浜岡原発永久停止裁判 原告団・弁護団・支援組織共同ブログ

 中部電力を被告にした浜岡原発永久停止裁判(静岡地裁浜松支部)の原告団・弁護団・支援組織の共同ブログです

浜岡原発永久停止裁判 第8回口頭弁論 2013年5月27日(月)晴れ

2013年06月12日 15時09分06秒 | 浜岡原発裁判の内容

浜岡原発永久停止裁判 第8回口頭弁論 2013年5月27日(月)晴れ

 

10:00 浜松市地域情報センターホールに原告や傍聴者が集まり始めた。

10:25 傍聴抽選のために裁判所南側広場に集合した。

10:30 抽選で外れた原告も25席分の原告席で傍聴に参加。

 傍聴席は満席となり、傍聴できない人は、ロビーで待機した。

 参加者には事務局から、今日の裁判の日程や、第5次原告の4人の陳述内容を紹介したプリントを配布した。参加者 約80人。

11:00 裁判が開始。

 裁判長は桐ケ谷敬三、右陪審は石川慧子、左陪審は小川敦、

 訴訟代理弁護団計20名の弁護団のうち、今日の参加者は12名

田代博之、大橋昭夫、塩沢忠和、杉山繁二郎、阿部浩基、北村栄、杉尾健太郎、小池賢、平野晶規、加茂大樹、末永智子、北上紘生、

被告側は国と中電で20名。

11:00 裁判長;弁論は、原告から15分で行う。被告側、いいですね。

  原告の訴状は、一部取り下げで陳述する。中電答弁書、被告国の答弁書の確認。

 杉尾弁護士;5次の訴状での4人の原告、林弘文、小林豊子、林克、照井健の意見陳述をお願いしたい。

11:03 林弘文さんの陳述(要旨);

 静岡大学を定年退官し、現在、浜岡原発永久停止裁判静岡県の会・会長をしている。

 1967年の浜岡原発の計画段階から運動に関わりを持っている。1976年から営業運転に入り、下請け作業員の嶋橋伸之さんは放射線を受けて白血病で亡くなった。50mSvを少し超えた線量であった。

 広島・長崎の被害を生かすべきだ。原発事故による労働者と住民の放射線被ばくは基本的には低線量被ばく。低線量は1Sv以下。広島・長崎の放射線の影響の研究から低線量の線量とがんとの関係は比例関係であることがはっきりした。

 放射線影響学会の発表では、固形腫瘍は、100mSvでは、自然発生の1.05倍(5%増)、1000mSvでは、自然発生の1.5倍(50%増)。1mSvの被ばくでもまったく無害だといえない。閾値はゼロというのが妥当だ。

 原発は国策で推進されてきた。国は電力会社に手厚い保護をしてきた。にもかかわらず、使用済み核燃料のリサイクルは、もんじゅと再処理工場が長年停止しており、うまくいっていない。

 放射性廃棄物の処分は、まったく見通しが立たず、地層処分を引き受ける自治体は一つもない。

 原発が稼働するほど増え続ける放射性廃棄物は、子孫への負の遺産。福島の原発事故で見られるように、電力会社もどう処理していいかわからない状態。

 もともと制御できない原発は、国として止めるのが一番。裁判官の公正な判断をお願いします。

11:07 小林豊子さんの陳述(要旨);

 静岡市在住。30年余り一般内科医として地域住民の健康を守る仕事に携わってきた。

 福島原発事故を境に、生き方を根本から変えざるを得なかった。納得できないことはそのままにせず、しっかり学び、理解する努力をし、それでも納得できない時は、口出して言などの行動をとろうと。今日もその立場でここに立っている。

 私は原水爆の廃絶は大きな関心事であったが、原発の危険性の認識は甘かった。

 いま中電が危険を取り除くとして多額の費用をかけているのは津波対策。

 これまでの想定を超える巨大地震による配管の亀裂、破断による大惨事への対策はどう取るのか、その対策はありうるのか。危険を完全に取り除くには永久停止しかないと、私は確信する。

