空を見上げる 風に吹かれる

私を揺らすものがある。それらをそっと捕まえて 私は 詩を書いています。> [ 蒼井 夜生 公式ブログ]

「 川景色 」

2018-12-22 13:56:23 | ポエム



生まれ育った町には大きな川が流れています。
毎日の暮らしの中で、渡らない日や見ない日があったのかなぁと考えるほど 川は近くにありました。

川は 季節で色々な顔をみせます。

春 川の中州には枝垂れ柳が葉を付け その格好は、「うらめしや〜」そのものでしたが、冷たい雪解け水がキラキラ跳ねて美しい流れでした。

夏 鮎釣りと川遊びの人で それはそれは賑やかな景色でした。赤ちゃんから、おじいさん、おばあさんまでみんなが集まっていました。
夏休みは、学校のプールよりも人気があって、今では考えられませんが、仕切りも目隠しもない橋の下でみんな着替えていました。
川の人気の理由は、箱メガネと被せ網で小さな雑魚を捕ったり、岩から飛び込んだり、石を岩にこすって削り、それを水に混ぜた泥の様なものを背中や腕にペイントしたり、、、誰が一番綺麗な石を見つけて拾ってくるか競争などなど、数え切れない程の遊びがあったからです。
花火も綺麗でした。

秋 川の中州に色々な物を持ち込んでおままごとをしました。それを「基地」と呼んでいました。
台風や大雨の時は、コーヒー牛乳の濁流が近寄れない程の迫力で唸っていました。怒りに見えました。

冬 雪深い町には、融雪パイプや融雪剤では追いつかず、深夜、早朝の除雪機出動が当たり前でした。その雪たちの行き場は、川でした。その雪で広場が出来上がったかの様な年もあり、雪が少なく中州にふわっと丸い雪が積もる程度の年もありました。
橋は、除雪してもしなくても、カチカチに凍るので、全身に力を入れてシュシュシュっとコツを掴んだ歩き方をしないところびます。

そんな川の流れる町で 育ちました。

今では、お盆と12月半ばに帰省するだけです。





「 今日も 見上げる 」

2018-12-21 13:04:59 | ポエム



空は

この大きな空は

いつか私を 掬ってくれる

こんなに汚くなってしまっても


空が

この広い空が

いつか私を 選んでくれる

抱き上げて 連れ去ってくれる


空は

この大きな空は

きっと私を 許してくれる

もう ため息さえ 尽きた時


空が

この大きな空が

いつも私を 見ていてくれる

だから 私は

私も 空を

今日も 見上げる

そして 歩く










「 君の夜を 私が食べる 」

2018-12-02 21:47:53 | ポエム



暗くて青い夜を

寒さにも気付かず 彷徨う君

お腹を空かしているんだね

交差点の信号機さえ

大人しくなる その風景に

何を見ているんだい?

もっと早く

君を見つけることができたなら

私が 君から 夜を奪って

君が気付かぬように 夜を奪って

そして 私が 夜を食べてしまおう

私の台所に 君を呼んで

煮え滾るスープを

フーフーしながら 食べさせて

君の頬や唇が

真っ赤になるのを 見届けたら

顬にキスをして さよならするのに







「 ヒカリ 」

2018-12-01 13:21:57 | ポエム


たかい たかい お空から

まっすぐ届く ヒカリには

魔法の力があるのです


不意に こぼれる 鼻歌や

にひひと 企む 悪戯や

誰にも見せない スキップも

甘い夢の余韻にも


ぎゅっと固めた 心では

ヒカリに 気づけないけれど

きっと こんな私にも

ヒカリの魔法は 降り注ぎ

溺れてしまいそうなくらい

シアワセの中に浸かっている