浜岡原発永久停止裁判 原告団・弁護団・支援組織共同ブログ

 中部電力を被告にした浜岡原発永久停止裁判(静岡地裁浜松支部)の原告団・弁護団・支援組織の共同ブログです

浜岡原発永久停止裁判 第13回口頭弁論の記録

2015年01月09日 19時15分32秒 | 浜岡原発裁判の内容

浜岡原発永久停止裁判 第13回口頭弁論の記録

2014年11月10日(月)晴れ

10:15 浜松市地域情報センターホールに原告や傍聴者が集まり始めた。

10:30 傍聴抽選のために裁判所南側広場に集合した。

10:40 原告30席分を含め、傍聴席は満席となる。

11:00 裁判が開始。

裁判長は古谷、右陪審は澤田順子、左陪審は植村一仁、

訴訟代理弁護団計20名の弁護団のうち、今日の参加者は11名

田代博之、大橋昭夫、森下文雄、杉山繁二郎、阿部浩基、北村栄、小池賢、平野晶規、山形祐生、北上紘生、栗田  、

被告側は国と中電で19名。

11:00 はじめに、裁判長は、原告側準備書面(7)(8)、中部電力の準備書面(4)が出ていることを確認。原告から第8次訴訟の陳述の手続き、それに対する中電と国からの答弁書の提出と陳述扱いの確認。その他、原告からの証拠書類の確認をした。

裁判長;では第8次原告の陳述をしてください。

11:02 原告・北野庄次;

  藤枝市の北野庄次と申します。私は公立高校の教員になる際、「憲法を尊重し、擁護する」と誓い辞令を受け取りました。国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という3原則をしっかり学びとらせたいと考えながら、高校生たちと学校での生活を共にし、教育の仕事をすすめました。「憲法の3原則を大事にする」という考えは、退職後も変わりません。

  私は、東日本大震災と福島第一原発の過酷事故が起き、被災者の支援や現地視察で福島県、宮城県に4度訪れました。飯館や富岡町を訪れ、2年以上経っても「3・11」当時のままの姿であることを目の当たりにし、放射能の怖さを肌で感じました。

  昨年4月、福島第一原発から50kmの距離にありながら放射能に汚染された二本松市へ、藤枝の野菜を届けに行きました。その際、二本松で暮らし、子どもたちを放射能から守る決意をしたお母さんたちと懇談する機会をもちました。ある女性は「線量計測器を購入し、食材をすべて検査して食事を作る」と述べ、「1年ほど経って学校給食が始まり、使われる地元の野菜の安全性が問題になりました。結果、希望すれば弁当持参が可能になりました。しかし、『そんなに心配なら福島から出て行けばいい』と陰で言う人がいて、つらかった」と、語りました。別の女性は「ずっと家の中で過ごすことを強いられてきた。思い切って仙台へ家族旅行に出かけた。車を駐車場に入れようとすると、空きがあるのに、ナンバーを見て、他へ回れと言われた」と語りました。

  昨年10月には郡山の仮説住宅に野菜を届けに行き、自治会の役員のみなさんと懇談しました。そこに住んでいる人々は、ほとんどが3回、4回と避難場所を変えてこの仮設にたどり着いたそうです。しかし、住宅は狭くて、家族はバラバラに暮らさざるを得なくなったという話、仕事も奪われ、狭い部屋で毎日、毎日顔をつき合わせる生活に息が詰まりそうになるという訴え、などを聞きました。「そういう日常を口にすると、たくさん賠償金をもらっていて、贅沢言うなというような目で見られる」と語る人もいました。

  原発事故が起きると人命を危険にさらし、人を寄せ付けなくなり、また、人間社会に差別や人権侵害を生み出すのです。憲法が謳う平和的生存権が守られない事態なのです。

  裁判長、福島原発の事故後、原発の「安全神話」は崩壊しました。原発は絶対事故を起こさないと断言はできなくなりました。ひとたび事故が起きれば、人間には手の施しようがない「凶器」となる、このことも明らかになったのです。しかし、国は新たな規制基準を作り、「世界一厳しい基準」だと強調しています。でも事故は絶対起きないとは言いません。そして原発を再稼働させるというのです。それは、事故が起きれば「凶器」となる原発と隣り合わせの暮らしを地域住民に強要する、ということではないでしょうか。その権限が国・行政や電力会社に与えられているのでしょうか。平和的生存権を謳う憲法のもとでは、そのようなことを認められるわけはありません。