 それは、地震のない時でさえ、配管からの漏えいを引き起こすまで、ひび割れを発見できなかったことは、裏を返せば、配管のひび割れは、漏えいが起きるまでは確認できないことになり、巨大地震発生時には、一気にその事態が発生することを意味するからだ。

 福島原発事故は「安全神話」が完全に覆った。その「安全神話」の下にできた法的規制と許認可は、根本から見直しすべきというのが、国民共通の思いだ。

 いまこそ、憲法25条の生存権と公衆衛生の向上増進の義務を果たすべき時だ。「公衆衛生」とは、健康にとって危険と判断されるものは取り除くということだ。

 裁判を通して、国が責任を果たすように導くために、裁判官の力を発揮してください。

11:11 林克(かつし)さんの陳述(要旨);

 静岡県評議長をしている。労働組合のローカルセンターとして、地域の課題を積極的に取り上げてきた。60年代のコンビナート反対闘争やヘドロ問題などの公害問題に取り組んできた。浜岡原発の計画が分かった時から反対運動を地域住民と一緒にやってきた。

 2009年の駿河湾地震の時に、浜岡原発即時停止の署名を直ちに取り組んだ。

 2011年の福島原発事故の時の浜岡原発即時停止署名は、これまでと様子が一変した。

 昼休みの1時間で200~300筆の署名が集まり、署名に列ができるほどだった。浜松でも同じだった。県民の叫びだと感じた。

 浜岡原発永久停止・廃炉の一点で共同した「7・23ひまわり集会」では5000人、浜岡の現地での「11・26ひまわり集会」では4000人が浜岡原発を人間の鎖で包囲した。

 福島原発事故を目の当たりにして、他人事ではないと県民の率直な気持ちの反映であった。

 もし浜岡原発で事故が起これば、50キロ圏214万人の人たちに影響が出る。新幹線や東名高速など日本を東西に結ぶ大動脈への社会的影響は他の原発の比ではない。

 安倍首相は、2月の所信表明演説で「安全と確認された原発から再稼働する」と表明。

 その安全をはかる「新規制基準」は、福島原発事故の原因究明がされた結果できたものではなく、津波対策を中心に構成されている。東海地震の震源域の真上にある浜岡原発の揺れは他とは比べものにならない。県民感情として到底受け入れることはできない。

 浜岡原発の再稼働が日程に登れば、再び県民の大きなうねりが沸き起こることは間違いない。

 世界一危険な原発である浜岡原発は永久停止・廃炉にすべきだ。

11:15 照井健さんの陳述(要旨);

 浜岡原発から25kmの藤枝市在住。福島の惨状を目の当たりにして世界一危険な浜岡原発を再稼働させてはならないと強く思う。

 浜岡1~3号機の基本設計に関わった技術者・渡辺氏の話を昨年聞いた。彼は、「5重の防護壁」「単一故障指針」は、福島の事故で破たんした、浜岡特有の問題は、地震プレート境界上の立地だと、指摘した。

 原発の設計では直下型地震による地盤の隆起は想定されておらず、最大級の隆起の場合、土台崩壊や地割れによる大事故は必至だと強調。

 中電は、南海トラフ巨大地震では、浜岡5号機周辺で最大1900ガルに達すると発表する一方で、配管やケーブルの補強で安全性は確保できるとした。

 しかし、浜岡と同型の福島第一原発で従事した元GE技術者・菊池氏は、配管は大変複雑で、その支持構造は脆弱であり、福島原発事故の原因は、津波でなく、地震による大量の配管破損と冷却機能の喪失だと指摘した。

 東海地震説を唱えた石橋氏は「原発震災」の警鐘を鳴らしているし、京都大学原子炉研究所の小出氏は、浜岡原発の破局的事故の場合、風速4m・西風のもとで、約192万人が死亡すると推計している。

