一筋の光線から海は明け始まる。
太陽の瑞々しさは季節に由来するのだろうか。
波に揺られ嬲られ身を任せてそれを眺める。
海綿の繊維を結んだ網篭に二枚貝を幾つか。
彼の食事に足るように大きな粒のを拾った。
__ さ あの人の処へ届けにゆきましょうか。
私に向かって独り、呟いた。
----
浜が近くなったので顔を出して陸の男を捜す。
少々途方に暮れた風の彼が流木に座っていた。
__ おはよう。少しは眠れたかしら。
波間から呼び掛けると夢から引き戻された顔で私を認めた。
__ 火は大丈夫ね?水場は分かった?
夜更けと同じ眼差し。
動揺を隠して己の記憶を浚い直しているよう。
私もまた苦笑が浮かんでしまう。
太陽が空にある時は、金の髪と青い鱗の尾鰭。
__ ごめんなさいね。 苦笑
__ 私は夕べのシシィよ。私の昼の姿なの。
そして波の及ばない辺りへ、貝などを置いた。
__ これはあなたの食事にして。その為に採ってきたの。
__ 枯れた海綿も持ってきたわ。これで水を溜めて頂戴。
__ あなたに必要なものは探してくるから。
また来るわね。
用事のときは、波に触れて私の名を呼んで。
私に伝わるわ。
じゃあね。
一方的に話してそして、寄せる波へ身を翻した。
彼からの返答を、たぶん私は聞きたくなかった。
同じで、同じでなく。
彼とは違って、当然。
それも勿論、私は納得している。
納得している。でも。
懐かしい人を透かして見ている。
面影を追っているのは勝手な私… それは何処かの心に。
どこかに仕舞う。。。
沈没船や難破船の散った品が眠る海底の洞窟へ潜る。
過去の彼が使っていたような、現在の彼に必要な物。
見つかるわ。
… きっと。
浅い海の波のうねりが海中の、光の柱を揺らめかせる。
覚えていようといまいと… 変わらないものね。
私だけの海にすっと差し込んできた… その様。
空に在るときは「天使の梯子」
そう言って笑った人に。
海の中に差すのは、光の… リボンかな。ゆらゆらして。
君にあげる。 笑 シシィ。
つかの間でも、また恋していられる。
… 出会いの新鮮さが懐かしいのは、、
Alba, Ray / 朝、 光の線
太陽の瑞々しさは季節に由来するのだろうか。
波に揺られ嬲られ身を任せてそれを眺める。
海綿の繊維を結んだ網篭に二枚貝を幾つか。
彼の食事に足るように大きな粒のを拾った。
__ さ あの人の処へ届けにゆきましょうか。
私に向かって独り、呟いた。
----
浜が近くなったので顔を出して陸の男を捜す。
少々途方に暮れた風の彼が流木に座っていた。
__ おはよう。少しは眠れたかしら。
波間から呼び掛けると夢から引き戻された顔で私を認めた。
__ 火は大丈夫ね?水場は分かった?
夜更けと同じ眼差し。
動揺を隠して己の記憶を浚い直しているよう。
私もまた苦笑が浮かんでしまう。
太陽が空にある時は、金の髪と青い鱗の尾鰭。
__ ごめんなさいね。 苦笑
__ 私は夕べのシシィよ。私の昼の姿なの。
そして波の及ばない辺りへ、貝などを置いた。
__ これはあなたの食事にして。その為に採ってきたの。
__ 枯れた海綿も持ってきたわ。これで水を溜めて頂戴。
__ あなたに必要なものは探してくるから。
また来るわね。
用事のときは、波に触れて私の名を呼んで。
私に伝わるわ。
じゃあね。
一方的に話してそして、寄せる波へ身を翻した。
彼からの返答を、たぶん私は聞きたくなかった。
同じで、同じでなく。
彼とは違って、当然。
それも勿論、私は納得している。
納得している。でも。
懐かしい人を透かして見ている。
面影を追っているのは勝手な私… それは何処かの心に。
どこかに仕舞う。。。
沈没船や難破船の散った品が眠る海底の洞窟へ潜る。
過去の彼が使っていたような、現在の彼に必要な物。
見つかるわ。
… きっと。
浅い海の波のうねりが海中の、光の柱を揺らめかせる。
覚えていようといまいと… 変わらないものね。
私だけの海にすっと差し込んできた… その様。
空に在るときは「天使の梯子」
そう言って笑った人に。
海の中に差すのは、光の… リボンかな。ゆらゆらして。
君にあげる。 笑 シシィ。
つかの間でも、また恋していられる。
… 出会いの新鮮さが懐かしいのは、、
Alba, Ray / 朝、 光の線