
梶本レイカ著
8年前の「箱折り」連続猟奇事件を追い続ける刑事阿久津は苦しんでいた。事件は捜査側により偽の犯人が仕立てられ、ある青年の悲劇と共に闇に葬られていた。阿久津には居場所が無かった。だが、捜査の途上、四鐘医師と出会った時、事件は再び動き出す…。
ツイッターで褒めている人がいたのをみつけて読んでみたが、BLというジャンル云々よりも、独特な絵柄(人物描写)とコマ運び、構図などにどうにも馴染めない。お話のほうはTVドラマ「ハンニバル」の特にシーズン3を連想せずにはいられなかった。(おもにレクター博士と捜査官グレアムの愛の?関係性について)
クロアチア人の祖母を持つという四鐘医師は、マッツ・ミケルセンというよりは「5時に夢中」木曜日のジョナサンに似ているように思う。
この手のお話は、総じて描きつくされ掘り尽くされて、新味を出すのは相当難しいのだろうとは思う。正直なところ、極北とも言うべきTVドラマ版「ハンニバル」のシーズン2があればもう結構なのだ。
以前読んだ漫画「アブラカタブラ」(連続猟奇事件とカリスマ的犯罪者が登場する)は、操りの関係という工夫があった。この「悪魔を憐れむ歌」は、もしハンニバルの影響下なのだとすれば、著者のフィルターを介しての語り直しという感じだろうか。まだ始まったばかりなので予想外の展開もあるのかも知れないが。
BLと言うジャンルはよく知らない。こういう中年男性も描くものなのか。映画「龍馬暗殺」や「戦国自衛隊」なんかもBLなのかもしれない、と思った。