半次郎の“だんごんがん”

要するに、居酒屋での会話ですね。
ただし、半次郎風のフレーバーがかかっています。
≪安心ブログ≫

富士山は日本人のゴミ箱か?

2006年04月04日 12時33分56秒 | ★ 落語(・・・のようなもの含む) ★
こんにちは、半次郎です。
今日もさわやかな春の陽射しを感じる一日ですね。

今日は、日本の象徴“富士山”のゴミ問題について語ってもらおうと思います。
おなじみ半次郎と源七の二人です。
どうぞ。

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「おう、半次郎さん、いるかい?」
「ん? いるよ。開いてるから入って来てくれ。おぉ、源七さんじゃないか。どうしたィ。」
「いやね、この間、息子に日本一の山を見せようと思って、富士山に行って来たんだよ。良いものを見せておくと、“心の栄養”になるって言うからね。」
「うん、そうだ。そりゃあいいことしたね。たかちゃん、喜んだろう?」
「う~ん、そうじゃぁねェんだよ。ガッカリだ。」
「なんだよ、ガッカリって?」
「遠くから眺めてみるとキレイな山なんだが、近くで見るとどうにも締まらない。」
「おいおい、そりゃあ近くに行けば凸凹もあるだろうさ。でも、神が棲みついてるってェじゃねえか、そういう神秘さはあるだろう?」
「そうだねェ、姿形をどうこう言うつもりはないんだ。神が棲んでいたのは昔のことだろうなぁ。今はもう、他の山に引越してってるんじゃねかなぁ、あれじゃあ。」
「なんだい、あれって?」
「いやね、ゴミが凄いんだよ、ゴミが!」
「そりゃあ、あれだけ沢山の人が行くんだからゴミも沢山出るだろう。」
「いや、ゴミがちゃんとゴミ箱に入ってりゃあ俺も何にも言わねェ!」
「と言うと、あふれてるのか?」
「そうじゃねェんだよ。道の脇や木々の間に捨ててあるんだよ! それも、至る所にだ。」
「えぇッ? 心無い野郎がいるもんだねェ。」
「空き缶、ペットボトル、紙くず・・・。電気製品や車まで捨ててあるんだぜ。」
「なんだいそりゃ。」
「俺はもう息子になんにも言えなくなったよ。折角行ったのにガッカリだ。」
「お前のこった、腹が立ったろう?」
「それを通り越して、情けなくなったョ。日本人が富士山にゴミを捨てられるかい?」
「そうだよなぁ。富士山だけは特別だからなぁ。親父も爺さんもそのまた爺さんも、ずっと拝んできた山だぜェ。裏山とは違うんだ。」
「お前もそう思うだろ? 情けないねェ本当に。日本人はどうなったんだい。」
「今はな、日本人は俺たちふた~りだけになったんだよ。」
「止せよ、他にも沢山いるぜ。・・・そう思いてェや。」
「いや、今の日本には日本人はいねェ。ジャパニーズだけだ。」
「そうだ、日本人は髪は黒と決まってるんだ!」
「だろう? こないだなんか、フランス娘かと思って前に回って顔を見て笑っちゃった。典型的な日本人だ。」
「ぷぅ。まぁ、外見はどう変わってもしょうがねェが、心だけは、日本人の心だけは失くしてほしくないねェ。」
「全くだなぁ。どうでェ、これから呑みに行くか?」
「まだ日が高ェや、ひと仕事してまた来らぁ。さいなら。」

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鴬も、去り時をしる、日暮れかな
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