第12回口頭弁論に提出した原告準備書面(7)及び(8)をアップしました
準備書面(7)
http://dp01037492.lolipop.jp/hamaoka/jyunbi_7.pdf
準備書面(8)
第12回口頭弁論に提出した原告準備書面(7)及び(8)をアップしました
準備書面(7)
http://dp01037492.lolipop.jp/hamaoka/jyunbi_7.pdf
準備書面(8)
意見陳述書
平成26年7月28日
静岡地方裁判所浜松支部 御中
原 告 鈴 木 英 治
私は、鈴木英治と申します。所在地は袋井市新池656番地で、浜岡原子力発電所からは、UPZ・緊急防護措置区域の30Km圏内に居住をしています。私は、福島第1原発での深刻な事故を目の当たりにして、日々不安と恐怖にさいなまれています。5才と8才の孫には、私の勤めている職場の保険薬局より「安定ヨウ素剤」を薬剤師の指導のもとに購入し、嫁に「浜岡原発による放射能汚染の発生時には直ちに服用させる」ようにと、「安定ヨウ素剤」を渡しています。
「この間の唯一の救い」は、福島第一原発過酷事故後、時の政府の要請と静岡県民の世論に押されて、浜岡原発の運転が停止されたことです。運転を停止していても、使用済み核燃料からは「崩壊熱」が発生し、引き続き冷却が必要です。現在、中部電力がおこなっている「防波壁」などの安全対策は、そのためにも当然必要とされるものです。
しかし、この安全対策を口実に中部電力は、再稼働をもくろんで今年2月14日に原子力規制委員会に「安全審査」を申請しました。もってのほかのことです。いったい中部電力は、福島第1原発過酷事故から何を学んでいるのでしょうか。
東日本大震災の甚大な被害が、岩手県・宮城県・福島県に集中し、3年あまりがたちました。岩手県・宮城県は、依然として深刻ではありますが、曲がりなりにも復旧・復興への歩みを進めていると言えます。しかし福島第一原発過酷事故の惨禍にみまわれた福島県については、日時がたつにつれ益々深刻な事態に陥っていることが報道されています。
今年3月4日の産経ニュースでは「震災関連死3千超に、長引く避難、福島では『直接死』上回る」として、福島県は「直接死」が、1,607人に対して「関連死」は1,664人になっていると伝え、「原子力災害の深刻さが浮き彫りになった」と報じています。また5月28日付けの中日新聞「特報」欄では、「福島負の連鎖 帰還促す『棄民化政策』 追い込まれる 避難者」と、民が捨てられてゆく様を生々しく伝え、それをフォローすべき自治体職員も、そのはざまで葛藤し「うつ病深刻化」自殺者急増の危険と報じています。
まさに原発過酷事故被災は、ほかの被災とは、異質・異次元なもので、一度起こしてしまえば復旧・復興が出来ないという極度に深刻なものであります。中部電力は、この事こそ学ぶべきです。
今年5月14日に大飯原発再稼働差し止めについて、福井地裁で判決が言い渡され、差し止めの法的根拠として「人格権」を上げました。判決では、「人格権は、憲法上の権利であり(13条・25条)、また人の命を基盤とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。」として「よって立つべき解釈上の指針」としています。
私は、この判決に接して、「この間の唯一の救い」から「ここにこそ根元的救い」があると、深く意を強くしました。浜岡原発は、近く必ず起こると予測されている東海大地震の震源域の真上にあり、福島第一原発よりも放射能被害の発生・被害の深刻度は、より大きく危険と言えます。原子力発電は電気を発生させる数ある手段・方法のひとつにすぎません。そのために、浜岡原発過酷事故が発生して「人格権」が脅かされることには、排除・拒絶されて然るべきです。
私は、静岡県民主医療機関連合会と言う医療団体の事務職員として仕事をしていますが、私達の団体では、医師をはじめ各専門職が、放射線被曝被被害者に寄り添い、ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ、そしてフクシマの医療支援に取り組んでいます。
原発過酷事故では、深刻な放射線被曝の実態がありますが、急性外部被曝・急性障害とともに、これも異質・異次元の被害として低線量内部被曝・晩発性障害の問題があります。広島・長崎の原爆被爆者が、この間「原爆症集団訴訟」を人生最後の命がけの訴訟として起こしましたが、私達の医師団は、全国の裁判所で低線量内部被曝・晩発性障害問題で原爆被爆者を支援する弁論に立っています。