 私は日々農業行政に関わっている。原発事故の影響を実感している。県内茶への放射能汚染後の風評被害での価格暴落が経営に追い打ちをかけている。

 発電は、火力、水力、自然エネルギーなど代替の方法がある。使用済み核燃料の処分方法すら未確立で、未曽有の被害が継続しているもとでの再稼働は、人道上許されない。

 福島の事故後、行政も住民も浜岡原発の危険性を抽象的なものでなく、具体的、現実的なものとして受け止めている。浜岡原発永久停止により、安心して生活できる権利を保障してほしい。

11:20 塩沢弁護士;

 訴状15ページで、国を被告にし、「被告中電をして原発を稼働させてはならない」との差し止めを求めている。その根拠を、訴状を敷衍しつつ述べる。

1 原発事業の最大の特徴は、この事業はそもそも民間企業の手に負える代物ではなくて、国の全面的バックアップがあってこそ成り立つ国策民営事業であるという点にあり、より端的に言えば、「民営事業」という形式はとりつつ、その実態・内実は国自身の「国営事業」である。これが、原告が被告国に対して差し止め請求する第1の根拠である。

2 原発が民間企業の手に負えないものであることは、我が国に原発が導入された当初の経緯からも明らかである。原発技術は、核兵器製造技術が民間転回されたものである。

 世界的に原発への関心が高まったのは1950年代であるが、当時この技術は安全保障上の観点から厳重に国際管理されていて、これを導入するためにはアメリカやイギリスと2国間協定を結ぶ必要があった。民間企業にとっては、膨大な費用や危険を負担してまで原発という未知の分野に参入したいという動機は希薄だった。

 しかし国は自ら率先してアメリカ・イギリス政府と交渉し、導入に踏み切り、1954年、はじめての原子力予算2億3500万円(この金額に根拠はない。ウラン235をもじったものであったことを,後に中曽根は打ち明けている)を成立させ、56年には原子力三法,同年原子力委員会発足、そして66年日本原電の東海原発で営業運転にこぎつけるまで、導入の全てのコストをすべて国が負担してきた。

3 原発の立地,建設、その維持・運営等に膨大なコストがかかることは多言を要しないところ、今日とりわけ重大視しなければならないコスト問題が、使用済核燃料をはじめとする放射性廃棄物の処理問題である。

 人類に悪影響が及ばなくなるまで数万年間に及ぶ管理が必要と言われるこの廃棄物は、今でもこの処理にどれだけのコストがかかるか正確なことがわからないが、導入期にはまだその処理方法すら未解明であった。

 しかし当初からはっきりしていたことは、この管理・処理を責任もって担う主体が電力会社ではなく国であること、これが当初からの当然の前提になっていた。企業活動によって発生した廃棄物はその企業が責任をもって処理すること、これは自己責任原則が貫徹する資本主義的経済活動における大原則である。しかし原発事業においては、この原則すら貫徹しない。

4 原発事業を進める上で極めて困難な課題の1つが、発電所の立地問題であった。当初は,地域活発化に期待する地元自治体の協力も順調に進んだが(福島第一,福井の大飯など)、1960年(昭和35年)代後半期以降、様々な公害問題が社会問題化し、原発への地元住民の理解を得ることは極めて困難になった。

 本件浜岡原発もそうであった。そこで国は、1974年に電源三法を成立させ、立地を受け入れる自治体にその見返りとして巨額の資金を交付し、開発利益を還元するという典型的な“アメダマ”政策によって原発立地を後押しした。このことがいかに地域経済をゆがめてきたか、これも“3・11”の教訓の1つである。

5 民間企業が手を出すにはその発電コストが余りにも高いという原発事業の弱点に対して、国は,<総括原価方式>と、<電力事業の地域独占体制>の維持という手厚い保護政策をとってきた。

 <総括原価方式>とは、電力供給に要する全てのコストに一定の利益を上乗せして電気料金が決定されるという仕組みであり、電力会社は黙っていても一定の利益が確保されている。コストに注意を払う必要がない、つまり原発事業は絶対損をしない事業である。“絶対損をしない事業”が果たして民営事業なのか?

