今日は私たちの祖先であるガンとどう向き合うかについてミトコンドリアの立場から考えたいと思います。
生命の進化は約20億年前にミトコンドリアの祖先である真性細菌が、私たちの細胞の祖先である古細菌に共生したところから始まりました。ミトコンドリアを取り込むことによって古細菌は莫大なエネルギーを手に入れることができ、真核細胞に進化しました。さらに、ミトコンドリアが指揮するアポトーシスという細胞の自殺のシステムは細胞の無秩序な増殖、すなわちガン化を抑えることによって多細胞化と個体形成を可能にしました。
人が不老長寿を願うのは、祖先が利己的欲望に従って増え続けることだけを求めていたガン細胞だったからです。しかし、不老不死のガン細胞に進化はありませんでした。細胞はお互いが協力して助け合わなければ人間という個体に進化することはなかったのです。ガン細胞は試験官の中では永遠に分裂し続けます。しかし、ガン細胞は、個体の中で無秩序に増殖することによって正常細胞の機能を障害し、個体の崩壊とともに自らも死に至らしめます。ガン細胞は抑えのきかない傍若無人な振る舞いによって自滅しているのです。
細胞はさまざまな不死化制御装置を備え付け、ミトコンドリアと協力してガン化を抑え、生命を進化させてきました。マウスの体細胞は不死化制御装置が働きにくく、3年足らずの寿命の間にほとんどがガンで命を落とします。人間も一生のうちに二人に一人はガンになります。遺伝的素因や生活習慣などが加齢とともにガン細胞の発生を許しやすくするのです。
ガン化を企てる細胞はほとんどの場合、ガン化監視システムが配備する発ガンを抑えるタンパク質(遺伝子の守護神p53など)に見つかって排除されます。発ガンを抑えるタンパク質は、いわば助さん、格さんのような存在です。助さん、格さんは、細胞が無秩序に増殖しようと画策していることをミト(水戸)コンドリア(黄門)に知らせます。ミトコンドリアはこれを受け、シトクローム c(ミトコンドリアの体の一部でアポトーシスを誘導する)という印籠をかざしてガン細胞(悪代官)をひれ伏せさせます。「神妙にアポトーシスの裁きを受けよ」というご老侯の命令です。ガン細胞が開き直り、増殖を始めても、次に登場するガン免疫がガン細胞を退治してくれます。リンパ球の一種であるナチュラル・キラー細胞こと必殺仕置人(中村主水)が振るう剣の裁きを受けることになるのです。こういった二重の不死化制御システムを突破してどんどん増殖するのがガンです。
このような極悪人に抗ガン剤で真っ向勝負を挑んでも勝てる相手ではありません。現時点でガンを根治できる唯一の方法は早期発見、早期手術でガン細胞を完全に取り除くことです。しかし、手術不能の進行ガンにはどのように向き合えばいいのでしょうか。ガン細胞も自分のからだの一部です。ガン化する前は個体のために一生懸命働いてくれたのです。むしろ酷使し過ぎたことがガン化を促したのかも知れません。そう考えれば、ただガンを憎むのではなく、愛情を持って接する事はできないでしょうか。ガン細胞がミトコンドリアの声に耳を傾け、再び周囲の細胞と調和して生きていけるように矯正してやることが理想的なガン治療なのです。
このブログは風詠社出版の『長生きしたければミトコンドリアの声を聞け』の一部を抜粋、編集したものです。小著では少子高齢化社会を生き抜く真のサクセスフル・エイジングとは何かをテーマに、健康長寿を目指す「人」と「社会」に向けてミトコンドリアの立場と視点からメッセージを送っています。
生命の進化は約20億年前にミトコンドリアの祖先である真性細菌が、私たちの細胞の祖先である古細菌に共生したところから始まりました。ミトコンドリアを取り込むことによって古細菌は莫大なエネルギーを手に入れることができ、真核細胞に進化しました。さらに、ミトコンドリアが指揮するアポトーシスという細胞の自殺のシステムは細胞の無秩序な増殖、すなわちガン化を抑えることによって多細胞化と個体形成を可能にしました。
人が不老長寿を願うのは、祖先が利己的欲望に従って増え続けることだけを求めていたガン細胞だったからです。しかし、不老不死のガン細胞に進化はありませんでした。細胞はお互いが協力して助け合わなければ人間という個体に進化することはなかったのです。ガン細胞は試験官の中では永遠に分裂し続けます。しかし、ガン細胞は、個体の中で無秩序に増殖することによって正常細胞の機能を障害し、個体の崩壊とともに自らも死に至らしめます。ガン細胞は抑えのきかない傍若無人な振る舞いによって自滅しているのです。
細胞はさまざまな不死化制御装置を備え付け、ミトコンドリアと協力してガン化を抑え、生命を進化させてきました。マウスの体細胞は不死化制御装置が働きにくく、3年足らずの寿命の間にほとんどがガンで命を落とします。人間も一生のうちに二人に一人はガンになります。遺伝的素因や生活習慣などが加齢とともにガン細胞の発生を許しやすくするのです。
ガン化を企てる細胞はほとんどの場合、ガン化監視システムが配備する発ガンを抑えるタンパク質(遺伝子の守護神p53など)に見つかって排除されます。発ガンを抑えるタンパク質は、いわば助さん、格さんのような存在です。助さん、格さんは、細胞が無秩序に増殖しようと画策していることをミト(水戸)コンドリア(黄門)に知らせます。ミトコンドリアはこれを受け、シトクローム c(ミトコンドリアの体の一部でアポトーシスを誘導する)という印籠をかざしてガン細胞(悪代官)をひれ伏せさせます。「神妙にアポトーシスの裁きを受けよ」というご老侯の命令です。ガン細胞が開き直り、増殖を始めても、次に登場するガン免疫がガン細胞を退治してくれます。リンパ球の一種であるナチュラル・キラー細胞こと必殺仕置人(中村主水)が振るう剣の裁きを受けることになるのです。こういった二重の不死化制御システムを突破してどんどん増殖するのがガンです。

このような極悪人に抗ガン剤で真っ向勝負を挑んでも勝てる相手ではありません。現時点でガンを根治できる唯一の方法は早期発見、早期手術でガン細胞を完全に取り除くことです。しかし、手術不能の進行ガンにはどのように向き合えばいいのでしょうか。ガン細胞も自分のからだの一部です。ガン化する前は個体のために一生懸命働いてくれたのです。むしろ酷使し過ぎたことがガン化を促したのかも知れません。そう考えれば、ただガンを憎むのではなく、愛情を持って接する事はできないでしょうか。ガン細胞がミトコンドリアの声に耳を傾け、再び周囲の細胞と調和して生きていけるように矯正してやることが理想的なガン治療なのです。
このブログは風詠社出版の『長生きしたければミトコンドリアの声を聞け』の一部を抜粋、編集したものです。小著では少子高齢化社会を生き抜く真のサクセスフル・エイジングとは何かをテーマに、健康長寿を目指す「人」と「社会」に向けてミトコンドリアの立場と視点からメッセージを送っています。
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