消費者としては太古にアニメーションを卒業してしまった自分でも、正直1ミリもちゃんと観ていないが『ケムリクサ』は押さえておくべき作品であるようにみえる。
何故か自分は、『ケムリクサ』にピンク・フロイドみを感じ、タイトルからしてサイケデリックみがあるし、『けものフレンズ』が『夜明けの口笛吹き』であるなら『ケムリクサ』は『神秘』ということになろうか。
ということは軍曹先生はシド・バレットだったのであり、た監督氏はしたたかなロジャー・ウォーターズというわけだったのだ(!)。
ほんわかキャラが、ほんわかのんびりとプロットを進行しつつ、しかし背後の世界観はけっして目をこらしてはいけない不穏さが充満しているという作劇設計は、今世紀に入ってから優れた映像作家の定番であり続けているようにみえる。
時代の鏡、炭鉱のカナリアというわけなのだ。
3D作画を、TVアニメ初期の拙いリミテッドアニメのぎくしゃくとした表象になんとなくよせて、ハリウッド製のCGインフレーションへの批評をねじこんでくる演出には、た監督氏の非凡をめっちょ感じる。
Pink Floyd - A Saucerful Of Secrets (Forum Musiques)