たびたびニュースで特集されております松下電器さんの社名変更。パナソニック株式会社となりました。ついに幸之助さんという創業者の威光から独立と相成ったのですね。そんなわけで、10月1日から我が派遣元も名称が変わったみたい。まっ、それはどっちでもいいんです。
気になるのは、今回の特集でたびたび言及されてる「ブランド力」の話題。
ブランド力とは:消費者に「このブランドだけは特別」と思い込ませる力。消費者の心を惹きつけ、購買に至らせ、買い続けてもらう力(@はてなキーワード)。
だそうです。
「思い込ませる」ってトコロがポイントだろうと思うな。で、大事なのは、思い込んだまま、それが消費に結びつくってことなんだろうと思うな。
んじゃ、この「ブランド力」ってどうやって調査(あるいは測定)されているのかしら。さきほどのニュースでも「国際ランキング」なるものが紹介されておりましたが、コカ・コーラ社が一位でした。
インターブランド2008調査@Business Media 誠
米インターブランドが9月18日に発表した2008年国際ブランド価値ランキングによると、1位は8年連続で「Coca-Cola」。「Google」や「Apple」などの価値が向上する一方、「citi」など金融系ブランドが価値を落とした。
らしいです。まぁ...
世界のブランドランキング、Googleが首位を維持@ITmedia News
調査会社の英Millward Brown Optimorは4月21日、ブランド価値のランキング「BrandZ Top 100」を発表した。今年で3回目となるこのランキングでは、米Googleが首位を維持した。
調査(あるいは測定)する会社によって変わるみたいです。なんじゃそりゃ。もひとつあった。
ふむ...。
いやいや、ワタシはいろんろな結果があってよいと思ってます。マーケティング戦略やブランド戦略は、基本的に口八丁の世界で、それでいいのだと思ってるので。
ところが、これらに科学的な測定技術が取り入れられるとなると、どうでしょ。そうも言っておれないというか、ですね。
また、脳科学ですか...てなカンジですけど。
この記事を要約すると、神経経済学(という学問分野があるんですね)の研究グループが、コカ・コーラとペプシ・コーラの愛飲者を被験者にして脳の測定をしたところ、コカ・コーラ派はコカ・コーラであると見せられてから飲むと、それまで活発でなかった脳の部分が活発になり、より美味しいと感じられるようになったことから、コカ・コーラのブランド戦略が優れていることが読み取れるというもの。
ただ、コメント欄にもあるように、
この研究グループはあとからコカ・コーラ社からの研究助成をうけていたことが判明し,「利益相反」に関する申告が論文投稿や学会発表においてより強化される伏線となった
そうですし
神経経済学は,まだ自然科学の俎上に乗るかどうかで,研究者達が苦闘しているところ
であり
今のところ,「ある脳部位の活動は,おいしく飲んでいることを示している」なんてことはわかっていません
とのことです。
つまり、こういった話題は、公平に慎重に行きましょうという話ですが、マーケティング戦略やブランド戦略に脳科学が入り込んでくるような未来がやってくるかもについては、どなたも否定されていないようです。
脳を調べてモノを売る。みたいな。
まぁ、ここまでの話は、すでにあるブランドの影響力、あるいは価値を測るというだけの話ですね。
しかし、おそらく、ワタシを含め人々が興味のあるのは、こういった市場調査ではなくて、未来予測。
「合理的な人間」を前提とする経済学は、実際の人間が「非合理的で無駄な行動(消費)」をするおかげで、「予測」が役に立たないことが多いわけですが、その点、つまりどのような場合に人間が非合理で無駄な行動(消費)をするのか、前もって予測するということが可能なのかということについて、脳科学ではどうなのだろう。
「前もって予測」の「前もって」が非常に難しいのですが、リアルタイムでなければ、やはり市場調査結果の統計論でしかないのではないかとワタシは思います。そうすると、結局はシミュレーションで予測(関連エントリー:8/27コンピューターで科学するとは:コメント欄参照)するしかないわけですね。
ところで、脳が意思決定をする過程に、効果的に意図的に影響を与えることなどは、BMIなどの技術を使えば、超カンタンに出来そうですが、「マス・コミュニケーション」には使えないだろうなと思う。
残るは、サブリミナル効果的な手法(科学的な証明はされていないそうですが)で攻めるというのがあるかもしれない。映画やテレビ放送は使用が一応は禁止されてるのですが、ネットあたりでは、もしかしたら、もう始まっているのかも。
企業の無形資産として、ブランド力を計上する方向で検討
なんてことが言われてた気がしますがどうなったんでしょうね。また、そんなときの算定にはどこの調査をベースにするんでしょう。
企業の格付けや、レベルは違いますが、レストランの三ツ星なんかも民間企業がやってますしね。
ブランド価値は確かに思い込ませる力ですが、
正当なものを正当に評価してもらうという側面が、本来だと思いますよ。
概ね同意ですが、最後の一文「正当なもの」を「正当に評価」というときの「正当性」の基準や意味が難しいですよね。
数字に表されるもの(顧客数、収益、メディア露出数など)ならまぁまぁ判断できるかもしれませんが、「美味しさ」を評価することは個人的嗜好もあり難しいでしょう。
ところで、格付けや評価が民間のシンクタンクというのは仕方ないでしょう。こういう「その道の権威的ハナシ」に国家などがしゃしゃり出てきたら、ほんとに恐ろしい話になります。
でも、そういったところに、脳科学的なアプローチ(測定や検証)が有効だろうという目論見がされているという話です。「ブランド」の名を見せたら、美味しいという感覚がアップしたという話です。
コカ・コーラから研究助成金をもらっていたらしいですが、実はワタシはむしろ「あーそうでしたか」とホッとしたんですよ。
なかなか、この辺の感覚は理解していただけないかもしれませんが、またいづれpart2で。