ゆきは「雑種」。。。
等言わずも知れた事実。
「雑種」は丈夫だと老若男女?が異口同音に
言う。
それは恐らく「取り決め」の中の交配
ではなくあらゆる遺伝子が代々混ざって
居るから、その何と言うのか遺伝疾患を
持ち合わせる確立が低い、という事だろうなぁ。
所謂、ミックスといわれる、ここ数年
流行らしいチワワとダックス、マルチーズと
トイプードル、といった犬種名が明らかな
イヌ達間の交配ではなく、正しく「雑種」
本当に何処の馬の骨か判らない愛すべき
「雑種」。
尤も厳密な話、「犬種」等という概念は
おかしいのかも解らないが。
何故なら「イヌ」はどう転んでも「イヌ」
同士でも交配可能なワケで。。。
強いて言えば「品種」?と言うか。。。
「雑種」が丈夫で長生きだ、と言われるのは
何故だろうか。。。
恐らくは作為性の無い骨格も含め、
「イヌ」だからなのかも解らない。
---しかし乍ら---
この拙い飼主の勝手な想像では、もしかして
検査をすれば肝臓、腎臓、内分泌系等、
10才を過ぎた「雑種」にも所見がみられる
様な気がしないでもないが。。。
散歩中、何度と無く耳にした。
「家も前に雑種が居たんだけど16才まで
生きたのよ。。。」
ゆきが大学病院まで行き、色々検査をして
居る事実を知ると驚く飼主さんが結構
居たり。
「雑種」なのにねぇ、と。
生まれは丈夫でも、やはり細胞の劣化、変性、
再生能力の衰えは当たり前に起こるワケで
やはり「雑種」も病気をする。
しかも若くして何等かの疾患に罹患し
亡くなってしまう子等も、生まれ乍らの、
といった子等も居るだろう。
恐らく遺伝疾患の確率は相当低い、と
いう事なのだろうが。。。
何等の疾患の発生には
生活習慣もかなり大切だろうし、
当然、大敵は良くないストレスも疾病発症
には大きく関与する気も。。。
しかしヒトもだろうが、やはり遺伝素因
というモノはかなり重要かも解らない。
ゆきはアグーチ・ルーカス、at型らしい。
何故か解らないが、勝手にatは丈夫かも、
等とずっと思って居た。
恐らく頭の隅の何処かにミニチュアダックス
の毛色が常にあり、かなり多くの毛色の
中ではブラックタンは丈夫らしい、と
憶えてしまって居るからか。。。
単純な飼主。
先程、マジマジと彼女の顔をかなり
間近で見て居た。鼻がくっ付きそうな
程近くで。。。
時折、ゆきが顔を背けた折に
飼主のマスク横に出て居る頬に
冷たい感触が触れる。
ゆきのタンも白くなった。
綺麗な濃い茶がもう見る影も無く
薄い。
この、薄くなった色が彼女の生きて
来た軌跡なのだ、と感慨に耽る。
この上無く愛おしい、年老いた彼女。
パサパサで薄くなった被毛、ガリガリで
焦げ臭い肉球、白斑の現れた鼻、
垂れ下がりテロテロの腹部や、やたらと
肉が集まって来た喉付近、白い目、
歯が殆ど抜け落ち、真夏のキッチンで
目一杯西陽に晒された生魚の匂いの口腔、
ペラペラな耳、曲がった背骨、弱々しい
後肢も。。。
枝毛になった白髪の髭、擦れた声、
元気振る仕草も。。。全て。。。
何もかも、12年間の集大成。。。
もう少しだけ、時間が欲しい。
彼女との時間はあとどれ位残されて
居るのだろう。。。
(画像の新聞は古いもの、H21.10月)