経営、絵画、臨床心理学、法律、囲碁、文学、映画。
「元首政」時代のローマ帝国は、皇帝、元老院議員、騎士階級(官僚や経済人)、平民、解放奴隷、奴隷と分かれた、階級社会であった。それでいて、職業選択の自由と居住地移動の自由は、完全に保証されていたのである。だからこそ、階級間の流動性が機能していたのだ。それによって、成熟した社会に起こりがちな動脈硬化現象も阻止されてきたのだし、何よりもまず、社会にとっての「新しい血」としてもよい。新しい人材の発掘とその活用に効果あったのだった。それがまず、ミリタリーとシビリアンのキャリアの完全分離で崩れた。そしてさらに職業選択の自由が失われ、居住地を変える自由までが失われたのである。研究者の一人は、現代ならば社会主義国家だ、とさえ言っている。