  原発で金儲けをし、あるいは、その電力で快適な生活をし、後世に高濃度の放射性廃棄物という負の遺産を押し付ける。これは人間の倫理に反します。現在の化石燃料の使用量からすると、100年から200年後には資源が枯渇すると言われています。その対策として再生可能な自然エネルギーに転換する計画をしっかり立て、エネルギーの心配がない社会を後世に準備する、これが今を生きる私たちに課せられた倫理的課題だと思います。

  昨年ドイツに行き、再生可能エネルギーを視察しました。そこで、倫理委員会がその視点から原発の議論を深め、脱原発に踏み出す上で重要な役割を果したと聞きました。

  このドイツの経験にも学び、平和的生存権を謳う憲法に則り、浜岡原発を永久停止・廃炉の判断を下していただくことを求め、私の意見陳述を終わります。(拍手)

11:08 原告・鈴木英明;

  私は、第8次原告団の鈴木英明と申します。浜岡原子力発電所から10数kmしか離れていない掛川市中方に住んでおります。私は、長年、小学校の教員として子どもたちの成長を見守ってきました。既に定年退職しましたが、浜岡原子力発電所のある御前崎市と近隣市である掛川市・菊川市に併せて27年間勤めてまいりました。

  PAZ(予防的防護措置を準備する区域・原子力発電所から5km以内)圏内の小学校に勤務したこともあります。その時、福島第一原子力発電所のような事故が起こり、放射能が飛散し小学校の上空に覆いかぶさってきていたらと思うと……。居ても立っても居られないという思いで今日の意見陳述をさせていただきました。

  「スピーディSPEEPI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)」を東日本大震災では機能させなかったと思います。今、そのスピーディをも使用しないようになった状況下で、想定外の万一の原発事故が浜岡で起こったら、それが子どもたちの学習中であったら、教師は、数百名の子どもたちを放射能からどう守ったらいいのでしょうか?校舎内に留まるべきでしょうか?

  県が、市が、中電が指示を出してくれるのでしょうか?事故の状況がはっきりつかめない学校としては行動のしようがありません。どの学校でも、地震に対する避難訓練や最近では津波に対する避難訓練を定期的に実施しております。しかし、放射能に対する避難訓練はやっていませんし、聞いたこともありません。

  チェルノブイリでは、事故後5年を経てから子どもたちの甲状腺がんが急増したと聞いております。事故後、できる限り早いうちに、ヨウ素剤の服用が効果的です。しかし、PAZ圏内にありながら、御前崎市ではいまだに、各小学校にヨウ素剤が配布されておりません。アレルギー等の問題はあるようですが、一刻を争う場合、地元に配布しておくべきだと考えます。特に、母親は不安を抱えて毎日を過ごしています。我が子の命を守るために、ヨウ素剤の各戸への配布や使用説明会を今か今かと待っている日々を送っています。

  以上、子どもたちの命を守るために、放射能から逃れること、ヨウ素剤を服用することを述べてきましたが、私が一番に訴えたいのは、このまま浜岡原子力発電所は再稼働せず、永久停止・廃炉することです。将来ある子どもたちのために英断を下してほしいと思います。

  最後になりましたが、原子力発電の依存率の低い中部電力にお願いがあります。他の電力会社に比べ原子力発電から脱却しやすいのではという専門家の方もおられます。是非、原子力発電から方向転換するモデルになっていただきたいと思います。

以上で私の陳述を終わります。(拍手)

11:12 原告・澤登栄信;

  私は、浜岡原発から70キロ圏内にある下田市で生まれ育ち市議会議員をしている澤登栄信です。

  2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原発は、レベル7という世界的大事故となりました。この時、福島第一原発から400キロメートル離れた伊豆半島南部地域においても生シイタケや茶葉などの出荷停止を初め、空間線量の測定、海水浴場のセシウム調査などせざるを得ない事態となりました。今も毎月給食食材の放射能検査をしている状態です。

