![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/77/d32ad34bff07d40ee1f26e607e23bb59.jpg)
![]() | ルビッチ・タッチ |
「『ルビッチ・タッチ』を楽しく読み通した。著者はルビッチの機知とユーモアを宝物のように慈しむ“ルビッチ崇拝者”のひとりである。そういう私たちの仲間が何と少なくなったことか」〈チャールズ・チャップリン〉 「映画に関心を持つものにとって必読の書である。じつにおもしろい伝記であるばかりでなく、映画史を論じて深い洞察に満ちている」〈ジョゼフ・フォン・スタンバーグ〉 「この上ない興味を持って『ルビッチ・タッチ』を読み終え、この監督について知らなかったことを数多く教えられた。ルビッチの監督としての一生はあらゆるフィルムメイカーが胸に抱く夢そのものだった。見事な成果に拍手を送りたい」〈ジャン・ルノワール〉 | |
国書刊行会 |
↑の書籍の存在を松戸伊勢丹のジュンク堂で知り、5月に発売され、同時にシネマヴェーラ渋谷でルビッチの特集がされていたと、今頃知った。
とりあえず本書の素性を確かめようとぐぐってみると、歴史的名著で、かつ山田宏一氏全面監修のお墨付き!
ふと、図書館の蔵書検索してみたら―――、ある!
松戸の図書館はシネフィル!
近所で現在耐震補強工事中の本館にこそないのだが、松戸市内のどこかの分館にあれば、ネットで予約すれば取り寄せてもらえるのだった。
本館そばの、子ども読書なんとかセンターの出張所で、ほくほくと借りてまいった。
(別に購入するにやぶさかではないのだが!)
‥‥‥
ルビッチは、いささかの前提条件の必要なく、誰しもが問答無用で絶賛せざるをえない、最強クラスの映画作家である‥‥‥
ルビッチのもの凄さは、本書の表紙カバーにもなっている、ディートリッヒ主演の『天使』が昭和12年!の映画であることにもいえるのでは。
非常にスタイリッシュで現代的な作品で―――ことにラストシーンがふるえるほどかっこいい―――これが山中貞雄の遺作『人情紙風船』と同年の作なのである。
ルビッチの、時代の超越ぶりに震撼する。
ガルボ主演の『ニノチカ』が昭和14年。
BS2の「黒澤明が選ぶ世界の名画100本」で、黒澤が本作を選出した際、インタビューで「ワロタ」と評していたガルボの登場シーン↓
Ninotchka (1939) arrives in Paris - YouTube
ソ連の同志を迎えにいって、目星をつけたらナチだったという、「ギャグ」。
「絶対違う」
そして、昭和17年に『生きるべきか死ぬべきか』。
ベルリン生まれのユダヤ系ロシア人が、こういう映画を「英語」でセルロイド・バビロン(ハリウッド)で撮ってしまうというのは、はたしてなんというのか。
今、ハリウッドがシリアを舞台にイスラム国をこきおろすソフィスティケイテッド・セックス・コメディー(艶笑喜劇)を撮るなど、タランティーノにだって不可能であろうし、そういう意味でも、おそろしい作品であるなあ。
しかも、チャップリンの『ザ・グレート・ディクテーター』(昭和15年)の最後のような、直截的アジテーションではない、洗練されまくり、すっとぼけまくった、「メタ」なギャグの波状攻撃!
冒頭のシークェンスの「メタ」ぶりは、これまた時代を超越しすぎていて、悪寒がする。
「ハイル・マイセルフ」
「台本にないぞ!」
↑ここのカットバック、最初観たとき、本当に驚いた。
Three Reasons_ To Be or Not to Be - YouTube
![]() | 生きるべきか死ぬべきか [VHS] |
リュミエールシネマテーク5 [監修]蓮實重彦 山田宏一 | |
日本クラウン |