時間36分

 解説

 岡山県新見市の山奥の「八つ墓村」其処には古くから、「落武者のたたり」という言い伝えがあり、村人が次々殺される奇怪な出来事が絶えない。それは1566年永禄9年の事、この村に8人の落武者が逃げ込んできた、その小さな谷間の村では落武者に殺されるんじゃないかと言うのが心配の種であった。

 しかし、落ち武者達は、木を切り畑を開いて其処に住み着くようになって、住民と仲良くなれる状況に村人もホッとしたが、やがて、その落武者をかくまったり内緒にしていると村人に大きな罪がかかるとのおふれが出た、村人は策略をこらして、その落ち武者を祭りに招待して毒薬を飲ませて殺してしまう
そしてこの功労として多治見家はそのあたりの山林を褒章として貰う。

 財を得た多治見家は、この時からその財産争いが絶えず、また村には大量の殺人が絶えない、そこで金田一耕助私立探偵の仕事が始まる。

 物語

 寺田辰弥は幼い頃母に死に別れたが、その家で高校を卒業するまで育てられ、現在は飛行場で飛行機の誘導等をする航空機整備会社の整備士として働いている。ある日、祖父にあたる丑松が尋ねて来て、多治見家の相続の問題を相談に来るが、祖父の顔を見ただけで死んでしまう、毒薬による死亡であった。親戚の森美也子が尋ねて来て、祖父の葬式などで八つ墓村を訪ねる。

 寺田がその村へ入るや次々に奇怪な殺人が起きる、村人は達也がその犯人、たたりの犯人であると思い込む。が本人の計り知れないところで事件が起こるので事件解明に動き出す。
 その村の下には大きな鍾乳洞の洞窟が無数にあり、そこに色々な物が隠されている、この奇怪な事件は、え!と思うような方向に進展する。

 感想

 名探偵金田一恭介のドラマはこの映画から生まれ、たたりじゃ!の言葉もここから生まれた。一度は覗いてみたい映画だろう。

 感じた度  ★★☆
 

野生の証明

2010-02-20 08:47:53 | Weblog

 野生の証明  1978年  森村誠一

 解説

 「人間の証明」でデビューした森村誠一が今度はこの作品を書いた、これは余談だが、彼は作家として世に出る前はホテルマンだったそうだ、ホテルマンというのは、他人にサービスをする事をなりわいとしている、だから、人を一目見て「この人はどういう人か」という判断を下す目を養う習性がある。彼の作品には、こういった人の持っている、その人でも気が付かないような性格を見抜いて、それが、他の人に及ぼす影響を考えながら作品を作る事に卓越しているように思う。

 これがこの作品には、予知能力まで出来る女の子を登場させて、その神秘性をより強く押し出している所が特徴的である。

 話は、自衛隊の中の丸秘部分として、特別に訓練された、特殊部隊というのがあり、これは市民には計り知れない所で訓練されている、其処での訓練は、かなりゲリラ戦を想定したもので、浅間山荘での人質監禁事件のような思想がらみの反政府的な事件にはいち早く出撃して対応する部隊である、此処では正常な意識の持ち主では勤められない、性格まで変えてしまう訓練をする、普段では目に見えない部分での物語りだが、考えれば現実としてありうる事柄なので面白い。

 物語

 自衛隊の特殊部隊の訓練、裏磐梯・フーバー米大使山荘に立てこもる反政治活動の過激派、其処へ乗り込み人質を解放する、此処での活躍は自衛隊の特殊な訓練を受けたレインジャー部隊がその処理にあたった、その訓練は、広大な原野に3日分ほどの食料を持ってヘリで降下してその生命力を養うという訓練をした特殊な人間達で、その特殊工作隊員は人間である事の限界を超えた能力を要求される、人たちだった。
 その中に、優秀な隊員の味沢岳史(高倉健)がいた。

 ・・・東北・羽代市、12名が斧のような凶器で殺される事件が起きる、富戸の住人は13人、まだ不明な人が一人居る筈だ、納屋に潜んでいる少女が発見される長井より子である、恐怖のあまり記憶喪失になっている、「青い服を着た男がここへ連れてきた」言う他はなにも記憶が無い。

 それから一年が経過した。この町は大場総業という企業がすべての産業にかかわっている、民間航空機就航記念式典が行われている、其処には自衛隊の県の幹部や、大場総業の社長等が出籍して、テープカットは大場総業の会長だ。
・・・崖下の湖から引き上げられる赤い乗用車、乗用車の中から、羽代新報の新聞記者の立川誠33歳の死体が出てくる。

・・・羽代警察署、運転していたのは地元のホステス伊崎あけみ29歳、事故の原因は酒気帯びか居眠り運転であると地元の警察の調べ、新聞社の社員は事故死に疑問を抱く。味沢岳史がいる、福島県羽代市にある生命保険会社の社員である、伊崎あけみの死亡を確認したいという。

 事故の有ったおいらん淵は自殺と事故の多い所、一度落ちたら死体は上がらないのが当たり前と警察、保険に入って10日もしないうちに死亡する、保険金が六千万円かけてあった、保険会社では事故に見せかけた保険金欲しさの殺人だと判断する、死因を調べる味沢、どうやら大場組付きの暴力団が絡んでいる様子。

