先日BSで放映されていた、ヴィスコンティの『ベニスに死す』〔1971〕は、今でも「801映画の最高峰」という位置づけでよろしいのだろうか?
なんとかロードで、腐女子の皆さんの認識を知りたいところ(最近の女子はヴィスコンティなんぞ、観ないかな?)。
この作品、20歳くらいに観たときは、なんて鼻持ちならん気味の悪い映画だろうと思ったものだった。
それは、ナイーブゆえの保守反動的リアクションであって、おっさんになった今、この作品が何をいわんとしているか痛いほどよくわかる(苦笑)。
まあ、なんと甘くて麻薬のような映画だろう。
ビヨルン・アンドレセンの美少年っぷりは、シルヴァーナ・マンガーノの母親が「タッジュー」と呼ぶ、声の響きと相まって、ギャグすれすれのお耽美をわれわれに堪能させる。
あれは、ダーク・ボガードでなくても「ほう‥‥‥」って顔するよ(笑)。
フラッシュバックで、ダーク・ボガードの主人公がかつて娼婦を買ったエピソードが出てきて、その娼婦がピアノで「エリーゼのために」を弾くシーンがあり―――、ビヨルン・アンドレセンがピアノで同じフレーズを弾くシーンと、つなげて編集されている。
示唆的で、おれがこの映画で一番好きなシーン。
フラッシュバックといえば、折々に出てくる芸術談義の凡庸さは、一体何の意味があるんだろう?
“失笑するため”(!)で、いいんだろうか?