昨日は、世界初の原爆投下から63年目の昨日でしたが、今年の黙祷文@blogは長崎の日にすることにして、先にテアトル梅田へ映画を観に行ってきた感想を書きます。
観てきたのは『闇の子供たち』。当初予定していた時間帯は立ち見状態で、1本ズラしても残り四席という盛況ぶり。レディスデーゆえかもしれませんが、それでも関心の高さにビックリしました。
監督は阪本順治。登場する役者は江口洋介、宮崎(※旧字体)あおいなど。音楽は桑田佳祐。...と、いわゆる第一線の人々が顔を揃えてます。そのことはこの重苦しいテーマの映画を、少しでも観やすくする効果をもたらしていると思います。
さて、映画は児童買春と臓器売買を取り上げています。児童買春は字面通り。臓器売買は通常の脳死判定があるものではなくて、生きたまま臓器を摘出され闇に葬られる子供たちがいるという話です。原作は梁石日。この暴力的な「小説」の事は以前から知っていましたが、わざわざ絶望なんてしたくないので、意識的に避けていました。どうも「児童関係」の話って、ワタシにはキツすぎるので。
にも関わらず、今回観てみようかと思ったのは、先ほども触れましたがキャスティングの妙があります。江口洋介と宮崎(※旧字体)あおいなら、そこまで酷くは描けへんやろという。実はとってもビビリです。
もちろん重苦しく目を背けたくなる映像は多かったです。自然と、「こんな商売、誰が許してんねん」という怒りがこみ上げてきます。もちろん許されているわけではなくて、だからこそ闇なのです。
そして闇の暗さや深さに比して、世界は明るく照らし出されていて、醜悪にぶくぶくと太った脂ぎった顔や、神経質そうで冷酷そうで無表情な顔、我が子の命を長らえるために闇の移植を選ぶ哀しすぎる顔が映し出されていました。
タイ国内の闇である密売マーケットよりも、それを需要する側の「われわれ」の姿が。
内容はネタばれになるので書きません(てか、あらすじは映画の公式サイトで読めますね)。ジャーナリストとNGO、それぞれの立場・役割・考え方の違いなども、短いやり取りの中で、端的に考えさせられる秀逸な作品でした。それから、ちょっと驚きの結末も。江口洋介さん、頑張ってます。皆さん、どうぞ映画館でご覧ください。
あっ枝葉な話ですが、ジャーナリズムの素材は毎日新聞だったんでしょうか。エンドロールのスペシャルサンクスで「毎日新聞社」あらず、「毎日新聞のみなさん」になっていて、ちょっと面白かった。
それと、もひとつは桑田さんのオリジナルテーマ曲。最後にカラオケみたいに字幕付きで流れたのだけど、あの構成に何か意図はあったのか。正直に言うと、お葬式のときに笑ってしまう感覚に似てて、不謹慎極まりないと分かっていながらクスクス笑った。てか、ホントに真剣に観ていたのに持っていかれたよ、もう。曲のフレーズ、「淋しくて、淋しくて、心に死化粧♪」ってのが離れなくなっている。それはないんじゃないかと。
タイトルが「現代タイ奇譚」ではなく
「現代東京奇譚」であることが、この映画が、
アジアで起こっている他人事ではなく
「地図で東京から20センチしか離れていない国」
で起こっている、自分たち日本人のこと
であることを物語ってるんでしょうね。
hama-rieさんが書かれている歌詞の部分だったかはだ定かではないですが、やけにサビのメロディと歌謡曲っぽいアレンジが頭に残ってます。
公式ページで予告編を観れるのですけど、それはけっこう合ってるなって思いました。ワタシ的には画面に歌詞が出てくるっていうのがツボだったのかもしれません。
歌謡曲調というご指摘はモロにそうですね。都会の片隅のスナックで口ずさむのが似合いそうです。
アジアの子供たちの幸せを願いながら、おっちゃんが歌うの図ってどうかしら。
一曲かけるたびにユニセフに募金ができるのだったらいいかな。それもある種の消費なのかもしれないけど。
桑田さんと言わば、Act Against Aidsコンサートを
ずっと手弁当でやってたようですし。
そういえば、ミスチルの桜井さんとのデュエット曲なんかは、そういう仕組みにしていたかもしれません。
調べてませんが。