今でも梅雨になると、心がひどくざわつく。
読書恐怖という強迫観念に苦しんでいた時期を想い出すのである。
特に雨に打たれた濃いブルーの紫陽花を見ると、
なぜか理由もなく哀しい気持ちになることが度々あった。
長い間その理由がわからなかった。
あの紫陽花は、今から思うと当時の私ではなかったのか?
それは10代の頃に遡る。
強迫観念による、激しいとらわれから学校にもいけず、
友達もなく、親からも理解されずに孤独の中で、
自分の未来を描くことができなかった私自身と重なるのである。
読書恐怖とは、単純に読書が出来ない状態のことではない。
激しい完全欲が思想の矛盾を生み出し、完全に身動きがとれない状態である。
七転八倒という言葉があるが、まさしく部屋の中を転げ回るような苦しみであった。
受験という人生の最初のハードルに自分で自分にプレッシャーをかけるのである。
そこには、人に認められたい、そのためには理想の自分でなければならないという切実な感情があったように思う。
今なお森田療法を知らずに当時の私のような苦しみを感じている若い人が、相当数いるのではないか!
そう思うだけで、心が痛む。
神経質症状に悩むすべての若者に、森田療法が届く事を願う!
一日も早く森田療法で立ち直って、青春を謳歌してほしいと思う。
あなたは、45年前の私自身である。
※今日の森田博士の言葉
完全欲が強いのは、神経質者の特徴であります。
完全欲というものは、それをおさえるのではなく、どこまでも際限なく伸してゆかなければなりません。
ほんとうの完全欲とは、どこまでも人間としての向上発展をもとめてやまないものであります。
2024/07/02 一世