goo blog サービス終了のお知らせ 

歴史文学さんぽ よんぽ

歴史文学 社会の動き 邪馬台国卑弥呼
文学作者 各種作家 戦国武将

初期俳諧集

2024年06月24日 09時09分01秒 | 俳諧 山口素堂 松尾芭蕉

初期俳諧集

 

それ誹諧は昔より人のもてあそぶ事世ゝにあまぬし。

されどもさかんに起こる事は、中頃伊勢国山田の神官に荒本田守武、また山城田山崎に宗鑑とて、此道の好土侍り。かゝる時よりぞ事あらたまりけるとなん。

されば守武は独吟に千句をつらね、宗鑑は『犬筑波』をしるして、庶この形見とぞなし侍る。

然るにこれらの人もなくなりて以後は、此道すたれたるにや、たえだえ云捨のみとぞ聞え侍る。

しかはあれども、今此御代やしまの外迄もおさまり、国土安全にして民の竈もにぎはふ折からなれば、回筒き賤によらず諸道をおこす故に、誹諧も又盛んにしてけり。

然れば云捨のみに過なん事も、且つは其の興をうしなふにやと、古人の例にまかせて愚筆を染ぬ。

則『守武千句』・『犬筑波集』に右之両本に入りたるはのぞき、其後之発句・付句其様宜しく聞えけるを、身づから書集(掻き集め)て或古老之披見に入、用捨の詞(ことば)をくはへ、そゞろに此一集となし、是を『犬子集』と号(名付け)侍る。抑(そもそも)比(ころ)は寛永八年如月より此かた、二とせ

あまりに国々所々より到来の句をもって、同十年睦月半に記(しるし)終ぬ。しかるを『犬子集』といふ事、『犬筑波』しをしたひて書たる故也。凡そ発句の数は一千五百三十、付句はこれかれ千句に余る。

誠此道に心をよする事切なるによりて、今行末の人口、ことには神慮のとがめをも恐ざるに似たり。

されども和光同塵(わくわうどうぢん)は本より結縁の初とかや。しからば是非をもゆるし給ふべし。返す返すも世上のはばかり其嘲(あざけり)は、ありそ海の浜の真砂の数しらずなん思ひしかども、よし/\本より愚なる身のおもひ出に、なにはの事をもかへりみず、ただ水茎(みづぐき)に任せつゝ、種は尽せぬ言の葉の、ちりひぢ高き、足引の山鳥の尾のしだりおの、なが/\しくも書つゞけ侍る。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。