 <地域独占>は今では一部自由化されたとは言え、基本的には現在でも強固に維持されている。そのため被告中電をはじめとする電力会社は、他の民間企業のような競合他社との極めて熾烈な価格競争をしなくても利益を確保することができている。

 このように国による手厚い保護政策の恩恵があればこそ、電力各社は,原発事業が他の発電方式よりはるかに高コスト高リスクであることが分かっていても、あえてこれを拒むことなく、唯々諾々と国策に従って原発事業を進めていけばよかったのである。

6 原発事業の高コスト高リスクの極めつけが、いざ事故が起きた場合の損害賠償問題である。原発導入の当初から国及び電力会社は、原発事故が発生する可能性を認識し、いざ事故が発生した場合の賠償リスクを、国家予算の2倍と試算していた。

 国及び電力会社は、一体となって原発の「安全神話」をまきちらしてきたが、しかし原発事業にかかわる関係者は決してバカではなく、リアルな認識としては事故発生を想定し、その賠償想定金額も計算していたのである。

 しかし“3・11”以降今でも発生し続けている全損害の賠償額が果たして国家予算の2倍程度に納まるのか。いずれにせよこの被害状況は、我々の想定をはるかに超える膨大なものとなることは間違いなく、その賠償責任を最終的には国が負担することになる。<国が負担する>ということは、とりもなおさず国民の税金で対処するということである。そんな“民営事業”があるだろうか。

7 以上要するに、原発事業が形式的には民営事業として成り立って来られたのは、あらゆる局面において、国が立法措置や予算措置を講じて「国策事業」として営んできたからに他ならない。

8 そのことからどういう事態になったかというと、原子力政策を強力に推進する被告国と、その下で現実に原子力発電を実施する電力各社は、原子力発電を行うという目的において完全に一体をなしている。

 つまり,原子力発電を行うという共通の目的を有する被告国と電力各社との間で、原電の安全性を確保するための規制権限が適正に行使されることは構造的に期待できず、むしろ両者の関係性が原発の危険性を増幅させる根本的な要因となり、このようにして増幅された原発の危険性がまさにあの福島第一原発事故で顕在化した。

 福島第一原発事故は、人類史上最大・最悪の環境破壊事件、産業公害事件であり、日本国民に対する最大・最悪の加害行為である。その加害の構造を基礎付ける最大の特徴は、被告国と電力会社との間での安全を確保するという点での規制する側とされる側という関係が実質的に成り立たず、むしろ原発を推進するという共通目的のもとで「安全神話」を振りまき続けた、この、国と電力会社の二者による共同不法行為性にある。

9 福島第一原発事故以降,国策民間事業(国営事業)としての原発事業を維持・推進すること自体が、国民の平和的生存権・人格権・環境権を脅かす不法行為に他ならないことがはっきりした。これが本訴における被告国に対する差止請求の第2の根拠である。

10 しかしこの裁判で、原告は国に対して公権力の行使によって浜岡原発の操業を差し止めすることを求めているわけではない。浜岡原発が存在していること自体によって、原告の生存権・人格権が侵害されていることを根拠に、国に対し公権力によらない行政指導ないし事業行為といった非権力的行為によっての操業差し止めを求めている。

従って民事訴訟として適法である。

11:30 阿部弁護士;

