ヘッドフォン祭りにて
発売前のCampfire Audio新作イヤホンSolarisが評判なので、気になってしかたない。これだけでも試聴できればという覚悟で中野へ。Andromeda S買ったばかりなのに何やってるんだろう。へたに興味をもって欲しくなったら大変ではないか。ああ、やはり沼なのか。
solaris
筐体は軽い! 耳に差し込む管の張り出しが長い! 外側の金色もあって装着時の外見はフランケンシュタインのおでこの出っ張りみたいになるかも?
ただし軽いのでいったんうまく耳にはまると落ちない。外側の金色は太陽のイメージなのだろうか。金色が好きな中国を意識したのか? 僕としては棚田のようなふしぎな筐体の凹凸に、むりくりにでも「ソラリスの海」を感じてしまうのだけど。
シングルBAばかり聞いていた一年前の僕はAndromedaを初めて試聴して音場の広さとスケール感に「映画館みたい!」と驚いたが、Solarisはさらに広大。もはやスペクタクル!? という感じ。ただし、音空間になにか紗がかかったような?薄い壁一枚隔てて聞いているような? あれ、ものすごいけどクリヤ感いまいち?という第一印象。
映画館でいえば新宿ミラノ座(今は無い)や、有楽座(今は無い)などでかい映画館で一番後ろの席で鑑賞しているような、施設がでかくて音量もすごいが、音のつやがいまいちでスピーカーが古いのかしら?という感じ。僕はそう感じました。
比べてみようと、ノーマルのAndromedaを試聴させてもらう。やっぱりこちらは空気が澄んでるような、金属のきらめきが際立つような音の輪郭がある。(比喩としての)映画館施設としてはSolarisより少し小さくなるが、それでも十分空間はひろがり、良い音響のスピーカーが近くにあるという感じ。Solarisにこのきらめきがあれば最強なのに! Solarisさわった後だとAndromedaがほんと小さく感じるなあ。
Atlasも試聴させてもらう。ああ「比喩としての映画館」はうんと小さくなったが、音響、とくに重低音が売りの映画館、立川シネマシティのような感じ。Atlasの金属的きらめきとともにある輪郭の確かな太い低音は、音源によっては足下に深い奈落が口を開けたような畏怖感を軽く感じる。それと音圧のアタック感。うーん、脳内シェイク。これはこれで面白い。耳の収まりもそんなに悪くない。某イヤホンショップで試聴させてもらったときは、イヤピースががたがたしていてちゃんと聞けなかったが、静かな環境でじっくり聞けば面白いイヤホンなんだなあとあらためて気づく。高いけどねえ。
再度Solarisを試聴させてもらう。同じ印象を深める。Andromedaは頭蓋の周りに一回り大きい半球型のシェルがあってその周りから音が鳴るように感じる時があるのだけど、Solarisはそのシェルすら取っ払われて、ほんとに広大な空間だ。音の分離もある。低音はアタック感ではなくてスケール感。ただAndromedaやAtlasにあった清明な空気感が、今ひとつ薄い。発売されるころには変化があるだろうか。
CASCADEも試聴させてもらう。両耳にハウジングをはめると無音室の扉を閉めたような、プしゅっと空気の出入りが止まるようなそんな感じ。でも不快では無い。リスニングの期待が高まる。けれど頭に当たるベルトがいたいいたい。ちゃんと調整してないからだろうけれど。
とても面白いヘッドフォンだという評判だったが、まあイヤホンよりはヘッドフォンのほうが有利だと思うけれど、短い試聴ではそれ程のワンダーを感じなかった。