静岡地裁においても、原発過酷事故に対し、日々不安と恐怖にさいなまれている人びとに対し、生きる希望を示した福井地裁の「根元的救い」の判決を踏まえて、浜岡原発をこのまま停止し続け、原発過酷事故への危険度合いを下げ続けて「永久停止」をする判決を、ぜひ出してしてください。
意見陳述書
原告 岡本裕市
「緑と水の環境会議」の岡本裕市と申します。
静岡県東部を中心に、ゴルフ場や空港などの大規模開発による環境破壊を止める活動や、ゴミ・ダイオキシン問題など、くらしと健康を脅かす問題の解決、提案などの活動を行ってきました。
目的とした成果も多く上げてきています。
2011年3月の福島第一原発の大事故は、日本における最大・最悪の環境破壊をもたらしました。
このようなことを、二度とこの国で起こさせてはならない、ましてや浜岡原発で起こさせてはならないと痛感し、原告となりました。
浜岡原発は、想定されている超巨大地震の震源域の真っ只中にあります。
中部電力は、本年2月、原子力規制委員会に新基準の適合性審査請求を行いました。
中部電力のホームページによりますと、4号炉の基準地震動は1200ガルとし、それに対応する耐震工事をするとしておりますが、現に日本で起きた地震による加速度はこの1,200ガルを遥かに上回るものが数多く知られています。
ここ数年間、日本でおきた直下型地震の加速度を紹介します。
2004年新潟県中越地震において新潟県川口町で2,515ガルが計測されています。2008年岩手・宮城内陸地震において岩手県厳美町で4,022ガルを計測しました。
この時は、上下動だけでも3,866ガルでした。
直下型地震の凄さを示すものです。
直下型ではありませんが、2011年東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖
地震では、宮城県栗原市で2,933ガルが記録されています。
1,000ガルを超える加速度は、地上にあるどんな重いものも飛び上がらせるものです。
1万トンあろうが100万トンあろうが飛び上がります。
このような直下型地震の加速度の知見がありながら、浜岡原発で想定すべき加速度
は1,200ガルでいいのでしょうか。
これらの直下型地震の知見から見れば、中部電力の行っている耐震補強はきわめて
不十分なものです。
本来、建設すべきでないところに造った浜岡原発は、永久停止・廃炉にするしか人
類のとるべき道はありません。
意見陳述書
平成26年7月28日
静岡地方裁判所浜松支部 御中
原 告 板 垣 和 子
私は,浜岡原発から80キロの地,沼津市に住む板垣和子と申します。
浜岡原発1号機が建設される1971年,科学者による「風船とばし実験」でも多数の風船が沼津に着地しました。福島第一原発のようなことが起きれば,あの放射性雲は容易にやってくるでしょう。
私は,2009年8月11日の早朝に起きた駿河湾を震源とする「駿河湾地震(M6.5)」の話から,意見陳述を始めさせていただきます。駐車場の車が波をうっている光景を見て,「いよいよ東海地震が来たか。」と大変びっくりしたことを覚えております。
この駿河湾地震で,浜岡原発では60件を超す事故・トラブルが確認され,原子炉の制御にかかわる事故の他,地盤の沈下や隆起,道路の亀裂などが発生し,排気筒から放射性物質が排出されました。その中でも5号機は,3,4号機の2倍の地震動が観測され,耐震設計値(安政地震M8.4)を超えてしまいました。
東海地震は,駿河湾地震の数百倍のエネルギー,地震の揺れは10数倍・100秒以上続き,ほとんどの地域で震度6強から7と,駿河湾地震とは規模も被害も比較になりません。
そこで,私たちは日頃,浜岡原発の危険を考えている13団体2個人で,2010年の1月,「浜岡原発即時停止を求める署名ネットワーク」を立ち上げました。その時の事務局長が私です。学習会や街頭宣伝,署名行動を各地で展開しました。
私も各地から学習講師に呼ばれました。学習会で,女性たちから,「原発って聞くだけで難しいから,やさしく話してほしい。」と言われ,図を示しながら話すと,「原子炉も大変だけど,配管などたくさんの計器類も壊れたらダメなんでしょ。」などの素朴な質問が出されました。
浜岡原発のある地元は,浜岡原発で働いている人や,交付金などの関係もあって,住民自身の行動には難しさがあります。それでも,地元にある「浜岡原発の危険から住民を守る会」の人たちは,住民の「街頭宣伝に仕事をしながらじっと聞き入る様子」に感動したと話していました。