  福島では、12万人もの多くの方々が故郷に帰れずにいます。放射性廃棄物(死の灰)の処理を含め原発は人間がコントロールできないものであることを示しています。

  下田市・伊東市・賀茂郡下5町の呼びかけ人により2012年1月15日「すべての原発をとめよう伊豆半島住民連合会」が結成されました。私はその事務局長となりました。この会はすべての原発をなくし、安心して暮らせる社会の実現をめざす。また、伊豆半島に暮らすものとして、浜岡原発の再稼働に反対し、廃炉を掲げその実現のために様々な立場を超えて協力し合うものとする。という目的に賛同する個人参加の会です。

  2012年3月11日には“子ども達に原発のない未来を”“福島を忘れない”“浜岡原発再稼働するな”を掲げ伊豆急下田駅前広場で100人からのリレートーク集会を行い、市内をパレードしました。以来毎年3月11日には集会を行ってきました。また、子どもたちを放射能の恐怖から救い守ろうと映画会や講演会を実施してきました。

  福島の子どもたちを放射能から守る伊豆の会の方々は外で遊ぶことさえできない福島の子ども達を春休み7日間、5月連休4日間、保養に迎えるステイを計画し、100人からのボランティアの協力で伊豆高原に20人からの子どもたちを迎えました。その他の団体も松崎町、あるいは西伊豆町で保養ステイを実施しました。

  福島の少女の、私は何歳まで生きられますかの問いに、私たちはどのように答えられるのでしょうか。子どもたちに原発のない社会を渡すことが、私たち大人たちの責任です。

  2012年4月28日には石井直樹・下田市長が三上元・湖西市長ら15名とともに設立呼びかけ人となり、「脱原発をめざす首長会議」が設立されました。自治体の首長も自らの責任としてこの事態に黙することなく、原発に依存しない社会・「脱原発社会」をめざして、すみやかに再生可能エネルギーを地域政策として実現することを積極的に進めていかなくてはなりませんと訴えられました。

 中部電力は本年2月、原子力規制委員会に対し安全審査の申請をし、浜岡原発の再稼働にむけ準備をしていると聞いております。これは県民の廃炉要求を無視するもので認められません。

  浜岡原発は全国でも最大規模の原発であり、南海トラフ巨大地震の震源域に立地されている最も危険な原発だと言われています。直下型地震により原子炉そのものが破損・破壊され福島第一原発の比ではない巨大事故が起こる可能性が指摘されています。

 さらに富士山噴火による過酷事故も想定されます。

 浜岡原発がある御前崎と私たちが住む伊豆半島は、駿河湾を挟んでその間を遮るものは何もなく60キロメートルから90キロメートル圏内にあります。ひとたび浜岡原発で過酷事故が発生した場合、私たちが住む伊豆半島は、放射能により大きな被害を受けます。

  伊豆半島南部地域は、安政の大津波(1854年)により大勢の犠牲者を出しております。2013年3月18日に公表された静岡県の第4次地震被害想定では、マグニチュード9、下田狼煙崎沖津波高33メートルの波が地震発生から17分後に押し寄せ、死者5100人、消失家屋と半壊以上の家屋で5100棟と見込まれています。

 地震・津波の被害を受けた上に浜岡原発の過酷事故で立ち入ることができない地域になり、三重の被害を受け住むことができない地域になってしまいます。そうでなくても伊豆半島の主要な産業である農業・漁業・観光業は放射能被害で壊滅的な状況を迎え、多くの人々が故郷を失うことになります。

  このような危機的事態を避けるためには、浜岡原発の永久停止停止しかありません。是非、伊豆地域の住民の廃炉の願い及び各議会の意見書等に示された見識をご検討下さるようお願いして、私の陳述といたします。(拍手)

11:20 裁判長;この件は、これまでのものに併合します。今後の書面についてはどうか

原告・阿部弁護士;準備します。

被告・中電;本年2月適合審査申請を行い、いま審査を受けている。申請内容を踏まえて、原発の安全性についての書面を提出したい。

裁判長;次回の期日は3月2日11時ではどうか。

原告・大橋弁護士;もっと早くはどうか。

(原告・被告でのやりとりの結果を受けて)

