憲法改正論議…私見

昨日の続きです。

私は、９条についての改憲派の主張には反対。というのは、改憲派の議論は現実離れした机上の話なんですね。戦力の保有を明記すべきだ、という主張は、当然に我が国が戦渦に巻き込まれることを前提としています。でも、考えてみてください。第三次世界大戦の現実味って、果たしてあるのでしょうか？…皆無だと思います。だって、ボーダレスエコノミー社会と言われ、世界が経済的に密接に結合している中で、それを絶つ先進国があるでしょうか？経済的打撃が大きすぎ、とてもそんなことはできません。世界大戦はもう起こりえない。とすると、我が国に対して攻撃をする可能性があるとしたら、これもかなり小さな確立ですが、アジアで唯一「悪の枢軸」とブッシュ大統領に名指しされた国くらいでしょうか。もしそうなったら…？日米安保から日米共同宣言まで続く同盟関係を根拠に、米軍が集団的自衛権することになり、事態は容易に鎮圧されるでしょう（これはイラク戦争を見ても明らか。力の差は大きい）。そうすると、改憲派の最後の論拠となる、「有事の際に我が国も軍事的協力が可能になるようにするため」というのはどうでしょう？…、日本が軍事的協力をするかしないかで、結果が変わることはないでしょうね。どこの国がおかしな行動を取ったとしても、結局のところ、アメリカ軍だけで事態を収拾することが可能だと思われますので、日本が参加するかしないかは、単なる「体裁」の話。ならば、唯一の被爆国として、「世界平和の砦」たらんために、我が国はやはり「戦力不保持」「戦争放棄」「交戦権否認」の立場を貫くべきだと私は思います。ですから、９条改正には反対。

もっとも、時代の変化とともに保障が必要となった「新しい人権」は憲法に明確に書き込むべきです。だって、今は電話番号一つ知れるだけで大きな被害になりうる（オレオレ詐欺とかね）。

以上が、私の意見。一言で言うと、９条は変えるべきではないが、その他で修正が必要な部分は修正すべき。こういう考え方を、「護憲的改憲論」と言います。

高校３年生の皆さんが選挙権を持つのは３年後。国民投票法案が可決・成立したので、もしかしたら、初めての投票が、憲法改正の国民投票になるかもしれない…。大学の先生としても、その可能性のある皆さんが、憲法についてどのような意見を持っているかは興味があるところだと思いますので、今年の小論の大きなヤマの一つと言えます。これをきっかけに、ちょっと考えてみては？