Stripe Volume

ストライプ ヴォリューム

魂って何でしょうね?

Lifia - Oracle -

2010-01-20 00:00:20 | Verre
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エメラルドの姫君

その頭上に王冠

それらを眺めつつ誇らしく思う気持ち。




目覚めたとき、鮮やかなエメラルドグリーンの波が
潮の様に眠りの沖へ引いていった。




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腕枕の腕の持ち主は、まだ眠っている。




聞いてみても、答えないわね。

思うことがあっても…それを私わかってるって知ってても

答えないわね。。。


もの柔らかに見えて鉄仮面。

ふっと ため息が出る。



王冠が象徴するのは確か、沢山の次元や存在を交いする

という意味だったかしら?

彼の夢が零れたのよね…。



この夢のことはまた何か見るようだったら話そうと思って

ひとまず頭の隅に追いやる。


夕刻まで殺伐と緊張を帯び慌ただしく続いた時間と代わって

それを解きほぐすたおやかに流れた時の余韻にひたりながら。



* * * * * *



ゆるやかに上下する胸の上に ash blondが一筋、光っている。




張りのあるその髪を指に巻き付け、するすると勝手に解けるのを

胸の上で繰り返してみたけれど、まだ目覚めない。



髪でくすぐってやろうかと手を伸ばし掛け

肌の白さについ、自分の腕と比べてみる。

笑 私の方がかなり健康的な色じゃない。



あれだけ外でも演習だのなんだのやっていて

よくまあ日焼けしないものねと可笑しくなった。




艶やかな髪を指に絡めてつんつん引っ張った。




う…ん と目覚めた人、アルディアスは

身体ごとこちらを向き抱き寄せた私にくちづける。


「おはよう。リフィア。」 と言って頬笑んだ。



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Oracle / 託宣
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Lifia - raid・illustration -

2010-01-14 01:14:14 | Verre
襲撃を受けた時の光景です
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Lifia - Sleeping with you -

2010-01-12 13:18:14 | Verre
テラスハウスの鍵を開け、灯りをつけるとやっと落ち着いた。 けれど。
車で送ってもらっても、どうしても1人になりたくなくて彼を引き留めた。


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North・ZONEのやや海浜寄り、旧街と新街の境目あたりで起こった火災は
通り沿いに長く類焼したけれど、その炎の規模の割に死亡者はなかった。


指令本部に戻ったあとも、救助活動にあたったアルディアスは
今日処理する仕事が余計に増えてしまったようだ。

一緒に戻った私も、状況の聞き取りや調書への協力義務にと
否応なく職務へ意識を向けさせられた。 

まだ火災現場は収拾していなかったから、気を取り直した後は
休むゆとりなど皆無で時間が過ぎた。
 
でもかえって良かったかも知れない。  私にとっては。


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「まっすぐ帰るかい?」と聞かれたとき、うなずいてしまったけれど
ほぼ休めなかったのは彼も同じなはずで、まだ本部にいた方が
食事がすぐとれるだけよかったかもしれない。



 ちょっと待っててね。 

 
ダイニングで飲み物のカップを彼の前に置きながら、申し訳ない気分でそう言った。

テーブルに肘を付いて目頭を揉むようにしていた彼は 「いや、大丈夫だよ。」と
頬笑むけれど。

遅い時間に重たい食事はしたくないだろうから、あり合わせの野菜煮込みを
オーブンに温めて貰い 、私はフルーツを切ってサラダを作った。



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食事の後、安らぐ香りのお茶を淹れなおして彼に謝った。


 とても疲れているの、分かってるんだけど。

 ごめんなさい。

アルディアスは、気にしないでいいと言うけれど、つい言ってしまう。

 リビングで悪いけど、ソファベットはあるの。
 用意するから座ってて。
 アルディには少し小さいかもしれないけど。

 
彼の上着を受け取って、皺にならないよう洋服かけに吊るし
持ってきた毛布をソファベッドに広げた。

ダイニングからそれを眺めるアルディアスは
大きく伸びをしながら「ん~」 と返事のようなあくびのような。

見かけよりずっとタフらしいけど、さすがに眠そうだ。


 あの。 横になってていいの。

 私もすこししたら、部屋へ戻るから。
 それまでちょっとだけここに居たい。



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目覚めると、ソファベッドに寝ているのが私で
アルディアスは、私が座ったはずのラグの上で
自分のコートにくるまって、ソファにもたれて
眠っている。