裁判長;では次回は、2月16日11時からとします。                11:23終了

 

11:31 地域情報センターで報告集会

司会・中野邦彦(静岡原告); 

  司会の静岡原告団の中野です。最初に今日の口頭弁論に傍聴できなかった人が数名いますので、口頭弁護の概略の説明をお願いします。その前に田代弁護団長より挨拶を簡潔にお願いいたします。

11:34田代博之弁護士(弁護団長);

   司会者からの要請を受けてあいさつします。今日は3名の方が原告団を代表して発言を行いました。毎回の弁論は原告の過去の経験や実際の生活体験、福島の状況を踏まえての堂々の意見開陳をやっていただいています。今回は、一人は高校教師、もう一人は小学校の教師の体験、もう一人は下田の市会議員の方から伊豆半島全体の話。自治体首長が団結して浜岡原発の稼働を許さない同盟を結んで着々と取り組んでいる素晴らしい報告がされました。裁判官に対しても今日の原告団代表の意見開陳は胸をさすような鋭い、しかも公正な正義にかなった住民の生存権を保障する判決を出さなく てはいけないなという思いを強くしたと思います。

   私がここで報告したいのは、今年の我々の属している自由法曹団総会が福井であり、大飯原発差し止め判決の原告団・弁護団から誇り高き報告がされ、深い感銘を与えました。裁判官自体もものすごく脱原発に主導的な精神を確固として発揮したということが伝えられています。この判決は、福島第一原発は日本の憲法に反する危険な事態であることを住民が積極的に掘り起こしてきたすぐれた内容を認めた、先導的先進的な判決であることが何回も強調されました。

   その理由の一つは原告団の中に住職さんがいて、その住職さんの20年に渡る血みどろのたたかいがこの判決を勝ち取ったのだと。というには、10年間くらいは、原発訴訟をめぐって地域の感情、反対派の住民に対して暴力を振って抑え込んできた歴史的事実がありました。それに対して、住民は住職である原告代表を中心として固く団結して、福島第一原発の被災に学んで、福井の地で2度と起こしてはならないと、堂々と裁判官に対して主張し、公正な判決を勝ち取ったと、るる説明されました。

   我が浜岡原告団の重要な役割もあり、裁判闘争の中で決め手になるのは、法廷外の力だと言っています。これは、我々が属している自由法曹団の根本的な大衆的裁判闘争の基礎にある考え方です。法廷はもちろん大切でありますが、原告団が県民市民の世論を集めて、正義と事実に基づいて、平和的生存権を完璧に原発の中に生かしてもらいたいと訴えることで、浜松の裁判所の裁判官も、いままでの意見陳述を制限する裁判官でなく、いい裁判官に育てていくことが、裁判を教育の場にしていくことが必要だと思います。

   裁判の教訓を身に付けて、近く裁判官が変更するようですが、その裁判官がきた時点で、いままでの裁判の実態はこうであったと、弁論の更新をやって、裁判官に訴えていきたい。

11:40大橋弁護士;

   実は今日は真中の裁判官が変わった。支部長が交代し、後任がまだ来ていない。2倍印紙代を出せと。これが障害になっていた。

   原告・弁護団会議で、裁判官が変わるので、もう一度、弁論更新で、我々の考え方を、どういうことで永久停止を求めているかを裁判官にしっかりと伝えていこうと。いままで我々の努力で意見陳述をしてきたが、これまで制限されてきたので、いままでの意見を含めて原告の思いを新しい裁判官に改めて伝えていきたい。

11:43 司会・中野;

   どうやら今日の裁判長は臨時の人のようですが、声が小さくて聞き取れなかった。どんなやりとりかを阿部弁護士に説明してもらいます。

11:44 阿部弁護士;

   今日は、第8次の訴訟については1回目のことなので、訴状の陳述の手続きをやりました。それに対して中電と国から簡単な答弁書が出ているので、答弁書も陳述したという扱いで、これが第8次のことです。それから1~4次について、中部電力から準備書面(4)が提出された。金曜日にちらっと見ただけですが、前回こちらで、大飯原発の判決がこの裁判でも妥当すると準備書面で書いたが、それに対する反論のようです。

