曹達記

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2022年3月ポケスペ剣盾編感想

2022-04-19 01:46:00 | ポケスペ
仕事が多忙で感想を書くのに時間がかかってしまった。
頭を落ち着けて書くためには、やはり体力が必要である。

前回、登場人物間の対立構図が今一つ描けていないという指摘をしたが、もはや剣盾編は緩い対立関係のままやっていくことを前提として読むしかないと覚悟を決めた。
個人的には著しく面白さをスポイルする部分なのだが、ここまで緩い対立で来た以上、今さら緊張させるのも無理である。
これはそういうものだと受け入れて今後の感想を書くので、あらかじめご了承いただきたい。


パターナリズムの行く末

オリーヴが再び地下に降りたところから。
ローズの思惑をガラルの保護と再度説明した上で、彼の気質は即断即決で誤解を生みやすいとフォローする。
そこで考えを受け入れるのが、以前にマクワとの凝りを残していたメロンというのはこれまでの文脈を踏まえていて良い。
ただ、マクワとメロンの話がカットされたのは休載という事故である以上仕方ないが、ここでの話に説得力が乗っただけにちょっと残念なことになってしまった。

ビートの名前を本当は覚えていたローズ。
自分に不満をぶつけさせるために、ビートには嘘をつき続けてきたようなのだが…どうも正当化はできないと思わざるを得ない。
結局は自己満足のように思えるし、彼はその不満から過激な行動を取っていたわけだ。
理屈付けについては次を待つとして、ここでは剣盾編のパターナリズムについて見てみたい。

剣盾編について序盤から人間関係に「パターナリズム」があると指摘してきたが、ローズはその最たるものだ。
そもそもパターナリズムとは、「強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援すること」(パターナリズム - Wikipediaより)である。
まさしくゲームにおけるローズの行動原理そのものだし、本作においても変わっていない。
さて、パターナリズムの問題点とは、対象者の自己決定権を阻害することにある。
即ち、「自分がどうしたいか」を決定することを許さず、最良であると思われる選択肢を押し付けることが大きな問題になる。
ローズはビートに対し最良と思われる選択肢、つまり「自らに不満をぶつけて決別させる」という方向性を押し付けたが、結局彼はそれを無視した。自己決定権が勝ったのである。

ただし、ビートはローズへの崇敬の念を維持したままだ。
パターナリズムからの脱却となれば、上位者への反発も同時に出そうなものだが、ビートにはなかった。
これと同じ流れを、ガラル市民からローズに繰り返すのかもしれないと思いはするが…生活が破壊された人もいるだろうし、それはないかもしれない。

剣と盾

ブリムオンの攻撃からムゲンダイナのタイプを見破ったダンデ達は、有効なポケモンを出して攻撃する。
野暮な話だが、図鑑を使えばすぐ分かったような気もするが…もしかしたらUBのようにデータは何もないのかもしれない。

ホップは手持ちに有利なポケモンがいないため迷うが、ネズの「負けなければいい」という助言を受けて参戦。
ここ数回、ホップは迷っているシーンが多い。未熟さと彼の立ち位置の難しさの両方が原因のように思える。
前回でも説明したが、彼はジムチャレンジャーとしての意識が強い。
負けたら命をとられかねない荒事には不慣れだし、ましてや伝説という想像を超えた存在である。
タイプ有利をとれるポケモンがいないなら、戦いへと踏み切るのに迷いが出ても仕方ないだろう。

さて、ぶら下がるシーソーコンビに詰め寄るしーちゃんだったが、手持ちの行方には無関心な二人には流されてしまう。
そしてシーソーコンビは、惨めな状況と稚拙な計画をしーちゃんとソニアにカメラの前で詰られる屈辱を受ける。
ただ手持ちを奪った件について微塵も反省がない以上、これでは足りないとは思う。もう少しキツい目に遭うのではないか。

しらばっくれる二人をよそに、自力で帰ってきたギガとメガ。非常に健気だ。
更に彼らは朽ちた剣と盾も持ってきていたが、そーちゃんはそれらを見るなり強引に取ってしまう。
毒がついていたためすぐには鍛えられず、手間取っている間にムゲンダイナは本気モードを発動しつつあった。
だが、ここに来てそーちゃんは剣と盾を鍛えられないと絶望を露にしたところで次回に続いている。

鍛えられない原因は次で明かされるだろうが、文字が浮かび上がっている点も気になる。
以前はこのような文字はなかったはずだ。
にしても、そーちゃんがここまで感情を露にしたのは作中で初めてではなかろうか。
それほどまでに自らの自信があったものを打ち砕かれた絶望は強いのだろう。


まとめ

ここまで順調に進んできたそーちゃんであったが、今回初めてと言って良いほどの挫折を味わうことになった。
ここからどう巻き返すのか、次回でどのような種明かしがされるのかがポイントになるだろう。

また、そーちゃんといえば以前の話でパターナリズムを発揮していた面もある。
以前書いた(2020年7月ポケスペ剣盾編感想 - 曹達記)が、序盤でのルリナ戦で、彼は敢えて先陣を切って戦うことでしーちゃんにとって非常に有利な状況を作り出した。
しかし当のしーちゃんは事態に困惑し、ラビフットに歩み寄れないほどの焦燥を示していた。
彼女の正々堂々戦いたいという意思を、正面から受け止めずに踏みにじったのである。
しかしその後、彼のパターナリズムはあまり発揮されていないように思える。
どちらかというと彼自身の周りを見ていない気質が強く描かれている印象だ。
この辺りの彼自身の問題も、これから掘り下げが進むと期待したい。


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