彼にと持ってきた毛布が、彼の大きな上着と一緒に
私に掛けられていた。

少し強引にアルディアスを先に横にさせたのに。

すこしだけ、と思ったのにソファに寄りかかった
先の覚えがない。
あっという間に私は寝てしまったみたい。


慌てて起き上がると、その揺れで彼が目を覚ます。

 おはよう。よく寝てたね。  笑顔でそう言われて、顔が熱くなる。


 寝られなかったでしょ?と聞くと


 歩哨は出来なかったよ と笑う。
 作戦中に比べたら、この位何でもないよ。 そう言って、背筋をのばしている。




時間を見たら、そろそろいつもの起床時間。


 水、貰える? という彼にキッチンへ立ちながら

 この後どうするの?と問うと


 いちど戻って身支度してそれから出勤するよ。と言う返事。


 それだと急いで支度しても朝食は間に合わないわ。 
 ごめんなさい。 と私が謝ると

 
 気にしないでいいよ。 
 いまは余り食べたくないから。 でもリンまで付き合わなくて良いよ。
 食欲あるならちゃんと食べなさい。 と念押しされた。


それからあっという間に身仕舞いし、軽い言葉の代わりを私にくれて
彼は行ってしまった。

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Lifia - Collect a piece of the wind -

2010-01-08 18:18:08 | Verre
少し早い春風のように彼が駆けてきた。


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私の隣に腰を下ろしながら 待たせて(遅くなって)ごめん と同時に
二つ、アルディアスの言葉が伝わってくる。



タイトな軍服がとても似合うけど、彼をしばる責務の象徴でもあるから
それでもここに所属するのは、それには理由があるから
その姿は好きで嫌いで好き。


知らずに眉がひそまっていたらしい。


また謝ってくるアルディアスの、すまなげな表情の唇に指先で触れ
それを一瞬塞いでからまた彼を見つめる位置に顔を戻して、私は首を横に振った。



 そうじゃなくて。
 アルディアスには、アルディアスだけの時間があっていいのよ。




 中央へ戻ることになった凱旋時ね。 
 あの出迎えの人混みに私もいたの。

 帰ってきたときのアルディアスは凍った光みたいに見えたの。
 寒気の下、群衆の曇った熱気が息苦しいくらい淀んでる中で
 あなたの周りだけ冴えざえと冷たくて、そのくせ燃え立つようで。

 雪片を巻き上げて身に纏っている
 氷の焔。 

 熱くても凍ってても傷は負うのよ。


 だけど。
 
 光を跳ね返す氷は美しいものね。 
 キラキラと遊色して皮肉なことに。

 何故凍り付いたのか、人は時にその冷たさを無視する。


 求められる輝きのまま、あなたは役割に一生懸命で自分を振り返らない。

 風みたいに立ち止まらないで。

 立ち止まったら実態が無くなってしまいそうだったの?

 私は見つけられるわ。


 あなたが身の内に抱えていたのはそういう寒さでしょ?

 だからあなたの凍気の渦にね。 
 手を伸ばしたのかもしれない。

 融かせなくてもそれに触れたいと思ったの。

 


 「……リフィアン……」



囁かれた名前にアルディアスの鼓動に耳を澄ませ伏せていた顔を上げ
私は手をのばす。

頬から耳の上をなぞって後ろへ。
彼の髪に指を滑らせて、引き寄せるようにios・dichroiteの瞳を見つめる。


その瞳の中に収束されるとりどりの色。


私は本当に風の欠片を集められたのかもしれなかった。












「ios(イオス・アイオス)」/ギリシア語。 紫紺、菫を意味する。
「ダイクロアイト(dichroite:二色の石)」/見る方向によって違う色を発する「多色性」に由来する
コメント (4)
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