   どういうことをいっているかというと、5ページあたりにエッセンスがあると私は思うのですが、こういうことが書いています。「およそ科学技術を利用した現代文明の利器はすべて、その効用の反面に、多かれ少なかれ危険発生の可能性を内包している。社会はこの危険を人為的に管理して人類の利用に役立ててきたのであり、そこにおいては、危険が内在していること自体は当然の前提として、その内在する危険が顕在化しないよう、いかに適切に管理できるかが問題にされてきた。

   したがって、原子力発電所に関しても、原子力発電に危険が内在すること自体が問題なのではなく、原子力発電に内在する潜在的な危険を顕在化させないよう適切に管理できるかどうかが問題とされるべきであり、訴訟においては、このような観点から内在する潜在的な危険を顕在化させないよう適切な管理できるかどうかが、具体的危険性の有無という形で判断されることになる。

    これに対し、抽象的、潜在的な危険性の存在のみをもって原子力発電所の利用を否定することは、現代社会における科学技術の利用そのものを否定することになり妥当ではない。」こういうように書いてあって、これが基本的な電力側のスタンスだと思う。かつては、原発事故は絶対に起こらないと言っていましたが、最近は、危険があることは認めるが、事故が絶対起こらないとは言わない。しかし、その危険の発生は十分に管理できるし、原発関係の法律も原発があることを前提にして規制しているから、その法律に則って裁判所は判断すればいいのだと、言っている。

   確かに法律があり、原発はダメだという法律ではない。原発で発電をするという前提にしていかにして原発が危険でないようにコントロールしていくかという法律の体系が出来ているので、その法律の体系を前提にすれば、裁判所はその範囲内で判断すればいいのであって、それ以上の判断をすべきではないと書いているように思いました。

   あとは、それに関連する証拠書類等が中電から出されたし、こちらからも若干の証拠書類を出しました。詳細は省略します。次回は何をするかですが、中部電力は、4号機の申請をしていますが、4号機の稼働申請にあたって安全性について主張したものを準備書面として提出すると言いました。

   いままで中部電力はほとんど主張してこなかったのですが、次回は、さすがに最新の情報に基づいて浜岡原発の安全性を主張すると。こちらはこちらでまた準備したいと思いますが、我々は前々から言っているように、あまり細かい科学的論争に踏み込まないようにしようと、もう少しざっくりしたところで勝負したいと。

   あとは、裁判長が代わるみたいなので、更新弁論といって、いままでの裁判の経過と裁判の課題について、こちらで10分か15分とって述べたいと思います。以上です。

11:50司会・中野;

   後で詳しく話をしてほしいと思いますが、今日ご出席の弁護士に皆さん、お名前と所属を言っていただけますか。

各弁護士からの自己紹介;

   浜松共同法律事務所の栗田です。よろしくお願いします。鷹匠法律事務所所属の北上紘生です。よろしくお願いします。静岡法律事務の弁護士の山形祐生です。よろしくお願いします。名古屋第一法律事務所の北村栄です。よろしくお願いします。浜松合同法律事務所の田代博之です。よろしくお願いします。鷹匠法律事務所の大橋昭夫です。よろしくお願いします。静岡合同法律事務所の阿部です。よろしくお願いします。浜松共同法律事務所の平野です。よろしくお願いします。

11:52司会・中野;

   このようにお名前を言っていただいたのは、もう一つわけがありまして、実は大飯原発ですごい判決が出ましたね。樋口英明裁判長。当然向こうが控訴しまして、控訴審の第一回弁論について、北村弁護士、恐縮ですが、そのことについて、簡潔にお話をお願いしたいと思います。

北村弁護士;

   脱原発全国弁護団の一員として会合に出ていますので、知っていることをお伝えします。いま一番の注目は大飯の控訴審。次は川内原発訴訟。この2つの判決が近々出るのではないかと。

