カフェバー・ハーフタイム

above us only sky 人の上にあるのは空だけ みんな平等って意味だろ ジョン? 

カトリーナはやくざによる原爆の報復というほどの悲劇と希望

2005-09-17 06:26:14 | Weblog
理解できないものは神が創ったことにしてしまう
アメリカ人が多い事を9月12日に書いたが、
タイトル「ハリケーンも恋も自然なことなんだ」
と「台風はあなたが作っている。」
アメリカは世界最先端の技術と科学を有すると思う
国であるが、また人権においてもミスはするが同時
に人間愛にも深い努力と理解を示す国民が多い国だ
と思っている。
そのアメリカで、カトリーナは日本のマフィアが
原爆の報復のために手に入れた機器によるものだと
言い出した男がいる。
スコット・スティーブンス氏はアイダホ州のテレビ
局のお天気キャスターで、彼のウェブサイトを見る
と「あやしげな、ちょっと??」な人物のようだ。
しかしアメリカを理解する上では、彼の発言には
重要なヒントが隠されているのではないかと思う。

Sankei Webが「カトリーナはやくざの仕事」という
ロス発の記事を載せている。産経新聞大阪版の夕刊
にも載ったらしいが、残念ながら手元には東京版の
朝刊しかなく確認はとれていないが、明日にはこの
なんともいえぬニュースはテレビよって日本全国に
知れ渡るだろう。
「大型ハリケーン・カトリーナは日本のヤクザが
起こしたもので、台風を人工的に作り出すために
1976年(約30年も前だ)に当時のソ連が開発し
た機器があり、80年代に他国に売却されたものを
手に入れたということだ。ヤクザはこの気象兵器に
よって原爆の報復を果たすが・・・本当の狙いは
先物取引で大もうけするため・・・」
なんか途中で書いているのがアホらしくなってくる
内容である。しかし「バカじゃねぇ!」と笑って
すますのは簡単である。
あれは実は日本製で過去に蒙古に2回使ったという
のはおもしろい。
まるで相手にしないほうが優越感を持てるかもしれ
ない。しかし、少し考えてみよう。なぜヤクザに
反応して、ヤクザが持ってるわけねーじゃんで
済ますのか?
そんな機械があるわけねーだろ!で終わらせるのか。
すでに30を越えるブログで取り上げられているが
もう少し警戒しても良いのではないかな?
もうちょっとアメリカ人を研究してもいいのでは
ないかな?
彼は、ただのお天気キャスターではあるが、それで
も「ジャパニーズ マフィア」と日本の~という
表現を使っているのだ。
確かに「ふざけた話」だ。しかしなぜこのような男
の戯言に40を越えるアメリカのラジオ局がコメント
を求めたのだろうか?

9.11が4年たって映画化が動き出したように
カトリーナもまたハリウッド好みの脚本に仕立てられ
いつの日か映画化されるのであろう。
そのときには、今回のように日本のやくざ陰謀説や
日本ホラーのヒットが参考にされ、日本人の恨みが
生んだなどということにさせられるかもしれない。
映画の脚本が事実に基づくものがある。同様に人間
の多くが、そこで演じられる人間の気持ちや考えを
代弁していてもおかしくはない。

アメリカ社会にとって、このハリケーン・カトリーナ
の残したものはある意味ここまでも深い。つまり、
あまりにも想像を絶する自然災害に、その被害に、
彼のような人間は、被害の現実から自分が立ち直れず
「誰かのせいにしたくなってしまう」
しないことにはきっと自分が壊れてしまうのかもしれ
ないという恐怖が、深く心の底にまで届き、人間の
誰もが「忘れたいと思うこと、恥ずかしいこととして
封印していた恐怖の箱が開いたようなものである」
彼は職業柄、気象キャスターとして、一般人の平均よ
りもずっと多く天気のことに関わって生きている。
自称・天気の鬼、気象のスペシャリスト、空の神様
なんといわれても自分は「わかったつもり」でいたの
かもしれない。
そこへ、彼のキャスター人生でも初めてであろうカテ
ゴリー5(風速70m以上ー)という最大最強の悪魔
カトリーナが現れた。

