新・合気道楽心館で熟年バンザイ!

中野体育館道場は中高年シャンゼリゼ、合気道で熱い!
合気道は道場だけじゃない、日々是修行

36 カラオケも・・・合気道だね

2017-05-22 | 日記

突然だが、
アン・ソフィー・フォンオッターという北欧出身の歌姫をご存じだろうか。
メゾソプラノの第一人者で、オペラからポップスまで何でもござれ、プロ中のプロ。
一度ラジオでその美声を聴いたのがきっかけで惹きつけられ、
CDを数枚購入して拝聴しているのだが、
聴くほどに・・素晴らしい声の秘密が気になってくる。
圧倒的な爆発力を聴かせる”剛剣”の声楽家は多いが、
彼女はむしろ、ささやくような声、柔らかいコントロールに魅力を感じる。
力みのない声で、じわーっと圧がかかってくる
表現の豊かさが、正面からくるのでなく、どこからか来るようで、
それが「合気道的」だと感じるのは私見も含めてだが。

発声も身体運動だから、
武道と通底する術理があって不思議はない。
もちろん、呼吸を最終的に声に変換するのは声帯と口腔だが、
それは、武道で言えば手先指先の端末にすぎまい。
・・そう、秘密は、呼吸をコントロールしている胸・腹の奥にある。
彼女の歌を聴いていると、4オクターブもの声を操る
胸腹内部の動きが見えるような気さえする。

絶妙な息を生み出すのは、
大腰筋をはじめとする深層筋と、それに連動して上下する横隔膜、
つまり、上丹田、中丹田、下丹田と使い分けられているのだと推察。
むろん、構えも、軸がしっかりしていて、高音部も低音部も力みがない。
深層筋をいかに柔らかく使っているかがわかる。
声の強弱は、足の裏から膝腰を通った大地のエネルギーと、
天のエネルギーを自在にふりわけて使っているのだ・・と想像。
息そのものがエネルギーの塊でもあるが、
その結果、声帯だけが振動しているのではなく、
横隔膜も腹腔も、肋骨や背骨までが振動しているに違いない。

発声の陰に、ゆるみがあり、入り身があり、接点を通じて気が通り、
圧が継続的にかかる。
幾千、幾万の聴衆は、耳を接点にして彼女に技をかけられ、軸を崩され、
ついには気持ちよく膝を屈せざるを得なくなる・・つまり、感動せずにはいられない。

そんな妄想をしながら聴いていると、
合気道の様々な技が想像させられるから不思議だ。
聴衆を相手に技を掛けているといってもあながち見当はずれではないだろう。
ただただ脱帽。(合気道的な歌姫、youtubeででも、聴いてみてください)

ともあれ、
プロならずとも、カラオケが好きな諸氏は、
自分が歌っている時、呼吸の仕方と声が連動していることに
気付くはず。
初心者は、どうしても口だけしか意識できず、肩に力が入り、
喉の筋肉をしぼって声帯を力任せで震わせるのがわかる。
一方、
カラオケでもベテランともなれば、腹から声を出すという意識が
多かれ少なかれ芽生えていることだろう。
それが、術理まで解して発声できるようになれば、街角のスターになるのも
あながち夢ではないかも。

きっと、合気道をやってるみなさんは、
日頃からちょっと発声の素振りをしていれば
足裏から膝腰、胸から腹の深層筋を意識的に使えるのではなかろうか。
表層筋は力を抜き、下半身と丹田を主体に息を使い、
どんな歌もやわらかくやわらかく歌えば、それなりになるはず。
ただし、音感は別物だから保証の限りじゃないけど。


こんど、カラオケのマイクを握る時は、
合気道を稽古するつもりで挑戦してみよう・・っと。


35 力づくは・・いただけませんね

2017-05-14 | 日記

お久しぶりです。
シニアな頭ですから、どんな技を稽古しようと、相変わらず、基本を体の中で
繰り返し確かめる・・毎回そんな、牛の胃袋のような時間が流れています。
(先生はきっと、もどかしいことでしょう)
いつの間にか、新人の門弟も増え、基本にかえるにはいい機会です。
でも、微妙に、軸の感じ方や呼吸、ゆるみや丹田の上下の使い分けなど、
始めた頃に比べれば、体の割り方がずっときめ細かく感じられる今日この頃。
これだけでも、合気道をはじめた甲斐がありました。はい。


稽古もさることながら、
合気道の術理がいかに普段の生活場面でも汎用性が高いかを
繰り返し、この稿でテーマにあげてきました。
合気道は、普段の暮らしの中で生きる、
その思いは、ますます強まっています。

