goo blog サービス終了のお知らせ 

長生きしたければミトコンドリアの声を聞け

循環器と抗加齢医学の専門医がミトコンドリアの立場からみて、健康長寿を目指す「人」と「社会」に送るメッセージ

コロナ重症化予防には生活習慣病を正しく治療

2021-01-30 08:03:41 | 健康
緊急事態宣言が発出されて久しいですが、未だにコロナウイルスは猛威を振るっています。どうやら感染者数の増加には歯止めがかかってきましたが、一方で重症者数は減少の兆しが見えません。
コロナ感染症は軽症であれば、いわゆる「カゼ症候群」として3-4日で熱や感冒症状は快方に向かいます。同じくカゼ症候群を引き起こすインフルエンザは初期の症状としてはコロナ感染症よりも強烈です。ところが、コロナとインフルエンザが決定的に異なるところは、インフルエンザが数日で治るのに対して、コロナではいったん落ち着きかけた症状が再度悪化して重症化することです。
コロナとインフルエンザの病状がこんなにも違うのは、コロナとインフルエンザでは感染する体の部位が異なるからです。インフルエンザウイルスは基本的には鼻腔、咽頭、気管支といった上気道にしか感染しませんが、コロナウイルスは肺や血管にも受容体を持っていて、人体が上気道での攻防でウイルスに敗れた際には、肺や血管にまで侵攻していくのです。こうなると、発症一週間くらいからさらに熱が上昇し、呼吸困難が出現、最終的には全身的な血栓症に進展して死に至ることがあります。
コロナ感染症の重症化はなぜ起きるのでしょうか。これまでの知見を総合すれば、肺や血管に持病がある人が重症化しやすいことがわかってきました。若年者に軽症が多く、高齢者が重症化しやすいのは、高齢者では肺や血管に基礎疾患を持っている人が多いからだと推察されます。
高齢者では心不全、喫煙や睡眠時無呼吸で肺に十分な酸素を取り込めない人が多く存在します。高血圧の人では、高い血圧が血管内皮細胞を傷害して、コロナウイルスによる血管のダメージが増強し、血栓を形成し易くなります。糖尿病も高い血糖が血管内皮細胞を傷害して、コロナウイルスが血管で猛威を振るいやすくなります。腎臓の機能が弱っている人がコロナ感染症で重症化し易いのは、血液透析などで抵抗力が低下していること以外に、基礎疾患としての高血圧や糖尿病が重症化して結果として、腎機能障害を発症したことが挙げられます。
コロナ感染症を重症化させないために大切なことは、禁煙し、高血圧、糖尿病、腎臓病といった基礎疾患をしっかりと治療することではないかと思います。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。