悪魔が去ったあとの光景-その頃オレはドイツにいて
テレビが写すあまりに悲惨な映像にのけぞった。
激しい暴風雨によって破壊される建物や流される家屋、
車も恐ろしい映像だが、息をのむ恐さは、カトリーナが
去ったあとの静かな青空の下、波のない水面に浮かぶ
服をきた・・・その姿であった。
日本では過激な映像としてカットされそうな人間の弱さ
強奪を行う人間の悲しさ、避難場所で打ちのめされた
人間の苦しさが、滞在するホテルのすぐ外にあるかの
ように感じられた。

日本でも台風の被害をテレビで見たことはあった。地震
の激しい揺れも体験したし事故の現場に居合わせたこと
もある。しかし、多くのアメリカ人と同様に、今回の
悲劇はあまりにも大きい。「日本人であるオレですら
心が痛んだ。がっくりした。吹っ飛んだ気分になった。」
それはなぜなのか?なぜなんだろ。
それはきっとこういうことだと思う。アメリカ本土に
一度でも旅をしたらきっと理解しやすくなると思うが、
とにかく「アメリカはすごい!」間抜けな表現だが、そ
うとしかいえない。
東京、大阪で暮らし、パリ、ロンドンにスイスやドイツ
カナダでも住み、年間に10回も過去29年ずっと海外
に出かけているオレが思う。「アメリカは1番だ。」
なにが1番か?それはホーム。家、家族、人間が夜には
安心して眠り、朝には笑顔で頑張っていこうとする、
つまり人間の原点とでもいうべき場所の作り方、家並み
街づくり、共同体、都市計画に関しては完璧に思えて
いた。あの国で洪水が起こるなんて考えられなかった。
この国が自然災害にこれほど完敗するなんて思いもしなか
ったのだ。平和の、温かい家庭のモデルが吹っ飛んだ。
海辺のリゾートや山間の別荘が水没したり土砂で埋まった
わけではなく、都市の住人が打ちのめされた。おそらく
先進国では初めての住宅地を襲った大水害であったのでは
ないだろうか?

たいしたことはない。ハリケーンなんていつも来てる。
台風10何号といわれると「またか」程度に思っていた。
しかし、今回のは違っていた。そして人間は敗れた。
こんな事はありえない。気が付けばハリケーンによって
吹き飛ばされたものは被災地の家の屋根だけでなく
自分の心の片隅にあった「恐怖の箱」のふたも吹き飛ん
でいたのだ。
スコット・スティーブンにとって、恐怖はいろいろあった
だろう。しかしそのなかで、彼にはカトリーナの爪あとが
原爆の被災地の光景とだぶったのではないか。
原爆を落とすというような非人道的残虐な行為を行えば
必ずいつの日か復讐されるに違いないという恐れとして
刻まれていたのかもしれない。
恐怖の混乱のなかで、悪しきものとしてギャング、マフィ
アという表現が浮かび、日本と連想してヤクザとなった。
30年前の若き日の彼にとってアメリカの敵、脅威であっ
たものとしてソ連がよみがえったのも不思議ではない。

日本では笑いものになった彼の妄想ではあるが、世界で最も
人間が誇れる国アメリカ、そのアメリカ人である自分の自信
が打ち砕かれ、彼のパンドラの箱は開いてしまったのだ。
もっと多くのアメリカ人の箱も開いたのかもしれない。
ハリケーンは日本のやくざの仕業といってしまうほどの悲劇
が襲ったと考えようではないか。原爆の報復といわせるほど
の恐ろしさに打ちのめされたと察しようではないか。
巨大ハリケーンの発生の原因と対策を知るには科学が必要だが、
カトリーナの残した傷を癒すのは科学ではないかもしれない。

箱のなかに何が残っていたかは日米の多くの人々は知ってい
るはずだから、きっと未来にいつの日か人間は人種や国籍を
超えて、生きていけるだろう。自然とも共存できるに違いない。












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