はんたろうのがらくた工房

えーと、えーと…。

コント「ガイジン」

2016-12-31 10:59:48 | 嘘部(うそべ)
「それじゃ、エミリさん、よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いしまあす」
「では、びっくりした顔で決め台詞からいきましょうか、『オー、 ホントスゴイネー、ハツシバ!』はいっ!」
「『おー、ほんと凄いねー、初芝!』」
「あのー」
「はい?」
「日本語ですね」
「日本語ですが?」
「ガイジンっぽくお願いできますか」
「えと、ご覧のとおり、いちおガイジンなんですが」
「んー、そうですね、ルックスは申し分ないんですが、もっとこう、口調をね、ガイジンっぽく」
「小1から日本に住んでるんで、フツーに日本語できますけど」
「いや、フツーじゃないほうがいいんですよ」
「はあ」
「そうだなあ、あっ、例えばですよ、お母様は日本語は」
「まあ、そんな流暢じゃないですね」
「それだ」
「え」
「お母さまが話されるみたいに、読んでみてもらえますか」
「母みたいに、ですか」
「ええ、それで」
「わかりました。えーと…」
「はいどうぞ!」
「『オゥ、オントゥ、スゴイネェ、アッツシバ♪』」
「あの、すみません」
「はい」
「なんか違うなー」
「母だとこんな感じですが」
「フランソワーズ・モレシャンさんみたいですが」
「ええ、フランス人なので」
「うーん」
「ガイジンっぽいでしょ」
「まあガイジンっちゃガイジンですけど」
「違いますか」
「うーん、あ、そうだ、たしかお父様も日本の方じゃなかったですよね」
「ええ、違います」
「じゃあ、ちょっとお父様みたいに読んでいただけますか」
「わかりました。えーと…『オオウ、ホンットスゴイネイ、ハツシヴァア」
「あのー」
「はい」
「お父様って、なに人でしたっけ」
「ロシア人です」
「そっかあ…」
「また違いますか」
「ああ、そうだ、アメリカだ、すみませんエミリさん、アメリカにお知り合いとかは」
「うーん、そういえばたしか従妹の義理の父親が米軍に」
「それだ!」
「でもあんまり話とかしたことないんですが」
「大丈夫大丈夫、アメリカなら大丈夫なんで」
「そういうもんですか」
「えーと、そのなんだっけ、従妹さんの義理のお父さん?…の口調を、よーく思い出して」
「やってみます」
「お願いします」
「『オー、ホンド、チュゴイネ、ハチュシパ』」
「え?」
「ふー、たぶんうまく真似たと思います」
「えーと、従妹さんの義理のお父さんって、米軍なんじゃ…」
「在韓米軍です。クンサン基地だったかな」
「困ったなあ」
「どんなのがお望みなんですか」
「仕方ない、ボクがちょっとやってみますね、『オー、 ホントスゴーイネー、ハツシーバ!』」
「アメリカ人だとそんな感じなんですか」
「ええ、たぶん…というか、日本人はもう、ガイジンの喋り方はそういうものだと刷り込まれちゃってるんですよ」
「わかりました!じゃ私、がんばって監督さんのその口調真似しますっ」
「頼みます」
「すみませんもう1回いいですか」
「『オー、 ホントスゴーイネー、ハツシーバ!』」
「『オー、 ホントスゴーイネー、ハツシーバ!』」

最新の画像もっと見る

コメントを投稿