曹達記

ゲーム、特撮、ポケスペ等について比較的長めの文章を書く場所。

2021年2~4月ポケスペ剣盾編感想

2021-05-11 12:07:00 | ポケスペ
大分間が空いてしまった。

とりあえず三回分まとめて箇条書きでつらつらと。

・ポプラ戦突入~終了・ダイマックス異常発生までが三回の流れ。
・ポプラはゲームと何も変わらない感じ。試合中に引退宣言するのは大きな変更点だが。
・そーちゃんがマナブを特訓相手に選ぶ理由だが、自信をつけさせたかったかららしい。でもそれってしーちゃんに責任を感じてないのでは?
・ビートは前々からポプラに目をつけられていたようだ。
・エネルギープラントでの事故とダイマックス異常発生。ゲームではダンデの対応で全部解決してしまい、蚊帳の外に置かれた感じが強かったので、この回での描き方は好感触。
・ソニアを捕まえるダンデ。明らかになにか過去にあった関係であるが、今後の布石として期待したい。
・この回のダンデとキバナの口論から、ソニアがビートの地雷を踏んで怒らせる流れが非常に良い。群像劇でワチャワチャすると話が進みやすい。
・ナックルシティがキバナの出身地である設定、ゲームでもあったっけ?
・「この街で育った悪ガキに侵入不可能な場所はない」と言い切り、ローズと対面するキバナ。言葉に惑わされず相手の真意を探ろうとするなど、ゲームよりも切れ者としてのイメージが強い。
・正真正銘の横紙破りとしてイメージだけ登場するネズ。こちらもどう最終決戦に絡んでくるのか楽しみ。
・マリィの再登場。うーん、ビートやホップと比べてこちらと交差する線が少なすぎる…。
・時系列がピンと来ない。そーちゃんがポプラの前に出たのと同時刻にルミナスメイズの森にしーちゃんとオニオンがいたってこと?なぜ博士たちと同行してない?
・テラがキョダイマックスできる個体だと判明。
・対策が全くできていなかったため敗北したしーちゃん。一度負けたらジムチャレンジも終わりなのか…。
・手持ち探しはそーちゃんが引き継ぐことに。いやそれなら最初からそーちゃんがやってよくない?
・久しぶりにフリーズするしーちゃん。理由はやはり記憶の欠落だったが、これで解決ということで良いのか?
・マナブ、まさかの手持ち増加。そーちゃんが武器持ち縛りで、しーちゃんは手持ちが既に決まっていることから、捕獲役は確かに彼しかいなかった。
・メロンの登場までやってギャグ調で〆。しーちゃんが負けたという重大事象の回の〆がこれでいいの?

なんで今回どうにも感想を書く気持ちが乗らなかったのかと考えてみたのだが、「しーちゃんがジムチャレンジ敗退」という重要展開を迎えたというのに、その葛藤(個人的にはもはや葛藤ですらない、リアクション)が2ページ程度でサラッと流されてしまったことにあるのかなあと。
自分は前々から書いていた通り、二人が同時にジムチャレンジへ挑む展開には無理があると感じていたので、敗退は仕方ないと思う。
だが、やはり初期のプロットを否定するに至ったからには1回ぐらい使って欲しかったのである。
例えば、ブラックが10章の終盤にて心が折れてしまうシーン。
結局は再起してリーグに挑むのだが、そこに至るまではホワイトや手持ちたちの励ましが1回分使って丁寧に描かれた。
勿論、ブラックとしーちゃんではポケモンリーグに挑むモチベーションが段違いであることは明白である。
しかし、そこの葛藤をすっ飛ばして別の話に移るという展開が、どうにもテコ入れ感を強めてしまっているのだ。
何より、これでしーちゃんの役目は終わりでいいのかという蟠りがある。
無論今後も手持ちとの再会は続くので、しーちゃんの出番は当然あると思われるが、ストーリー進行での大きな柱を失ったに等しい。

これは完全な憶測だが、製作陣も二度ジム戦を描くという行為への違和感を早くから感じてないはずはない。最初の段階で無理があったのなら工夫すべきではないだろうか。
どうも剣盾編は立ち上げから定石崩しをしているというより、プロットの練り込み不足を感じてしまう。
ゲーフリからちゃんと情報をもらえてなかったのだろうか?

前作にあたるUSUMについても事前に情報をつかんでいたわけではなく、発表時に編集が大慌てでゲーフリとの交渉にあたったように描かれている(ポケSpediaより、ただし脚色の可能性アリ)。
ただ、14章はUSUM発売でスケジュールがおかしくなったことは察せられるが、ジガルデを出すことは前々から決まっていたし、サンの貯金が全否定される流れも短いながら丁寧に描かれていた。
まあ個人的にはテーマの不明瞭さやハウの扱いなど消化不良な点もいくつかあったが、ジガルデvsネクロズマという終盤の柱はプロットからのずれを大きく感じるものではない。
つまり、「金稼ぎに必死な運び屋と実は資産家の娘である薬屋が、縁のない土地であるアローラのために働く」というプロットが割と強固で、何にでも対応できていたということである。

では、剣盾編はそこのプロットはどうなっているのか。
ダブル主人公なのは10章以降の通常運転だが、二人の目的はずれている。しかしそこへ至る方法が同じなものだから、逆に描けないことが増えているのである。
剣盾というゲームはジムチャレンジ以外の要素がかなり弱いのだが、例えばポケジョブ(ホワイトと被るが…)を片方の主人公に回すとか、手はあったように思える。
初期の感想では立ち上げに時間がなかった形跡を感じると書いたが、ここに来てそれがモロに響いてしまっている。14章はギリギリ着陸に成功したが、剣盾編はこのままではプロットがぐちゃぐちゃになって空中分解しかねない。
そもそも、そーちゃんがジムチャレンジに挑む動機すらサラッと説明されただけなのである。意図的に目的への切迫感を削いでいるのか、時間がないのか…。
Twitterで発見したのだが、「剣盾編のテーマは『自分が本当に心から願うこと』である」という考察があった。
自分としてはかなりしっくり来るテーマであったので、二人にあまりジムチャレンジへの必死さを感じないのは意図的な描き方であると信じたい。

ここ3回について率直な意見を書くと、主人公周りのキャラは魅力的なのに感情が文脈に乗ってこないせいで微妙な感じを受けるのに対し、エネルギープラント周りで描かれた話の方はキャラの感情と展開が噛み合っていてかなり面白いと思えてしまう。
前のラテラルジム戦は割と感情が乗っていたように思えるのだが、どうもアラベスクジム戦はパッとしない上に展開が早すぎる。
この辺の違和感についてはマナブの存在意義に関わってくると思うので、別記事を書くこととし、今回はここで筆を置こうと思う。