
『プリテンダー』(The Pretender)
こんにちは、半次郎です。
今回は、ジャクソン・ブラウンの1976年に発表された4枚目のアルバム、『プリテンダー』をご紹介します。
このアルバムは、全米5位にチャート・インしたアルバムで、半次郎がリアルタイムで聴いていたアルバムです。
ジャクソン・ブラウンは前作まで、1年に1枚のペースでアルバムを発表していましたが、このアルバムは前作から約2年ブランクが空いてしまいました。
と言うのも、レコーディング完成間際に、奥さんのフィリスさんが自殺してしまったのです。
最愛の妻を亡くし、悲しみに暮れてアルバムの完成が遅れたのでした。
そのせいか、全体的に暗く重い作品が多いように思います。
でも、それがこのアルバムに深さと言うか味わいを加える結果になりました。
半次郎、このアルバムで初めてジャクソン・ブラウンを知ったのですが、悲しみの中から力強く這い上がってくるような曲調や歌い方を感じて、いっぺんにジャクソン・ブラウンの世界に引き込まれてしまいました。
それからというもの、来る日も来る日もジャクソン・ブラウンを聴いて、すっかり虜になりました。
半次郎のジャクソン・ブラウン好きは、ここから始まったのです。
そんな、半次郎にとっても重要な意味を持つアルバムです。
そうそう、このアルバムからプロデューサーがジョン・ランドーに代わりました。
ご存知、ブルース・スプリングスティーンのサード・アルバム『明日なき暴走(Born to Run)』のプロデュースをした方で、後にブルースのマネージャーにもなった方です。
この音作りは、ジョン・ランドーの趣味なのかも知れませんね。
それでは、曲目について簡単にご紹介しましょう。
1曲目「ヒューズ」はイントロの響きからして、暗く陰鬱な感じで始まりますが、続くジャクソンの歌声も暗く重いもので、これは多分に事故の影響を引きずっているかのような印象を受けます。
2曲目の「ユア・ブライト・ベイビー・ブルース」が、前曲の重たい余韻を和らげてくれます。
このスライド・ギターはローウェル・ジョージです。
デヴィッド・リンドレーとは違って、軽やかで爽やかですね。
半次郎のお気に入りの曲です。
3曲目の「リンダ・パロマ」はハープが印象的なメキシコを思わせる曲調で、タイトルからしてリンダ・ロンシュタットを歌ったものだと想像させる曲です。
リンダは自身のアルバムでジャクソンの曲を取り上げていますし、同じアサイラム・レコードのファミリーですから、ドロドロした関係ではなく微笑ましい関係に違いないと思っています。
真実は分かりませんが、深く詮索しないでおきましょう。
4曲目は、LPレコードのA面最後の曲ですが、オルガンとコーラスが印象的な「あふれでる涙」です。
そのコーラスは、ボニー・レイットとローズマリー・バトラーです。
亡くなった奥さんを歌ったかのような歌ですが、よくよく歌詞を読むと、恋人から友だちに変わってしまった彼女との歌のようです。
5曲目の「我が子よ」は、デヴィッド・リンドレーのフィドルが印象的な佳品です。
コーラスにドン・ヘンリーとJ・D・サウザーが参加しています。
6曲目の「愚かなる父の歌」は、心の奥に染み入るメロディで、切々と歌うジャクソンの声質と良く合っています。
曲の後半はホーンセクションが入って、デヴィッド・リンドレーのスライド・ギターとが絡み合って、盛り上がりを見せます。
7曲目の「暗涙」は、「この人生が僕を何処へ導くのか」を考え苦悩する男の歌で、まるで自分の現在(その当時)の姿を歌ったような曲です。
尤も、内省的な歌詞はジャクソンの得意とするところで、その感性に惹かれているファンも多いのですが・・・。
ストリングスが入るのも、この曲にマッチしています。
最後の曲は、アルバムタイトルの「プリテンダー」です。
人はだれでも「ふりをして」生きている部分がありますが、それでも生きていかなければならず、そんな僕のために祈って欲しいと歌っています。
それでも、彼の力強い歌声に救われる思いがする、そんな歌です。トリに相応しい、正に名曲ですね。
このアルバムは、どの曲も名曲ですので、ぜひ、聴いてみて下さい。
曲目リスト
- ヒューズ - The Fuse
- ユア・ブライト・ベイビー・ブルース - Your Bright Baby Blues
- リンダ・パロマ - Linda Paloma
- あふれでる涙 - Here Come Those Tears Again
- 我が子よ - The Only Child
- 愚かなる父の歌 - Daddy's Tune
- 暗涙 - Sleep's Dark and Silent Gate
- プリテンダー - The Pretender
From 半次郎
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