街頭署名でも,これまでの雰囲気とは違い,署名の支度をしている時から列ができるなど,駿河湾地震から東海地震への心配がうかがえました。署名活動の際,「チェルノブイリ事故では,子どもの甲状腺がんが多いと聞きます。」と言う子ども連れのお母さん。「原発は必要だが,浜岡だけは。」と言う男性。「息子や娘が浜岡の近くに住んでいて心配。」と言う年配のお母さん。「僕も署名を手伝います。」と飛び入り参加する若者など,これまでになく関心が高かったように思います。署名期間実質5か月の中で,20,551筆を経済産業省に提出しました。応対した若い3人の官僚に対して,「中部電力は,固い地盤の上に原子炉は建っているから大丈夫だと言っていた。5号機の下をボーリングしたら,砂の比率が多くて地盤は軟弱だったのではないか。」と問いましたが,原子力安全・保安院の回答は,「今,専門家に委ねて審査中である。」というものでした。その後にも納得は得られていません。
この駿河湾地震は,中部電力にとって想定外だったと思います。中部電力の原発の依存度は10数パーセントです。浜岡原発を廃炉にすることは可能だということを申し上げます。
意見陳述書
平成26年7月28日
静岡地方裁判所浜松支部 御中
原告 石 田 義 明
伊豆の国市の石田と申します。
今後30年以内に88%の確率で発生すると予想されている東海大地震。その規模は東海・東南海・南海地震、三連動の超巨大地震となる可能性が指摘されています。
浜岡原発はその震源域の真上にあって、「世界で最も危険な原発」と言われており、日本の大動脈・太平洋ベルト地帯のど真ん中での原発事故は、日本全体にとてつもない被害をもたらすことは必至です。浜岡から80キロ、事故が起きたら「避難勧告地域」に入る伊豆半島が、浜岡原発に無関係であるはずはありません。
2011年の東北大地震と、伊豆から300キロも離れた福島第一原発の事故によって、全国有数の観光地である伊豆は、観光客が激減しました。被災前の3割、5割しか客が来ない年が続き、宿泊業、観光施設、交通関係は大きな打撃を受けました。
伊豆の国市では「湯もとや」「こだま荘」など老舗の5つの旅館が廃業に追い込まれ、みやげの温泉饅頭の店は4軒、飲食関係の店も10軒以上が店をたたみました。
私は民生委員をしていますが、震災前4人程度だった生活保護受給者は、震災後、15名に急増し、現在も12~3名の方が受給されています。新たに受給者となった方は、もと旅館の従業員や調理師、廃業した芸者さんやコンパニオンなどで、震災・原発の観光不況さえなければ、そのような窮状には陥らなかったはずの方々です。
まさに、観光業は平穏な日常生活の上に成り立っている「平和産業」であり、災害は伊豆の死活問題に直結することを、多くの方が痛感したのです。
3.11を経験して、原発に対する人々の意識は大きく変わりました。電気代の高い低いより、人の命や人々の生活環境の方がよほど大事、かけがえのないものだという認識が高まりました。浜岡原発に対する見方も大きく変わりました。
伊豆の国市議会は2011年9月に、「浜岡原発の『永久停止・廃炉』こそが安全安心の最良の選択である」とする国への意見書を、満場一致で採択しました。同様の意見書は伊豆市・三島市はじめ、熱海・河津・西伊豆・南伊豆・松崎町など10余の市町でも採択されており、「浜岡原発を永久停止・廃炉に」の声は、伊豆半島全体の声といっても過言ではないのです。
裁判官の皆さん、どうぞ福島原発の被害の甚大さに真摯に向き合ってください。万一の浜岡原発の事故の、恐ろしいほどの深刻さに思いを馳せて下さい。
私は何も大それたことを求めているのではありません。伊豆の田舎で、孫子や家族とともに、地域の皆さんとともに、安全で、平穏に暮らしていきたい、ただそれだけを求めているのです。電力会社も、さらには政府であっても、私の、この、ごく当たり前の願いを踏みにじることは許されないはずです。
再度申し上げます。私たちは「世界一危険な」浜岡原発の至近距離で暮らしているのです。
原発という類例のない危険性を持つ事業に、万々が一の事故を絶対に起こさせない未然の防止策を、司法の責任で示してください。「浜岡原発の『永久停止・廃炉』こそが安全安心の最良の選択である」という、伊豆の各地の議会の見識をぜひ検討していただくことをお願いして、私の陳述といたします。