怠惰なひな菊

漫画家・萩原玲二(はぎわられいじ)の怠惰なブログ(2006~2019)

ベニスに死す/ルキノ・ヴィスコンティ(2)

2006-12-11 02:34:19 | 映画


先日BSで放映されていた、ヴィスコンティの『ベニスに死す』〔1971〕は、今でも「801映画の最高峰」という位置づけでよろしいのだろうか?
なんとかロードで、腐女子の皆さんの認識を知りたいところ(最近の女子はヴィスコンティなんぞ、観ないかな?)。

この作品、20歳くらいに観たときは、なんて鼻持ちならん気味の悪い映画だろうと思ったものだった。
それは、ナイーブゆえの保守反動的リアクションであって、おっさんになった今、この作品が何をいわんとしているか痛いほどよくわかる(苦笑)。
まあ、なんと甘くて麻薬のような映画だろう。
ビヨルン・アンドレセンの美少年っぷりは、シルヴァーナ・マンガーノの母親が「タッジュー」と呼ぶ、声の響きと相まって、ギャグすれすれのお耽美をわれわれに堪能させる。
あれは、ダーク・ボガードでなくても「ほう‥‥‥」って顔するよ(笑)。

フラッシュバックで、ダーク・ボガードの主人公がかつて娼婦を買ったエピソードが出てきて、その娼婦がピアノで「エリーゼのために」を弾くシーンがあり―――、ビヨルン・アンドレセンがピアノで同じフレーズを弾くシーンと、つなげて編集されている。
示唆的で、おれがこの映画で一番好きなシーン。

フラッシュバックといえば、折々に出てくる芸術談義の凡庸さは、一体何の意味があるんだろう?
“失笑するため”(!)で、いいんだろうか?



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