   大飯の方は、5月21日の判決以来、控訴審第一回。原告も控訴した。250キロ圏ではなく、もっ広く認めろと。第一回の前に順番やどういうことをするのか進行協議があった。一週間前に第一回控訴審があった。私は出ていないが、報告によると、裁判長は被告関電に対して、もっと早く進行の今後の予定を出さないかと。それを聞いて安心した。

   実は、名古屋高裁金沢支部の裁判長は、進行協議を何回かやって、こちら側としてはよかったのです。かなり厳しいことを言って、向こうから出てくる人にそんなのではよく分からないと言っていたので、第一回の前に交代になった。それは玉突き人事で、どこかの所長が定年で退官して、順送りで異動した。こちらとしては、大飯の判決が出たので、国が意図してやったのかと思ったが、この間の進行協議で、5月に判決が出て、どんな順序でやるのか、早く言わないとだめだと。次回は2月にあると。早期の結審もあるかもしれない。福井地裁の場合、一人も証人尋問もせずに、判決を出した。普通であれば、高裁では向こうは証人を調べろと言ってくるので、それに乗っかるとどうなるか分からない。証人尋問しなければ、一審の判決が維持されるのではないか。それで注目される。

   川内原発の方は、規制委員会でOKもらっているということで、再稼働の動きにある。再稼働ではこちらは困るので仮処分を出している。短期でとりあえず判断を出してくださいと。早ければ12月末に出るのではないかと。地元の弁護団と東京からの弁護士がかけつけて頑張っている所です。

11:56司会・中野;

   ありがとうございました。いろいろご質問もあろうかと思いますが、それは最後にして、3人の意見陳述をしていただいた方、一言ずつ、長くならないように感想等お願いします。

北野;

   3/11以降いろんなとりくみを行ってきたことを触れました。原発をなくしていく上で、金曜アクションなどの具体的運動とともに、その対案である再生可能エネルギーをどう普及していくかも大切であるし、原発を科学技術の面からだけでなく、原理の問題があるのではないかとずっと考えてきた。それを強調したかった。それだけでは裁判にならないので、憲法や法律に基づいて判断することを言った方がよいと弁護士から言われ、そうしました。

11:58鈴木;

   今日はありがとうございました。私は「浜岡原発の危険から住民を守る会」に所属していまして、毎月11日前後に御前崎市内でアピールウォークをしているものです。いろんな人がそこに参加していますが、私も現職時代、学校に勤めていまして、今日はその内容について重点的に話してほしいとご指導があったので、まだいろいろなことを言わないといけないかなと思いましたが、その点だけについて、もうちょっと言いたかったなという気持ちもありましたが、そうさせてもらいました。ありがとうございました。

11:59沢登;

   下田からまいりました沢登といいます。多くの住民運動で世論を作っていくことが必要だと思います。11月22日のひまわり集会が静岡でありますが、帰りましたらバス1台で積極的にとりくみ参加しようと思います。住民運動だけではなく、自治体を大きく動かしていくことも必要ではないかと思います。函館市長に見られるように自治体ぐるみで反対していく、このような大きな運動にしていくことが私たちの教訓ではないかと思います。よろしくお願いします。

12:00司会・中野;

   3人の意見陳述の方に大きな拍手を送りたいと思います。次回は2015年2月16日月曜日11時からです。多くの方を誘っていただければ幸いです。以上で終わりたいのですが、何か質問や意見があればどうぞ。

12:01片山;

   菊川の片山です。3人の陳述に心から感動しました。国側もよく聞いていた。僕は「浜岡原発はいらない命を守る菊川市民の会」の一員です。中電は乾式貯蔵施設を作ると宣伝しているので、中電に菊川市民の会に来て説明をしてくれと申し入れをしました。すると、原告はダメと言う。原告以外で申し込みをすればいいかといって交渉中ですが、仮にそれでやっても片山さんは参加できませんよと。今日の3人の陳述の中で基本的人権の話がありましたが、まさに僕が原告になることを否定している。国民が裁判を起こすことを否定する。

   そういう基本的人権が根本的に侵害されている。中電からの議論をよく聞いていないが、例えば津波の防波壁の見学会も計画しているが、それも原告である限りは遠慮してくれと言う。中電の人の主張も改めて問いただして報告したい。このことを知っていただきたいと思い、発言しました。

