「接触を動かさず・・」「半身の軸を一致・・」「膝腰のゆるみ・・」
「そこで、肩を抜く・・」
そんな、ゆったりした声が広い道場に響く、酷暑の夏。
理科の実験室で、試薬を一つ一つ、試験管の中で化合させるように、
動きを反すうする。 (エアコンなので、注意しながら)
道場は、春夏秋冬、季節の中でやる「身体操作の実験室」なんですね。
熟年者ならば季節の(風情)も楽しめるかもしれません。
(風鈴でもあればよいのですが)
しかし、
一般の熟年仲間はどうも、合気道に対して食わず嫌いの気があるようです。
スポーツと違い、強弱勝敗を競うわけではありません。
「じゃ、何をしてるの?」
説明は面倒なので、しないことにしているのですが、
最近は、こう答えることにしています。
(リンゴを包丁で剥くのに、包丁を動かすより、リンゴを持っている手を動かす
ほうが合理的に剥けるよね。
魚をさばくのに、豚カツを切るように切るより、三枚におろした方が、
楽にきれいにおろせるでしょう、より美味しいし。
それを知らずに、毎回いたずらに包丁を振るうより、
技術を身に付けたほうが、はるかに気持ちいい人生を送れるでしょう)
「何の得があるんだ?」
どうも、そういう何でもかんでもお金に換算するマインドが
ご当人を「大損」に追い込んでる気がするのですが。
そのでんでいけば、
合気道を続けるほど、わたしの純資産はまちがいなく増え続けています。
パソコンでいえば、アプリやデータ容量を増やしているのではなく、
自分という巨大なシステム、そのOSのプログラム自体を書きかえて、
更新しているのですから。
自転車に乗れるようになったり、泳げるようになったりするのは、
自分の肉体と神経の基本OSがバージョンアップすることです。
身体に一度沁み込んだ感覚は、お金に換算できないけれど、
もっと肝心な生命力や感性を、強く豊かにしてくれるのは確かです。
贔屓の引き倒しになってはいけないので、ここで寸止め。
お気楽に訪ねてきてください。(楽心館:中野道場)
今のサブテーマは、
(暑い夏のエアコンなしの道場でも、涼やかに稽古ができるようになる)こと。
動きの精度をあげ、超省エネでやれないものでしょうか。
呼吸法も工夫が要るやもしれませんね。
死ぬまで(まだまだ)がいいなあ・・・
なにげに門をくぐった合気道ですが、
自分を包丁にしてみたり、リンゴになってみたりしながら、
ああでもない、こうでもない、と愉しんでいる次第。
明日か、来月か、来年か、まだ知らない自分に
出逢えることが楽しみです。
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