 第五次訴訟が主張したことは、第四次までと同じ。今日改めて立証責任の問題を確認したい。訴状の20ページ以降に書いてある。 

 本件は、生存権、環境権、人格権を求める訴え。

 2007年10月26日の静岡地裁判決では、次のように言っている。

 「原子炉施設の内包する危険性、原子炉の利用に対する国の規制及びその保護法益に加え、子炉施設の安全設計、安全管理等に関する資料の大部分を被告が所有し、証拠が偏在していること、企業秘密等の制約があるため原告らが立証に必要な資料を入手することが困難であることなどの事情に照らせば、被告は、当該原子炉施設が原子炉等規制法及び関連法令の規制に従って設置、運転されていることについてまず主張立証する必要があり、被告がその主張立証を果たさないときは、人格権侵害の具体的危険性の存在を推認するのが相当である。

 そして、被告が原子炉等規制法及び関連法令の規制に従って当該原子炉施設を設置、運転していることを立証したときは、原則どおり、原子炉施設の運転差止を請求する原告らにおいて、上記国の諸規則では原子炉施設の安全性が確保されないことを具体的に根拠を示して主張立証すべきである。」と言っている。

 被告中電は、国の政策に従って法律にのっとって進めていると主張しているが、この判決をよったものと思う。

 しかし、福島の原発事故を目の当たりにすると、このような論理は破綻している。現在の安全基準に従っていたことを主張立証するだけでは足らない。

 金沢地裁の平成18年3月24日の判決では、「原子力発電所は大量の放射性物質を内蔵しており、何の対策も講ぜず運転すれば、住民に大量の放射線被ばくの恐れがあり、被告は、高度かつ複雑な科学技術を用いて放射性物質の核分裂反応を制御しながら臨界を維持するよう本件原子炉を設計するとともに、多重防護の考え方に基づいて各種の安全保護設備を設計しており、本件原子炉施設におけるこれらの安全設計及び安全管理の方法に関する資料はすべて被告が保有している。

 この事実に鑑みれば、原告らにおいて、被告の安全設計や安全管理の方法に不備があり、本件原子炉の運転により原告らが許容限度を超える放射線を被ばくする具体的可能性があることを相当程度立証した場合には、公平の観点から、被告において、原告らが指摘する『許容限度を超える放射線被ばくの具体的危険』が存在しないことについて具体的根拠を示し、かつ、必要な資料を提出して反証を尽くすべきであり、これをしない場合は、『許容限度を超える放射線被ばくの具体的危険』の存在を推認すべきである。」と述べている。

 原発そのものが科学技術を駆使しているとすると、最終的にどこに立脚するか、二度と事故を引き起こしてはならないとすると、具体的危険性とはどの程度のことを言うのか、一般的には言えない。具体的危険性と言っても、抽象的な指摘で足りる。

 原発の安全性に関して、事故の確率は隕石の落下と同程度だとよく言われる。万分の1、10万分の1の確率で安全神話のもとになっている。商業用原発の過酷事故は、これまでスリーマイルアイランド、チェルノブイリ、福島の3つとなっているが、福島の事故は、1,2,3回と数えると、人類の存在を脅かすのは5回も起きている。

11:37 大橋弁護士;裁判官に新たに5次の訴状を提出した。なぜ浜松支部に提出したのか。この地域の住民と一緒に住む裁判官に、浜岡原発のことを地域住民と一緒に考えてほしいとして起こした。

 我々の願いを受け止めてほしい。

 これまでの裁判で、担当の裁判官は、こうすればよかったという反省の弁を述べているが、浜岡原発の問題点はどこにあるのか、真剣に受け止めてはいない。

 なぜこういうことを言うのか。155人の原告を35人に絞ったのは、印紙問題が絡んでいる。5千円から1万円になるのは大したことでないかもしれないが、35人は取り下げないとした。

 お金にすり替えられる裁判ではない。公益訴訟だということを原告は代表して提起している。印紙問題に関する訴えは却下だったので、35人になった。九州玄海裁判ではいいとなっていたので、やはり浜松地域が2倍払って、九州は1倍でいいのは、平等の原則に反している。裁判を受ける権利に反する。九州では6000人が訴訟を起こした。

 この点で争うつもりはないが、審議の方針で、国は却下を求めているが、公正な判断をしてほしい。非難めいたことを言ったが、危険な原発、人類の安全についてもっと考えてほしい。

11:43 裁判長;以上でいいか。被告側は、求釈明もあり、反論の用意があるとのことか。

 被告中電;7月の審査が出てから反論をしたい。

 被告国; 原告の準備書面に対する主張は、他の6次訴訟もあるとのことで、合わせて準備したい。

 裁判長;国の基準が7月に示されるので重要だと思う。6次の訴訟は?

