3月8日(日)風も無く穏やかで春を感じさせるようなお天気の中、「冬だけ会えるキタゴヨウの巨木へ」を開催しました。
本来であれば、結氷した大沼の上を横断してキタゴヨウの巨木へ会いに行くはずでしたが、暖冬の今シーズンは沼の氷の状態が不安定なため、大雪原と化した大沼湿原を通ってキタゴヨウの下へと向かいます。
先ずは、いつものように開会式と準備運動。
スノーシューを装着して出発です。
湿原に下りて横一列に。
人の踏み跡の無い、真っ新な雪原へと足を踏み入れます。
綺麗な雪面に踏み跡をつけるのは少し勿体ないという感情も湧いてきますが、誰も歩いていない場所を歩くのは気持ちが良いもの、参加者の皆さんも自然と笑顔になります。
白い雪原に映し出された自分の影を追うように進みます。
一人影踏み鬼ってところかな?
おや?
もう転んじゃってるーっ!
大丈夫かな?
スノーシューが初めてのお姉さんは楽しそうです。
テンとキツネの交差点。
私たちが歩く前に、雪の上に足跡を残した者たちがいました。
昭和のテレビドラマでは、交差点で何かが起こりがち。
例えば、普通じゃ考えられないような男女の出会いとか、別れとか・・・
この二人には、どんなドラマがあったのでしょう。
いや、何もドラマチックな展開はなかったと思う。
ただ、足跡が交差しているだけだもの。
振り返った形跡もないし・・・
キラキラ輝く雪面に、木々の影が伸びています。
沼の畔へ。
この場所は小川が流れ込んでいるために結氷することはありません。
波一つない水面に、もっちりとして見える雪と青空が映し出されています。
そっと近くに寄ると、大きなものから小さなものまで、沢山の鯉の姿が見られました。
明るく、水の温んでいる場所へと集まっているようです。
沼尻では、薄い氷の上をテンが歩いた跡が残されていました。
私たちは大沼の上を渡れませんでしたが、身の軽い動物たちは平気みたいですね。
テンとウサギの交差点。
こちらでは、テンが少し忙しく動き回っていたようですが・・・
少し林の中に入ると、ミズナラの木にクマ棚が掛かっていました。
クマは季節雇用なので今は失業保険を貰ってお休みしていますが、4月から勤務が始まります。
ウソです。
でも、4月の半ばを過ぎる頃にはクマたちが活動を始めます。
ここはクマの生息地ということを思い出させてくれます。
ホオノキの冬芽も成長が少し早いようです。
これも暖冬の影響でしょうか・・・
オオシラビソの幹に、古いものですがクマの爪痕が残されていました。
いよいよ、日本で二番目のキタゴヨウの巨木に到着です。
一際大きな姿はビジターセンターからも見えるのですが、夏場は藪の中なので雪のある時期にしか会いに来ることは出来ません。
そして、これをやってみたくなる。
太ーいっ。
大きくて立派。
す・て・き❤
女性陣に抱き着かれて少々顔を赤らめるキタゴヨウ・・・
いや、赤くなったらゴヨウマツじゃなくアカマツじゃん!
って、どこが顔⁇
日本で二番目といいながら、とても魅力的なキタゴヨウです。
雪の上に何者かの足跡。
アオシシの足跡でした。
「アオシシ」とは「ニホンカモシカ」のこと、灰色の冬毛が少し青っぽく見えることもあり、更に首から胸のあたりのふわふわの体毛が獅子のたてがみのようにも見えるということから、そう呼ばれるようになったそうです。
ニホンカモシカは天然記念物に指定されていますが、昔は肉を食べ毛皮を利用するために狩られていました。
数が減り天然記念物に指定された後も、隠れて猟をして食べる人がいたそうで、そういった人たちがカモシカとは言えないので、「アオシシ」「アオ」「シシ」と隠語として使ったそうです。
今は知る人も少なくなった言葉です。
澄川温泉跡展望地の眺め。
過去に大規模な地滑りによって澄川温泉と赤川温泉が流されてしまいました。
この時期は雪で見えませんが、一度は裸地化した土地が大規模な植林作業を経て森にかえろうとしています。
ブナとオオシラビソの混交林を進み、次の展望ポイントへ向かいます。
展望ポイントに到着。
眼下に広がるブナ林の向こうに鹿角盆地が望めます。
更には、青空の中に白く浮かび上がる八甲田連峰まで確認することが出来ました。
そんな景色に魅了される方々。
美しい景色を眺めながらのコーヒータイムは格別です。
一息入れた後は、お楽しみの尻すべり!
やはり雪の中では、これをやらないと。
大人も楽しめる、雪と戯れる一番の方法だと思います。
良い笑顔です。
が、下れば登らないといけないもので・・・
頑張って。
先行していた班によると、木の根元に穴を掘って休んでいたウサギが、私たちの気配に気付いて飛び出していったそうです。
見たかったなぁ~。
枯れたブナにツタウルシが絡んでいます。
ブナの先端が朽ち落ちてしまった為、先の方がぶら下がった状態です。
近づいて下から見てみると、枝張りも見事なツタウルシ。
何本もの太い幹が絡み合うようにしながらブナをよじ登っています。
まるで「ジャックと豆の木」の豆の木みたいです。
見た事ないけどね。
見たことないので、こいつは「ジャクッと豆の木」としました。
いや、豆の木じゃないし!
ツタウルシだし‼
ちなみに「ジャクッと」とは、「ザクッと」とか「沢山」とか、そんな感じの言葉です。
小さな雪まくり。
ロールケーキ状になった雪も綺麗ですが、雪が転がった跡もなんだか可愛らしい自然のアートです。
雪のブナ林を歩くのも、もう少し。
間もなくゴールです。
赤いカエデの枝先が色合いの少ない雪のブナ林の中で目立ちます。
ヤドリギの実も鳥たちに食べられて、だいぶ少なくなりました。
ヤドリギの下でキスをすると・・・
なんか良い・・・ らしいです。
木々の向こうに大沼を見下ろします。
最後の尻すべり。
希に、たまに、時々、しょっちゅう、よく、多々スベルことのある、くどーさんの解説よりも斜面を軽快に滑ります。
スベッているのか・・・
あまりに滑り過ぎてジャンプ!
ズサーッ‼
勢い良すぎですー。
さ、落ち着いたところでゴールへ向かいましょう。
お疲れ様でした。
今回は、残念ながら大沼を横断することは出来ませんでしたが、これ以上ないという程のお天気に恵まれたイベントになりました。
様々な動物たちの足跡を観察できたり、冬のブナ林の様子も味わって貰えたのではないかと思っています。
そしてキタゴヨウ。
普段は、ビジターセンターからも見えるのですが、何気なく目にしている景色の中に「日本で二番目に太いキタゴヨウマツ」という、そんな巨木があるのも周辺の自然環境の豊かさの証ではないでしょうか。
雪のある時期にしか会いに行けない特別な存在、八幡平の長い歴史を見続けてきた物言わぬ重鎮です。
くどう
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