 ・・・暴走族に追いかけられる女が居る、羽代日報の越智智子だ、それを助ける味沢、次の日越智智子が味沢の入っている病院へ面会に行くと、其処には記憶喪失だった長井より子がいた、より子は予知能力があり、病室のドアの向うに羽代警察の刑事がいる事を察知する。越智智子は、富戸殺人事件で殺された登山客の女越智美佐子の妹だった。警察は味沢が只者じゃないとにらむ。

 ・・・陸上自衛隊奥羽総監部ー仙台、岩手県の刑事が味沢の事を調査に来たという、名前は岩手県宮野警察捜査課刑事北野隆正である、調べに来たのは味沢が除隊した理由である、自衛隊としては味沢の殺人事件を暴露されたら大変な事になるので、即刻消せという命令が下る。

 ・・・味沢は保険金支払いの対象となっている伊崎あけみの死因を一人で調査している、引き上げられた車から何か手がかりは無いかと密かに調べる、其処へ越智智子が現れる、この町は大場総業で持っている町、おいらん淵で上がった死体の羽代日報の立川記者は大場一味の中土建設の不正を暴こうとして彼等に事故に見せかけて殺されたという。

・・・保険金の受け取り人の伊崎のいる暴力団事務所、引き上げた車から、湖底に死んでいる筈のホステス伊崎あけみはどうやら中土建設が工事中の堤防の下に埋まっているらしい事が解る。

 ・・・羽代警察、富戸の殺人犯人が判明したので捜査本部は解散したという、犯人は長井より子の親父で、風土病の病気で気が触れて殺人を犯したという事になる、しかし、その長井より子の親父を殺した奴が居るはず、それは味沢じゃないかと睨む北野隆正。特殊部隊の隊員が民間人を殺したということが世に知れたら大変な事になる、と疑問を抱く北野、口を挟むなという警察幹部。

 自衛隊の裏工作と、地元警察、大場組の裏工作と、どちらからも狙われる味沢、ある日より子と町を歩いていると、より子はあのトラックが殺そうとしていると危険予知を察し大声を出すが、トラックは本当に突っ込んでくる咄嗟に避ける味沢、どうやら身の危険を感じる。それを見ていた北野隆正はそのトラックの事務所へ行き保険金の受取人である伊崎を殺人未遂で逮捕する。

 ・・・羽代日報社、北野と越智智子が話している、より子が味沢をお父さんとよぶ事が解らないとそれをつきとめている北野、越智智子はまた両親を大場組においらん淵で殺されている、その敵討ちで車と共に殺された立川と同じ新聞社で不正をあばく事をしていたことがわかる。裏工作は越智智子まで及んで、ついには越智智子も殺される。

 事件は事件を生み、不正は味沢と北野とで明らかにされて行くが、それに連れて追い詰められて行くのはその不正を暴こうとする人間達である。
ついに自衛隊の特殊部隊の演習をやっている山の中へ味沢、北野、より子は追い込まれ、自衛隊の特殊部隊の演習をしている隊員に殺される。
 不正はあからさまにはなるが、正義の味方はすべて権力により抹殺されてゆく。
 
 感想

 森村の小説は複雑な人間の関係を良くもまこれまでというほど細かく描写する、よく見ていないと話がわからなくなってくる、それだけ堀が深いのだろう、登場する人物も多い。見終わった後にズッシリとした物語の重みが残る、人間の証明もそうだった。

 感じた度 ★★☆
 

模倣犯

2010-02-19 09:09:43 | Weblog


 [模倣犯」  2003年 仲居正弘 山崎 務

 解説

 犯罪、特に人殺しをする犯罪には、衝動的に人を殺す場合が多い、高倉健の映画などの場合にはたいてい正当防衛で殺して網走刑務所というのがデフォルトになっている、しかしこのドラマは、殺すことが、完全犯罪でゲームのように人を殺す事が面白いという事件がショッキングなニュースとなって社会を騒がせている、殺す相手は無差別で、誰でも良く、その理由も何も無く恐ろしい犯罪である。

 なぜそんな犯罪が起きるのか、其処にメスを入れた鋭い映画である。
 推理映画ゆえに物語は述べないことにしよう、だが、この社会現象はどうして起きる?かの結論はここで述べなくてはならないだろう。

 感想

 人はみんな自分の能力の限り精一杯生きている、もっと幸せになりたい、金は欲しい、愛されたい。人間の欲望は誰にも限りなく存在する。しかし、人は皆それを抑えながら人に迷惑をかけない様人生をそれなりに楽しんで生きている。そんな普通の人を殺す、人をパソコンのゲームの様に殺す、人がビックリするような犯罪をやって社会を驚かす、そんなことが面白いと言って人を殺す、そんな事をして面白いのだろうか。

 そんな事をして面白がっている奴が居ること自体が社会問題なのだが、そんな事をした犯人は、犯罪を犯すまでに、大人になるまでの間に、育ってきた環境の中で、そういうことを教える大人が居なかった事だ、人を愛したり、大事に思う心を教える大人が居なかった事だ。
 これを誰がどのように言うかはここでは書かない。