 杉尾弁護士;6次は準備している。順次、訴状は用意している。7月の頭くらいを考えているので、次回は8月中下旬あたりでどうか。

 裁判長;8月の夏休みがあるので、9月以降で考えている。9月9日は?

 原告;9月2日どうか。

 裁判長;9月2日は別件が入っている。9月9日の午後は?

 原告側;大丈夫だ。

 裁判長;では次回は、9月9日 15;00から。

 塩沢弁護士;国との関係で、認否しないということか?

 被告国;いまの段階ではそうだ。

 大橋弁護士;どうしてか。

 被告国;答弁書をもらっているが、原告の主張内容が明らかでないので、まだ判断できない。

 裁判長;留保と言うことですか?

 被告国;次回に。原告の意見陳述は続くのか。

 杉尾弁護士;原告としては聞いてほしいと希望する。

 被告国;仮に行われたとして、その位置づけについて、裁判所としての考えをどうか。

 塩沢弁護士;国としてふつう聞くことか。

 裁判長;訴訟上の位置づけについて聞いている。国側の主張だと理解している。

 大橋弁護士;あまり聞きたくないと言うことか。

 被告国;書面があれば出してほしい。

 大橋弁護士;やりますよ。                      11:50終了

 

11:58 地域情報センターで報告集会

 司会;野沢正利(第3次原告団長)

   今日はほとんどの人が傍聴していると思いますので、報告集会では、法廷とまったく同じことでは時間がかかるので、次のように進めます。

  まず弁護団長の田代博之弁護士から挨拶をお願いします。

  田代博之弁護士;第5次訴訟の法廷での陳述がようやく実現した。原告団が裁判をリードする内容を見せつけたことは、感慨深いものがある。

  国を被告にすることについて、印紙問題を裁判所が言ってきたが、我々は、国を相手にすることで余分の印紙を払うのは裁判を受ける権利を侵害すると主張した。左陪審と書記官は従来通りでと言ったが、裁判長一人が職権を乱用して印紙代を請求し、35人の原告となった。原告団が限られるのは遺憾であり、裁判長たるもの、平等に裁判の権利を認めておきながら、この態度は許し難い。裁判長はある種の偏見を持っていると考えられる。例えば、原告の陳述を制限しようとした。

 今日は4人の陳述をしたが、国の代理人は、訴状の認否をしない一方で、原告の陳述は、訴訟上の根拠は何かと聞いたりする姿勢を露わにした。集団でやる公益的裁判では、原告が何回やろうが、やることは当たり前。今日の国の代理人はそんなことも知らないのか。

 民事裁判上のやり方は、原告の意志として聞いていると裁判長は言ったが、当然原告の声に耳を貸していくことは、どこでもやっている。今後とも、国の妨害に屈せず、やっていきたい。

 今日は専門的立場から4人が陳述した。公正な裁判を進めたい。

12:07 司会;今日は4人の原告団の意見陳述をしてもらった。4人の方の感想や言い足りないところがあればお願いします。

林弘文さん;

 陳述は初めてでがたがた震え、詰まってしまった。聞き苦しかったかなと。何に絞って話せばいいか迷った。広島の放射線被害の報告書が長期間出されている。第14集まで出ている。ここ数回の報告書がかなり変わってきている。放射線の被害について、第13集と14集が従来と違うので注目するといい。