12:04鹿野;

   100万署名にとりくんでいますが、11月1日に中電は新たな工事対策を行うとしている。その工事完了は遅れるので再稼働は遅れるだろうと。それとの関連で、そういう対策をすれば規制委員会はゴーサインを出すのではないか。そのあたりの兼ね合い、すでに規制委員会で9回以上の審査が行われているとのこともあり、その経過を教えてほしい。遅れるのなら署名を出すのは遅くてもいいのか。

12:05大橋弁護士;

   片山さん、残念ですね。中電は住民対策を取っていて、皆さん来て下さい、安全対策を取っているからと。戸別訪問をしてきてくれと、中電の社員が各地で、御前崎にも。ビラも出しているが、ビラに原告は控えてくれと小さく書いてある。けしからん話だ。原告は反対のための反対だと思っているかもしれない。そういう人にもっと安全だと認識させればいいと思うが、原告を理由に拒絶していることについて法的にどうなのかを検討していきたい。他の裁判でも原告が拒否されて、けしからんということが新聞で報道されていた。よく検討したい。

北村;

  1年前ですが、名古屋でも事務所で関心を持っていこうということで、見学の申し込みをしたら、お前のところの事務所では北村というものがいるから、事務所を含めてダメだと。

12:07落合;

   中電はつい先日、津波・地震対策工事を来年9月までの完了予定を、新聞報道では1年延期して、2016年9月までに完了と発表した。100万署名のことでは、後にしてもいいのではないかという意見もあるが、私はそうは思わない。今年2月、中電は適合審査申請を規制委員会に行った。4号機の再稼働を狙って審査請求をした。ネットを調べるとなんと10月下旬に11回目の審査をしている。急ピッチで審査をしている。膨大な資料がある。ネットで「原子力規制委員会・浜岡原発審査」で検索すると、規制委員会の内容が出ている。スピードを上げて審査をしている。

   そしてこれもつい先日、これも新聞報道ですが、浜岡原発の半径30キロ圏について海底岩盤の地質調査を改めて行うと言う。今日お見えの伊藤先生のお話も聞きたい。これは、規制委員会の中で、資料の足らないものを出せと言われているのではないか。

   先日、川内(せんだい)原発で、川内(かわうち)原発と言ったバカな大臣がいたそうですが、あの大臣が印を押すばかりになっている。ところが規制委員会は審査の途中。

   もう一つ。規制委員会では、900ガルでOKだと、大飯原発の件ですでに言っている。そういうことを考えると、審査が遅れても、地質調査の結果、早くゴーサインを出す可能性あり。表面上は延期しているが、1年延びたと思わない方がいい。私のうがった見方かもしれませんが、田代弁護士も言われたように、法廷外の運動を圧倒的に強めることがどうしても必要です。いずれにしても、1年後であろうが、2年後であろうが、再稼働のことは日程化されているので、4号炉の再稼働をさせないことで全力を尽くすと。

   実は、私は県の署名の実行委員もやっているし、浜松市の責任者でもあるし、このところ、浜岡原発漬けですが、そのことばかり考えています。

12:13司会・中野;伊藤先生、一言ありますか。

伊藤通玄;

   磐田の伊藤です。昨日ちょっと話が出たが、規制委員会が20項目くらいの重点的課題を出ていて、その中によく皆さんご存知の、浜岡の5号機の異常増幅問題に関連した問題点、それから海底の活断層の精査をやらなくてはいけないと。これらを含めて中電はもう一度、きちんと海底の活断層調査を概略調査ではなくもっと公開できる調査をやらないと収まらない判断をした結果だと考えています。

   特に5号機の異常増幅問題と関連して、東南海地震とか、南海地震が起きる方向、西南方向からやってくる地震動に対して、浜岡地盤がどういう挙動を示すかの詳細情報はできていない。たまたまの駿河湾の地震が東の方向からあったので、5号機の地下の異常方向が見つかった。同じような地震が西南方向から起きていないので、敷地の南西側の異常構造があるかどうかが認定されていない。前の保安院の時代からこの部分について精査の必要があるという指摘を受けている。そのこともあって、このような判断を中電はしたのであろう。