 感じた度  ★★☆

めまい

2010-02-18 08:22:03 | Weblog


 めまい1958年監督 ヒチコック 出演 ジェームススチュアート、キム・ノバーク

 解説

 ジェームス・Sとキム・ノバークのヒチコック物、そんなのあり?って思ったらやっぱ在ったのだ。
捜してみる物である、推理といえばヒチコック、やはり昔の推理映画は面白い、この映画はヒチコックの中でもめまいがするぐらい優れものだろう。
 たまにはヒチコック良いもんだ。

 物語

 ジョ二ー・ファーガソン・スコッテイエ通称ジョーは、刑事をやっていたが、高度恐怖症で、犯人を追いかけていて、仲間の刑事に迷惑を掛けて殺してしまった、殺したといっても故意ではなく助けようとして手を伸ばして来て自らが落ちてしまった事故である。
 この事で刑事を辞めブラブラしていると、サンフフランシスコの町に旧友のエルスターが戻ってきたので一度会いたいと電話が来る。

 久しぶりに会うが、そこで、自分の妻がどうも精神的に不安定で自殺するんじゃないかと思うんだ、、一つ知れないようにガードマンをやって見張っていてくれないか、という。
 その女性にレストランで会うが、バルデス・エルスターと名乗った。
 そっとバルデスの後を追うが、教会からお墓参り、カロロック・バロスという人のお墓におまいりする、美術館では、カルロッタの肖像を見る、次は、マッキトリックホテルの部屋を借りていてそこに二週間滞在しているという。

 有る時、見張って居ると、彼女はサンフランシスコ湾に身投げする、そしてジョーは思わず助ける「助けてくれて有り難う」と言われる、自殺しようとしたとは言わないのだ、その瞬間は記憶が曖昧で覚えが無い、眩暈がして落ちたというのだ。

 どうも体の調子が悪いと彼女はいう、ジョーは手厚く看護して温かいものを飲ませたりしているうちにこの女性がいとおしくなってきて、今度ドライブに出かけようという、そこでドライブに出かけるが再び死のうとする、精神的に追われながら、長い廊下を歩くような感じがして精神が安定しない、というのである、俺が愛して、不安を解消してやるとジョーは彼女に言い聞かせる。そして熱いキスを交わす。もう自殺など考えないだろうとジョーは思った。

 ジョーはますますその女性に惚れて、今度は少し遠くへドライブしようと出かける、やがて着いた所は、人気の無い教会だった、その教会には高い鐘撞きの塔があり、それを見た瞬間彼女は塔目掛けて走り出した、不安になったジョーは後を追う、すると高所恐怖症なので彼女に追いつかないでいると、悲鳴が聞こえて彼女が塔から落ちていくのが見えた。

 それから、裁判になりジョーの正当性は認められる、そして友達のエルスターに申し訳ない事をした、迷惑だったろうといわれる、しかし、ジョーは彼女の死が信じられない。
 そして自分が眩暈がして、彼女と同じような症状になって行く。

 感想

 なる程ね、とため息が出るぐらい話が上手く出来ている、だから面白いのだが、それをこの二人がカラー映像で見られるんだから最高だ。

 感じた度  ★★☆
 

蟲師

2010-02-17 08:31:00 | Weblog
 蟲師 2007年 原作 漆原由紀 監督 大友克弘、

             出演 オダギリジョー、蒼井優、江角マキコ

 解説

 漆原由紀原作のコミックを「AKIRA]「スチーム・ボーイ」の漫画の鬼才大友克弘が実写映画として製作した。
 大友は実写と言うことで現存されている本物の古い風景を映し出し、CGをもふんだんに使ったホラー映画である。

 物語

 昔、医者の居ない地方では、奇妙な病気はすべて悪い霊に取り付かれているなどといわれて祈祷師がその霊を払う等をするのが例だった。
 しかし地方によっては、耳が聞こえなくなったり、額に角が生えたりする奇妙な現象が起きると、それは悪い虫に取り付かれたからだと、「悪い蟲」の仕業だと噂して、それを取り払う「蟲師」という行者がいた。
 その蟲師のギンコは筆で書いた文字で蟲を封じるという足の悪い美しい娘、淡幽に出会うために長い旅を続けていた。
 しかし、どうした事かギンコ自身が未だ見たことの無い蟲に侵されてしまう。

 感想

 ホラー映画はあまり見ないが、日本の昔の話と言うことで開いてみたが、どうもホラー映画というのは、法螺が多い、つまり、日常ではありえない事が起こりえて、理屈に合わないことが起こり、その非日常的な事が解き明かされないままに終わる、単に怪奇そのものだけを見せ付けているだけの作品なので見ないのだ、この作品もそのものずばりで自分には面白いとはいえない。
 映画の作りとしては神秘的な物があり見せ場はあるが、蟲に例えるものが何なのか解らないままに終わる所が残念である。
 何故って、一寸の虫にも五分の魂があるというとことわざが有るじゃないか。

 感じた度 ★☆☆