 チェルノブイリの悲惨さが克明に出てくる、岩波で翻訳の出ているものがある。今日は触れられなかったが、悲惨さをもっと触れたい。

12:10 小林豊子さん;

 こんなことは初めて。胃が痛んだ。人の心にひそんでいるものに訴える観点で話した。被告の弁護士の人たちを見ると、にやにやしていたり、下を見ていたりで、よし!と思った。裁判官が聞いてくれていると感じた。初めてだったが、みんなと一緒にたたかっていけると思った。

12:12 林克;

 運動を担ってきた立場から発言をした。署名の時に感じた、県民の永久停止・廃炉の声が深いものだと訴えたかった。4分でなければ、もっと訴えたかった。

 県民の思いの深さは、2周年の取り組みの時にも、運動が小さくなっているという報道もあったが、署名の時に向こうから飛んでくる、県民の熱意はまったく変わっていない。

 再稼働がそ上にのぼると、大きなうねりが起こりうると思い、これを裁判長に訴えたかった。県民の意思が反映できる裁判にしていかなければいけない。

12:15 照井健さん;

 今日の陳述は畑田重夫さんが予定であったが、代わりにやった。

 浜岡原発は、福島事故以来、大変心配だ。いろんな本を読んだり、講演を聞いて、知れば知るほど怖い。

 今日話をしなかったが、県の職員として、大地震の時に家をおいて詰めなくてはいけない。本当に心配だ。地震津波の想定では、浜岡原発は異常なしの想定になっている。もし浜岡原発事故があったら、一切待避の機能が働かない。浜岡が再稼働すれば元も子もない。

12:17 司会;弁護士から陳述してもらった。補足を含めて感想をお願いします。

  塩沢弁護士;久しぶりに陳述をして、呂律が回らなかった(そんなことない!の声)。被告・国は、浜岡原発のいかに危険かの反論をしていない。入り口で訴状そのものの却下を求める答弁書を出している。

 代理人が若いので驚いた。27人の代理人の名前が出ている。東京法務局8人、静岡地方法務局4人、静岡地方法務局浜松支局2人、原子力規制庁7人、経済産業省・資源エネルギー庁電力・ガス事業部・政策課、原子力政策課、原子力立地核燃料サイクル産業課など6人。今日はそのうち何人がいるのか。多額の税金が使われる。

 我々の言ったことは、損害賠償ではなく、民事裁判の考えの訴状であることを言った。今日は専門的な話になるので話をしなかったが、公権力の差止めは民事訴訟でという主張をした。行政訴訟でやれ、民事でやるべきでないというのが国の姿勢。次回きちんと反論したい。

 1万円の損害賠償請求を求める民事訴訟なら、国は文句を言えない。国が原発推進を止めようとしないので、九州ではやっている。お金がほしいのではない。損害賠償を入れると、きちんと国から答弁を求めることができる。精神的苦痛に対して3年ごとに慰謝料を求めればいいので、原告とも相談したい。

12:23 阿部弁護士;立証責任のことを述べた。原告側が原発は危険だと立証できればいいが、どの程度分配していくかが重要な論点だ。基本的には原告が立証しないと原告が敗ける。その通りやると敗ける。科学者・技術者を用意しても、そこまではやれない。形式的分配ではだめなので、被告に立証せよと述べた。かなり重要なことだったので、それに絞った。

12:25 司会;名古屋から毎回駆けつけてくれる北村弁護士、お願いします。

 北村弁護士;本庁の裁判にも行っているが、傍聴が埋まっていないのでさみしい。一方、マスコミは10人近くで、たくさん来ている。原告は人数は少ないが頑張っている。原告同士のつながりがやれていない。

 仮処分の件では、感謝している。もっと連携をしたいと本庁の弁護団は言っている。

 脱原発の全国の集まりがあり、六ヶ所村に行ってきた。青森も遠いが、そこから3時間かかる。やはり遠い。そこでの説明を聞くと、六ケ所村はまったく機能していない。放射性廃棄物の埋める場所は日本にはない。埋める技術もない。

