参加者は7人。久しぶりのフルメンバーです。
皆さん10年〜15年ぶりくらいに桐野夏生を読むという方が多くて、考えてみると私もそうでした。「OUT」とか「残虐記」以来かな。
共通した感想としては概ね「面白かった。桐野夏生はやっぱりうまい」ってことですね。
その中で「お金のない身の追い込まれ方、選択肢のなさ」がキツかったという人や、「もっとリキに寄り添った書き方があったのでは」という人など、色んな意見が出て興味ぶかいことでした。
以下は、まいど勝手ながら備忘録です。すみませんが端折ったりで口調を変えたりしています。
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●きなさん
登場人物の誰一人にも共感できないまま、言いたいことがもやもや溜まりすぎて読むのも苦しくなってしまう。それでも読まされるのは作者の術中にはまっちゃってるんだろうなと。
もし本当にこういう人たちがいるとしたら、こんなにクリアに自分の心情を話すだけの語彙力や能力はないだろうと思う。ほとんど桐野さんの声でしか聞こえてこない。そこがちょっと残念でもあり、そうでなければ読み通せなかったかもしれない。
最後の終わらせ方にもいろいろ言いたいことはあるけれど、一つ言いたいのは、リキの子供は北海道の両親にとっては孫になる。でも、作中でリキはもちろん誰からもその事実を告げられない。そこが意図的だとしてもすごく引っかかった。
結局人間って文明が便利になると逆にどんどん不便なことも増えてきて、でもこうやってぶつかりながらぐじゃぐじゃだらだら生きていくのかなと思う。
そういうふうにでも思わないと子どもたちの将来がちょっと心配すぎる。まあこうやっていくんだろうなというのが結論です。
●スウ
前回の「野生の棕櫚」がすごく読みづらかったのに対して、これが困惑するくらい読みやすすぎた。逆にちょっと文章が物足りないくらい。でももちろん面白くて深夜まで読んで、ぼーっとした頭でもちゃんと物語が入ってくるのはやっぱりすごいなと思う。
結構すぐ読み終わっちゃったので、ちょっと忘れかけていて、ドラマは毎週一応録画して遅れ遅れで見てます。比較したりしてみるのが好きなので。
時代だなって思うのは、リキが田舎から出てきた貧困女性でとにかく経済的に大変な人が、お金のために代理母というもの凄く大変なことをする。
それは今の貧しくなった日本だからそういう話が成立しちゃうのかなと。社会の嫌なところを見せてくるって意味でも、うまいと思う。
とにかく実際に生殖医療が発展している中で、こうすればこうなるみたいな教科書通りの理屈では、生の人間はそんなうまいこといかないんだよっていうバリエーションを提示している感じでうまかった。
うまいって褒めるのも違うような気もしますが、面白かったのでよかったです。
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私の語彙力の乏しさ、話の稚拙さに絶望ですが…
続きます。