例えば、
先生に口酸っぱく言われ続けてきた基本、
(強い・速い・重い・・じゃない。一挙動、加速しない、等速直進運動、柔らかく・・)
その一点だけでも、日頃の様々な場面でひんぱんに弊害を目撃、体験します。

無論、
武道的な意味では、(強い・速い・重い)(反動つける・加速する)
といった”力づく”の動きは、相手に読まれ、警戒され、却って抵抗を招くわけですから、
どんな技も意味をなさないというわけです。
皆さんもう、いわずもがなですよね。

先日、
電車の向かい側の席で、若いママさんが、4、5歳の娘に、
大きな声で「どうして、いうことを聞けないの!」
「いつもあれほど言ってるでしょ、ママのことを信用できないの!・・・」
ママがを荒げるほど、娘の泣き声は増すばかり。
感情的に力を入れるほど逆効果になる、よくある光景ですよね。

そんなやりとりを見ていて、
(ああ、力づくが逆効果なわけがこれだよな)と、絵に描いたように見えた思いでした。
自分の理屈だけ、大声で押し付けるのは、筋肉の力でグイグイと技をかけに
行くのとおんなじ。
しかも、上から目線で、反動はつけるわ、加速するわ・・のママは、
泣き声に余計イライラするばかり。
娘は、ママの言い分以前に、力づくに恐怖してしまって、
心で耳をふさいでいたにちがいありません。
娘に言い分をわかってもらうには、逆に、小さな声で、
笑みでも浮かべ、(柔らかい接触)で言い聞かせてあげないと、
イヌ・ネコだって耳をふさぎたくなりますよね。

実はこれ、
居酒屋トークでもしょっちゅうあります。
仕事で疲れて帰ってきて、カウンターに並んだ者同士、
お互いストレスもたっぷり抱え、酒に癒しを求めます。
ところが、酒がまわってくると、
ゴルフや政治の話で、だんだん熱を帯びてくる。
声が大きくなり、キーもあがります。
Aさん、鼻の穴が膨らんできて、(オレがオレが・・)のアクセルを加速。
そうなると、聞く方の周囲はたまりません。
Aさんの言うことは正論かもしれないのですが、
言ってる内容以前に、(オレがオレが攻撃)につい、耳をふさぎたくなりますよね。
コミュニケーションの技が、ただ(痛い)だけなんです。
顔をそむけたりすれば、さらにAさんのアクセルは全開。
こうなると、聞く側は反発心がわき起こり、Aさんの言い分に水を差したくもなります。
そうなると、Aさんは余計ムッとして、なおさら声を張り上げることになり・・
あ~あ、せっかくの酒がみなさん、不味くなる。

はい、ここでも、力づくは逆効果なんですね。
自己主張だけを押し通す・・
知識のひけらかし、自慢話、威張る、押し付ける・・
いずれも、ペケなことは、おわかりですよね。
ただ、相手をねじ伏せたいだけなんですね。
酒の席でも、コミュニケーションは、伝わってなんぼのもの。
相手が(その先ももっと聞きたい)とおもわせてこそのコミュニケーション技です。
そのためにはまず、周囲の言い分にも耳を傾け、
自説ほど、穏やかな声で、笑って話しかけるくらいが、技の基本です。
柔らかく(接触を保つ)ことに他なりません。

居酒屋トークにせよ、妻との会話にせよ(これは手強い)、
職場でのやりとりにせよ、合気道の稽古とおんなじだと思ってまちがいありません。

むしろ、騒々しい居酒屋でのトークで、
周囲が一番耳を傾けたのは、Bさんがささやくような声で
発した言葉でした。(お酒って、なんでこんなに旨いんだろうね・・)
みな、(え、何、なんていったの?)と耳を集中させた時、
おもむろに話した内容が、その日最も伝わったコンテンツでした。
(ゆるみ)みたいなものかな。
噺家さんなどおしゃべりの達人は、みな承知しています。
話のポイントになると、必ず、声をさげます。
時には、ささやくくらいになります。
その方が、聴衆の耳が感度があがるのを承知だからですね。
二教の掴み手と同じですよね。


そのうち、居酒屋トークでも、
いずれ、一教、ほれ、二教、ほら、呼吸投げ、お次は小手返し・・と、
技が使い分けられるようになれるかも。
技をかけられた相手が、みなさん、気持ちよく耳を傾けてくれる
呑兵衛トークにしたいもの。

居酒屋も是れすなわち道場・・