 脱原発全国弁護団の動きは、九州・玄海原発が6000人の原告、北海道・泊原発が2000人の原告、浜松はベスト5くらいの人数で、すごいですよ。

 東京高裁の先行訴訟、実は7月から来年の3月まで、学者、技術者の予定が入ったが、中電の再稼働計画が2015年に延びたので、9月から尋問開始になる。本格的に東京高裁で証人を通して、我々の主張が展開される。

 大飯原発で、4月に仮処分を認められずの判決だった。内容が問題。従来の裁判での立証責任を踏まえての判決で問題だ。立証責任にも工夫しなくてはいけないとして、3・11以後、東京裁判では変わりつつあると思った。しかし、2年経つと忘れられるのか。これまで通り原告に立証責任を負わせる判決。政府など4者のことを妥当だという。従来と変わらない。

 これまで裁判官が変わったと言ってきたが、実はそうではない。かなり気を引き締めてやる必要がある。7月の基準を踏まえて、やっていく必要がある。

12:32 大橋弁護士;155人の原告を興したから、傍聴者も、もっと多くしないと。2年経つと、裁判所も悪さをする。原告一人一人の厳しい監視の目がないと、うまくいかない。阿部弁護士の正論が裁判所に通らないかもしれない。事故が起こると、人類の生存が危ない。

 こうしておれば、福島の事故は防げたかもしれないという裁判官の声も出てきた。しかし退官した裁判官が言っただけでは意味がない。いまの裁判官が言わないといけない。

 立証責任がどうなっているか。徐々に忘れつつある。安倍は死の商人だ。原発を売りに行っている。そうはいっても林克さんが言っていたように、県民の声が大多数。

 裁判の印紙問題。北村弁護士事務所の若手の弁護士がいい訴状を出してくれたが、35人に絞ったことは残念。75万円払ったとしてもどうこうないが、失ったものは大きい。県民の代表だというのに、裁判官は口が裂けても言えないはず。しかし聞く耳を持たずで、印紙問題を問題にしてきた。

 それだけでなく、なぜ国を相手にするのかと言ってきたが、民事訴訟もやれる、荒唐無稽でない努力をしてきた。原発でもその主張はある。

 検事が聞けばいいのに、言うべきでないことではないのに、その責務があるのに、ここは喧嘩しなくてはいけない。紳士的だけではダメだ。国も中電も力が大きい。真実を言っていけば活路が開ける。ともにたたかおう。

12:40 司会;参加者からの声はどうですか。

田代弁護士;

 反原発、脱原発ののぼりを立てている経済産業省のテント村がある。脱原発の署名活動をやっている。そこが、数か月都民にアピールをしている。最近、経産省がテントを撤去せよと1400万円の損害賠償の訴訟を起こした。第1回の裁判が始まった。私の友人が被告の弁護団長をやっていて、弁護団に入ってくれと言われて入ったが、国は何をたくらんでいるのか。テント村をもとに、反原発のアピールをしているのが、原発輸出をたくらんでいる安倍政権にとって邪魔になっているのか。彼らにとって、有害、邪魔になっているのか。

 提案だが、中電の浜松営業所の近くにテントを張って、市民にアピールするなど、するどい刃を突きつけるのはどうか。やはり、3・11直後は、国民的な心配がみなぎっていたが、劣化しつつある。やり方について、いい知恵を出していけばいいが。

 3月中旬、韓国の民主的弁護団と自由法曹団とが3月14日にシンポジウムを行った。

 もっと国民世論を盛り上げて、参議院選挙で意思を示す。もっと高揚した運動をお願いしたい。

12:47 司会;マスコミのみなさん、ありがとうございました。報道をよろしくお願いします。

次回は、9月9日、月曜日15時からです。もっと多くの参加をよろしくお願いします。

12:48   終了   (文責;長坂)(中谷一部編集)