  その精査の結果によっては、新たな異常行動が地下で見つかる可能性も充分ありますし、海底の活断層についても新しい情報が出てくる可能性もあり、そうなるとさらなる補強、あるいは対策が必要になるのではないかと、私は推測をしております。

12:15司会・中野;

   ありがとうございます。静岡大学名誉教授の伊藤通玄先生に一言お話をしていただきました。このあと、同じく静岡大学名誉教授の林先生から閉会のあいさつをお願いします。その後、事務局から連絡をしてもらいます。林先生、突然ですがよろしくお願いいたします。

林弘文;

   みなさん、今日はご苦労様です。3人の意見陳述を聞きましたが、中身が実感として出てきた発言だと思いました。と言いますのは、実は僕はいま浜岡原発のことで、国とか中電とか、県との交渉記録をまとめてきたが、1970年代に、科学技術庁とかに行ったときにどんな状態であったかを、みなさんに知っていただきたいと思ったのです。その時はこんなことを言っていたのです。

   原発の非居住地域はどのくらいですかと聞くと、原子炉から30~40メートルの範囲だと(ヘエ!とみんな驚く)。それから低人口地域はどのくらいですかと聞くと、やはり浜岡原発の敷地の中に完全に入ってしまう。これは何を言っているかというと、原発は全然事故を起こさないことを前提にしている。

   我々は1970年代には原発について詳しくなかったので、原研から中島篤之介さんを現地に呼んで、講演会を開いた時に、彼の口から原発は危険ですよということを一言言ってもらいたいという気持ちを持っていた。中島さんは当時、原研の理事から弾圧されて処分をされていたので、原研から来たのではなく、原発労組から来たと言い訳をしていた。大変厳しい処分を受けていたが、原発は危険だということを一言言ってほしかったがそれは聞けなかった。

   ところがいまは、原発は危険だと誰からも言える時代になってきた。3人の発言は非常に隔世の感があるなと思う。この間、大飯原発判決が出たが、その判決の中では、例えば、中嶌哲演さんが言ったようですが、人格権という言葉を使ったと。原告がどんな発言をするかが判決文の中に反映されてくるので、非常に今日の発言は重要であると思います。そして、弁護士の皆さん、今日はありがとうございました。

12:20司会・中野;ありがとうございました。事務局長から事務局連絡をお願いします。

落合;

   今日は8次原告の意見陳述をしていただきました。ありがとうございました。次回は、2015年2月16日(月)11時から。その前に第9次の原告募集をしたい。2か月前には提訴しないと、当日の意見陳述ができない。期限は弁護士と相談したい。第8次までで633名まで到達させていただきました。ありがとうございます。もっと大きな裁判闘争にしていくために第9次原告でさらに飛躍を図っていきたい。ここに集まりにみなさんに一段のご努力をお願いしたいと思います。

  そして、次の問題ですが、しつこいようですが、法廷内外の運動を強めるため、11/22静岡駿府公園で、ひまわり集会(第4回目です)を、いわゆる「オール静岡」の形で、原発はおかしいよと思う人がみんな集まり、浜岡原発を何とかやめさせようと大集会を行います。これにご参加のとりくみを率先してお願いしたいと思います。

次に、100万人をめざす署名の問題です。いまの情勢の中で、県知事が同意できないような働きかけをしていくことは極めて重要であると、川内原発のことを見ると分かります。その点で圧倒的な世論をつくり出す、静岡県内を中心に、100万人の署名を集めて、県知事に同意させないと。各地で精力的にとりくみ中だと思いますが、一段と加速してほしい。とりわけ来年3月、4月は県議会選挙があります。県議会の候補者に対して、まさか再稼働に賛成しないでしょうねと、要請するために年末までに相当数の署名を集める必要があります。その点で一段のご努力をお願いします。本日はありがとうございました。

北村弁護士;先ほどの情報の訂正をします。大飯原発高裁裁判では、関電の方から証人尋問の申請はしないということです。ということは、自分の方からはしないので、結構早期に結審する。一応来年9月まで5回が予定。来年2月までに全部の主張を出すと。そういうことです。

12:24終了(文責;長坂)